gapとアン。 vol.04

私はgap。今年で30歳になる普通の男だ。結婚して娘もひとり、仕事もなんとかやっていけてる。

今日は中村てる子と京都で会うのだ。

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"阪急”とは関西において一定のブランドをもつ名前であると私は思います。

神戸、宝塚、京都を結ぶ阪急電鉄をはじめ、阪急百貨店、阪急交通社などなど

あの宝塚歌劇団だって阪急グループである。

真矢みき、天海祐希 名だたるスターを輩出した有名な宝塚歌劇団のイメージもあり
“阪急”は高級、上質、華やかなどの印象を受けやすい。

小説「阪急電車」は小説、映画化と記憶にある方も多いでしょう 。

京都へ向かう阪急電車の車内。

乗客も少ない昼前の阪急京都線、席は十分に空いているのに私は入り口の脇に立ったまま。

席に座らないのは小学生の時から。

お年寄りに席を譲らないといけないという強迫観念にストレスを覚え、ならばはじめから座らないと決めたのです。

阪急河原町駅へ到着し待ち合わせの四条大橋へ。

先斗町(ぽんとちょう)を抜け、
鴨川にかかる四条大橋がみえてきた。

平日なのにすごい数の人が行き交う。
学生、外国人、スーツを着た仕事中の人、人、人。

ふと見ると橋の真ん中に頭ひとつ抜け出した背の高い男性が立っている。

情緒あるこの街では非常に目立つ派手な服。

スパンコールがキラキラ光り、スターにしきのあきらを彷彿させるフォルムは完全に浮いている。
伏し目がちにその男性の横を通り過ぎようとしたその時。

右の肘に強い衝撃が。

「え。」

掴まれている。

明らかに私の右ひじあたりが掴まれている。

掴んでいるその腕の先にはスパンコールがキラキラ輝いている。

「やばい変な奴に絡まれた。」

…焦る私に”にしきのあきら”はこういい放った。


「先輩、お久しぶりでございます。」
見上げた先には整ったオールバック、必要以上のアイライン。

あの元月組男役トップ 天海祐希の現役時代を彷彿とさせる

にしきのあきら改め、中村てる子がそこに立っていた。

つづく

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