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新型コロナウィルスの影響による運転資金の調達例

昨今の新型コロナウィルスが猛威をふるう中、すでに影響がある事業所の皆様、大変なるご苦労を強いられていることと思います。また、これから影響が出る業種が多数出てくることは容易に想定できます。
すでに影響が出ている事業者の方もこれから影響が出ると想定される事業者の方からも多くのご相談をいただくのがお金の話です。

今回は運転資金を調達した事例をお話させていただきます。

調達前に行うべきことはこちらからご確認ください。

金融機関へ相談前に実施したこと

①売上高の前年同月対比と予算対比を正しく把握する
②雇用を維持し、売上が0円でも発生する費用を把握する
③手元現預金が②の何ヶ月分あるのか計算する
④現在の借入一覧と照らし合わせて必要な資金と返済期間を検討する

売上高の前年同月比と予算対比を正しく把握する

顧問税理士が付いている場合、毎月の月次決算を行われていることと思います。
今回のケースは社内に複数の部門あるため、顧問税理士の決算とは別に管理会計上でも部門損益を算出するようにしています。その結果、当期が前期に比べどの程度売上が増えているのか、もしくは減っているのか、という推移を部門別に細かく把握することができていました。
その結果、○○部門は大きな影響はないが、△△の部門は大きく影響が出ているということが明確に分かったのです。

雇用を維持し、売上が0円でも発生する費用を把握する

一般的に「固定費」という言い方をしますね。ちゃうちゃうがここで、「売上が0円でも発生する費用」と記載したのは、「固定費」ではいささか曖昧になってしまうためです。
固定費は売上の増減に関わらず発生する一定額の費用を言います。今回の目的は事業を存続させるために必要なお金を計算して調達することです。
例えば、減価償却費は支出を伴わない費用ですが、固定費のくくりになります。交際費も売上増減に関わらない費用であるため、固定費です。今、交際費使いますか?
一方で、固定費だけを計算すると、借入返済の元本分はどうでしょうか?この支出は少なからず影響のある企業が多いのではないでしょうか。
そのため、「固定費」ではなく、「売上が0円でも発生する費用」として計算をしました。

手元現預金が②の何ヶ月分あるのか計算する

今回のケースでは手元現預金は売上が0円でも発生する費用の3ヶ月分であることが分かりました。休業対象の事業者ではありませんでしたが、最悪の事態が起きた場合、売上が0円だったとすると余命3ヶ月ということになります。

現在の借入一覧と照らし合わせて必要な資金と返済期間を検討する

大事なポイントです。
今回のケースではこの費用の半年分をひとつのモノサシとして必要なお金を計算しました。金融機関にはその差分の支援をお願いするという手順になります。
今回は日本政策金融公庫のコロナ特別貸付で進めました。
この制度の特徴のひとつに支払期間最長15年据置期間最長5年という点が挙げられます。
期間は何年が良いの?
据置期間は何年がベスト?
このような質問を受けることがあります。
ちゃうちゃうは、本質問に対する明確な答えは持ち合わせておりません。
なぜなら、既存の借入状況や現在のキャッシュフローは企業によってさまざまだからです。

今回のケースは支払期間15年、据置期間5年を選択しました。

しかもこれで通りました。

どうやらケースとしては最長最長は稀なようです。
ではなぜこの選択を取ったのか?理由は簡単です。設備で借りているお金があと5年で終わり、今回の借入の元本返済分とほぼ同じ金額であるからです。
そうすると、今回の借入でもキャッシュフローは悪化しないということになります。
それもこれも、今の借入が明細としてまとまっており、すぐに取り出して検討できる状態にしてあったのです。備えあれば患いなし。

このように、基本に忠実にやるべきことをやり、円滑に事を進めていき無事に内定をいただくことができました。
内容には記載しませんでしたが、金融機関には事業計画を予め提出しており、その進捗を定期的に報告しています。そのため、コロナの影響がどのように出ているのか、という点も少ない言葉で共有できたことも早い段階で希望通りの内定をいただくことができたポイントであると思っております。
自社の資金のみでこの苦難を乗り越え、調達した場合でもこのお金を使わずに済むことができるのが理想かもしれません。しかしながら、リスクを想定して事前に手を打っておくことも経営において非常に重要なことと考えます。
相談先が無く独り悩んでいる経営者の方がいらっしゃればいつでもご相談お受けします。


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