ガン横の2.3分程で読める短編恋愛小説最終章

ケンジは妻が残したきめ細かい美しい字体のメモ書きを丹念に見回した。
そこにはケンジが一人で生きる為に必要な事柄が丁寧に綴られていた。
冷蔵庫には「冷蔵庫の扉は押すのではなく引けば開きます」
キッチンには「右のコンロは火力が強いので中華に向いています。左のコンロは弱火なので煮物に向いています。最もあなたは料理などしないでしょうけど万が一料理をする事があったら参考にしてください。後、火をつけたら必ず消してくださいね」
そんなこと分かってるわ!バカにするのにも程があるわ!
と悪態をつきそうになったが実際に火をつけっぱなしにしてそのまま消すのを忘れ危うく火事にしてしまう前科があったので致し方ない。
食器用洗剤には「食器用洗剤で絶対に浴槽を洗わないこと」
トイレには「トイレの漂白剤で食器を漂白しないこと」
お風呂には「いくら水の節約といっても一週間同じお湯に入らないこと」
洗濯機には「回ってる時に蓋を開け手を突っ込まないこと」
テレビには「古いテレビなので仕方がないのですが、叩けば写りが良くなるという迷信にとりつかれすぎず、ここは思い切って新しいテレビを買ってしまいましょう」なこと
麻雀牌には「あなたは博才がもともとないのだからあなたの第六感はあてにせずやるならちゃんと勉強してやりましょう」....
呆れるほど大人が子供に言っているような内容だった。
仕方がない常人が普通に出来る事柄がケンジは何一つ出来ないのだから。
妻が綴った何枚ものメモ書きを握りしめ教訓を噛み締めるが自分に出来る自信は湧いてこず途方に暮れるばかりであった。
齢60のケンジ
精神年齢10
肉体の衰え70
脳の理解度3
のしっちゃかめっちゃか人間に絶望的な未来と絶対的な孤独だけが待っていた。
今後あと何年あるかわからない茫漠とした時間をどう過ごすかプランなど立てるはずもなく
空虚な生気のない目をテーブルに写すと1枚の便箋が置いてあった。
そこにはケンジさんへ
最後のラブレターと記された便箋だった。
あきらかに妻からのであった。
封を開けるとこれまた美しい惚れ惚れするような文字でこの文字自体を標本にしたいぐらいの
なんなら内容などどうでもよくずっと文字だけ見ていたいほどの文字が2枚綴りになって入っていた。
ケンジは手紙に目を通した。

あなた・・・

げっっっっっ!!!!!!
これまた時間オーバー気味な長さになってしまった!!!!!!
これではテーマから外れてしまう!!!
致し方ない次週に持ち込んでしまいましょう!!!
という事で又来週〜〜