見出し画像

note、はじめ〼

 書くことそのものは嫌いではないしむしろ比較的得意な方だと思うけど、書きたいこと以外は全く筆が乗らないし、書きたいことも枝葉末節ばかり気になって何度もこねくり回しているうち面倒になって放り出してしまう。要は頭でっかちの凝り性だから、なんとか書きあがっても早口でまくしたてるような文章にしかならない。今までも何度か書き物をしようと思ったこともないではないが、ことごとく三日坊主の尻切れとんぼ、数ページだけ使った日記帳が年末の大掃除で発掘され、古紙回収の肥やしになるのが常だった。

 初投稿では、今回こそ三日坊主で終わらせない(とはいえ今までも最初はいつもそう思っていたのだ)ために、所信表明ではないけどnoteをどう使うかについてメモを残しておきたい。このnoteを読むことくらいしかやることのない暇で酔狂な人がいればの話だけど、読み手の存在による外圧、もとい皆さまの暖かい応援の力をお借りして、筆不精だけど物を書くのを習慣にできたらいいなと思っている。


思い立ったきっかけ

 昨年末に大きな病気が見つかった。まだピチピチの27歳、血糖値やγ-GTPの項目に「要再検査」の文字があってもさして気にしないお年頃だと思っていたのだけど、高齢者めいたしかめつらしい病名を頂いてしまい、あれよあれよという間に陰圧室隔離と相成った。清潔だが娯楽のない病室で退屈を持て余していた自分に、友人が「何か書いてみて欲しい」と嬉しいことを言ってくれたので、大昔に登録したきりのアカウントを掘り起こしてみた次第である。メッセージ履歴を遡るとともう一か月も前のことだったが。
 文章にしろ何にしろ、自ら生み出すものについて何かしらオモシロそうだと期待してもらえるのは、特に自分のような人間にとっては非常にありがたく喜ばしいことなので、少し空いてしまったが張り切ってみようという気になったのだ。

何を書くか

 さて、いざ書かん我こそは令和時代の文豪なり、と意気揚々キーボードに向かってはみるものの、何かのテーマに絞って書けるほどオタクな気質でもなければ哲学者のように一つの思索に深く沈潜して生きている人間ではなく、詭弁に衒学をまぶしてその時の気分で味付けした独り言のようなものしか思い浮かばない。文章っぽいものが出来上がったとしたらとしておそらくは日記、回想録、読書録、備忘録、調べものメモ、SNSのつぶやき、その他もろもろを混ぜ合わせて発酵させたようなものになるんじゃないかと思う。まあせっかく読んでもらえる形で残す以上は読み手にとっても暇つぶし程度にはなるものを書きたい所存である。

 最初のネタとしては、上でも軽く触れたように最近一か月ほど入院していた時の回想録というか体験記のようなものを書いてみるつもりである。同年代では類似の症例が非常に少なく、また症状も珍しいケースだということで、主治医が「今度大きい学会に出します」なんて言っていたので、当時者としての体験記も多少は面白くなる可能性があるんじゃないかと思っている。ちなみに見つかったのはステージIVの肺がんだった。
 びっくり。

知らない天井(2023.12.21)

自戒

 自分の書いたものを後になって読み返すと恥ずかしく感じる理由は、技巧的な巧拙もあるのだろうけど、多くはその文章が幼稚な自己表現を開陳する自分本位なものになってしまっていて、読み手や未来の自分を含めた自分以外の世界を意識していなかったことに気づかされるからなのではないかと思う。このnoteもいずれ読んだときに恥のあまりアカウントごと削除する羽目になるかもしれないが、少なくとも書くにあたってはいくつかルールもしくはポリシーをもってキーボードに向かいたい。
 ・書けないことは書かない
 ・書きたいと思ったものを書く
 ・書くべきように書く、さもなければ書かない

 誰だったか忘れてしまったが、昔の作家(確か三島だったか?)が「ものを書くとき、愚にもつかない作家ほど性にまつわることや死を軽率に扱う」というようなことを言っていた。自分のことについて時におどけることもあるだろうが、基本的に人生に関わる重大な話を弄ぶのは俗物のやることだ。
 
自分の直近のトピックに関しては、ステージIVとはいっても遠隔転移が多少あったのと肺が激症だったため診断ガイドライン上そう分類されたというだけであって、リアルタイムの生き死にに関する話題は出てこないだろうけど、言葉を発するということは時に他人の人生の領域に土足で踏み入れかねない行為だということは肝に銘じておきたい。

結びに

 気分・話題・時間的制約とうまく付き合いつつ定期的に更新したいけれど、生まれつきの怠惰の極み、高校一年の夏休みには学校の宿題を一切やらず、休み明けには「電車で失くしました」とウソをついて貫き通したほど「計画性」なる概念と縁のない人間である。とはいえせっかく開設したページ、早めに次の投稿をお披露目したい。

さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行かう。絶望するな。では、失敬。

太宰治『津軽』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?