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自転車におけるバイクフィッティングの必要性とRETUL FITについて④

今回もRETUL FITについて書いていきたいと思う。

「身体に合わせたフィッティングってどういう事?」「実際にどんな事をするの?」と内容を知らないライダーは沢山いると思うのでネタバレ的に書いていきたい。


先ずは3時間程度かかるRETUL FITの流れはこうだ。


先ず傷病履歴やライドのスタイル等のインタビュー。

アセスメント(身体評価)

フィット前の車体の寸法をデジタル機器にて記録

モーションキャプチャにて計測

サドル位置の調整

ハンドル位置の調整

膝のブレ等の調整

フィット後の車体の寸法をデジタル機器にて記録

約一ヶ月後にフォーローフィットにて微調整して終了


全体の流れはこんな感じ。この中でもアセスメントは最も重要で、RETUL FITの優れた特長でもある。

アセスメントをどこまでやれるかはフィッターの資格のレベルによって分かれていて、L1のフィッターは下記の9項目。L2のフィッターは下記の19項目を測定する。


1.坐骨幅

2.前足部の構造

3.後足部の構造

4.骨盤の水平度

5.立位体前屈

6.ハムストリングスの可動域

7.股関節の可動域

8.足首の可動域

9.1/3膝屈曲

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10.下肢のアライメント

11.脊柱湾曲観察

12.頸椎の可動域

13.肩の可動域

14.肩甲骨の位置

15.股関節の受動的回旋

16.脚長差

17.Qアングル

18.トーマステスト

19.股関節の能動的回旋




この19項目にてライダーの特徴を捉える。

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例えば前足部の内反があるライダーは傾きをサポートしてあげる事で膝が内側に入るのを防げる可能性がある。

膝の軌道が真っ直ぐならパワー伝達もロスが減り、怪我のリスクも減る。

ちなみに研究により87%の人間は内反している事が分かっている為、スペシャライズドのシューズはカーボンソールの形状がサポートが既に入ってる状態と同じ傾きになっている。

膝のブレの種類も実は4種類あり、それぞれに対処法が変わってくる。

「膝のブレは筋力を補強すれば止まる」という人がいるが筋力を使うということは体力を使うということなので、そもそも構造的にブレが出ない様に調整すれば体力のセーブに繋がるはずだ。


1時間弱かけてアセスメントをみた後にようやくフィッティングに入る。

身体に取り付けた16個のセンサーにてライダーの関節の角度やそれぞれの部位の動いた量を数値化し、アセスメントデータを元にライダーの感触を聞きながらRETULの推奨値内に調整していく。

この推奨値にはある程度の幅があり、私はフィッティング中にはライダーに数値を見せない様にしているが、大抵のライダーが推奨値内に入った途端に感触の良さを口にするので、やはりRETULは研究されているなと今も感心する。そしてご存知の通りスペシャライズドはWinTunnelという風洞実験施設を持っている為、空力も加味して推奨値を設定しているそうだ。

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RETUL社では常に新しい論文や自社での研究をもとにシステムをより良くするための努力をしているらしく、RETUL側のアップデートもしているのと、ライダーのトレーニング内容によっては身体も変わっていると思うので、RETULでは年に1回を推奨している。

この様に解剖学的根拠のもと、細かく調整していけば結果的に全身のストレスは減り、その分走りに集中できる様になるだろう。

しかし人間の身体はとても複雑で、正直にいうと3時間程度では個人の体の特長を理解しきるのは難しいと私は感じている。なのでフォローフィットはもちろん、何度かフィッティングをしてより良い調整をお勧めしたい。

私自身もTTバイクのポジションはエクステンションバーを変えたり、フォーム修正のアイディアが浮かんだ時などにRETULを使いつつまめにチェックしている。

私はこのおかげで怪我なく安定したライディングができていると思っている。

興味ある方は是非一度RETUL FITを受けてみてほしい。きっと快適に速く走れるだろう。






以上フィッティングについてでした。


ではまた!

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