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6月21日読書お知らせ

絶望と希望について
先の読書会のまとめは後日ということで。日々の生活と読書、人との出会いや映画、美術鑑賞から融合した思念をざっくばらんに語ってみようというスタイル。参加者もごく少数、気楽に語りそれぞれのコアに触れ共感出来たらよろしいかと。先日国立新美術館に兄弟が展示する美術展に見に行きました。大型の和洋絵画からユニークな素材で創る造形物、ユーモアあふれる昭和レトロ街に出現する世界の芸術家と絵画のカーニバルが所狭しと出現し闊歩する。怪しげでおかしげなイラスト。写真かと錯覚するほどの精緻な風景。季節の移ろいの中で陰影を深める影と子供との異界入口での出会いと戸惑いなど。
目を引いたのは光と闇。生の喜びと期待。真逆に暗さ、無。おぞましさの魅惑と腐敗への誘惑。1枚の絵に釘付けになる。「ヴィーナスの誕生」とは真逆。一見屠殺場のフックに吊り下げられた解体された牛かと。豊かな肉体の残滓を保ちつつも傷つけられ、いたぶられた傷とデフォルメされた肉体の列と重なり合う肉の影が目を射抜く。この絵をみてからか、ある映画をみてからか混同している。その映画はポーランドの監督の
作品、「関心領域」ご存知の方は多いかと。説明は詳細は省きます。アウシュヴィッツ収容所統括責任者、ルドルフ.ヘスの高圧電流流れる壁一枚を挟んで、ヘスらの幸せな庭園、プール付きの集合住宅の生活。方や窓からすぐ見える監視塔と朝から晩まで煙逆巻く大きな煙突•••。死のキャンプアウシュヴィッツ(ポーランド語,オシヒエンツムと発音するそうです)へ知合いの女性がその現場に羽田から行くことを直前に知る。前夜何故オシヒエンツムなのかを聞き出す。若い頃読んだ「アンネの日記」が彼女にとって今につながる本人自身の過酷な旅の始りであってことを知る。アンネフランクは死のキャンプに送られ、チフスで死んだ。多くの家族、見知らぬユダヤ同胞のみならず無垢の人たちが、障がい者、マイノリティ、少数民族とともにガス室へ送られるのを目撃したであろう絶望。希望は一体何処にあるのか。しかしアンネフランクには希望があったと。彼らへの哀悼を込めた希望の旅だと••。今尚、ガザで、沈黙無視されている絶望の叫びが
耳をすませばこだましている。あの映画のラストの叫び声が。

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