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まついなつきさんのこと

…といっても全然面識もない一般の読者です。
先ほど、普段使っていないツイッターの古いアカウントから通知が来て、訃報を知りました。

思えば。

結婚して3年目のころ、結構いろいろ行き詰っていました。それほどの覚悟もないまま続けていた活動がちっとも進歩しなくて、このままでいい訳はないのだけど「やめる」決断を出すには機を逸してしまったななどと迷っていたときに、本屋さんで出会ったのが「笑う出産」でした。

当時のわたしにとって、結婚はしていたものの「子供を産む」というのは恐怖でしかなく、それは「自分の将来を断つ」決意だと思っていました。あたりまえです。人を産み育てるというのに生半可な気持ちじゃやっていけない、と。
そこでふと手に取って読んだ「笑う出産」は、びっくりするほど「明るい未来」が描かれているように思いました。書かれていた彼女の妊娠出産は「普通(結婚からの妊娠出産)」の形ではなかったですが、そこには過去にひと区切りつけて未来につながる希望としての妊娠出産があって、「あーこういう世界もあるんだなあ」とかなりの衝撃を受けました。

結局、その場では本棚に戻してしまい、実際に自分の人生にその本が必要になるまでには1年半くらいかかっています。「やめる」ことを決めて、新しい人生を歩むぞと決めたとたんにものすごい都合よく授かった命。判明してからすぐに「笑う出産」を探して購入して、妊娠中も出産後もずうっとバイブルのように読み続けました。

↑の写真はうちの書庫(笑)にあった本。

「2」は、うちの長男と同じ年、少し前に産まれたお子さんのことを書いた本でした。この頃は「出産育児本」のブームで、漫画やら実用書的なのを片っ端から読んでいました。今回の訃報は、まついさんのお子さん3人の聞きなれたお名前の連名でツイートされていて、みなさんもう成人なさってるのだと思うと感慨深いものがあります。

まついさんはここnoteにも登録されていましたよね(見たらフォローしてくださっていました)。ここでは占いの記事を書いておられました。わたしは「占い」というものにあまり興味を魅かれない性質なのでそこらへんの活動は遠くで拝見するのみでしたが、お名前を見かけると遡って検索したりのチェックはし続けていました。
なんというか、物事に対する視点が好きでした。自分の中の芯が通ってて、そこに忠実に、とても誠実に生きている感じが。

ここで実際に本を読んでみました。

あああ。

「本」そのものよりも当時の自分がよみがえってきてもうなんというか苦しくなる。こんなに愛おしい生き物がうちにもいたのに。もう今や立派な大人になって、6年もあとに産まれた次男ですら高校3年生。

もしもあのときにこの本に出会っていなかったら、こうして「お母さん」になれていたかどうか自信ないです。そのくらい衝撃的な本でした。「笑う出産」の最後の方に「産んでみたら、未来が絶望でなくなった」「あかんぼは、いつも新しいからだを持って未来に生まれてくる」とあって、この文章にどれだけ励まされたことか。

(余談ですがもうひとつ子育てにおいて衝撃を受けたのは、2011年のあの原子力発電所の爆発のときにうっかり当時中3の長男に向かって「こんな世の中に産んでごめんね」と言ったらものすごく怒られた、というのも「お母さん」である自分の拠り所になっています…ってあんまり関係ない話だった)


まついなつきさんには、本当にお礼を言いたいです。
ありがとうございました。どうぞやすらかに。

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