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10月26日読書会のお知らせ

椎名麟三と反出生主義

10月26日午後3時から4時30までオンラインでの読書会。年配の方なら聞いたことある戦後文学者。すでに遠い記憶の一人の作家が今日の反出生主義と共振していることに気付く。とはいえ、現在と彼が生きた戦前•戦中•戦後の世界は100年近い時の断絶を感じる。暮らしの骨格と細部の暮らしの姿、風景を生む時の流れに驚かずにはいられない。日本近•現代史のエネルギー革命の変遷や軍国主義から大正デモクラシー、再び滅びに向かう世界と日本の政治。史上初の共産党政権の樹立後の革命とその希望。対するファシズムによる国民統合と支配の拡大は同時に破局に至る過程。そして廃墟からの出発は極貧と虚無に蠢く市井の人々の一群を生んだ。禍々しい暗闇から1条のあるかなきかの光を願う魂の彷徨。焼け野原とバラック小屋、掻き集めた廃屋からの木端で七輪の火を取り、暖を取る。燃え無い木材と思っていたら人骨。そこら中に炭化した焼死体、ゴム人形のようにパンパンに膨張した遺体が河を流れる。今現在の東京渋谷界隈や下町がかって廃墟のガレキの野原であったと誰が想像できよう。
しかし時代、社会の意匠が激変しても、時を超え、古今東西の古典作品が今尚人間の普遍的なるものを伝えるように、この作家が描く魂の苦悶は今日の生き難さと絶望に一筋の希望を与える。「反出生主義」という言葉に反応する男女たち。生き難さから生きていく無意味、虚無感に追い込んで行く時代、社会。人々の不安と絶望の根っ子を取り除くために希望に向けての取組みを今新たに求められていると思う。興味のある方は参加をお待ちしております。

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