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白蛇のおはなし

ちょっとオカルト入ったお話です。苦手な方は避けて下さいね。


その家には守り神として「白蛇」がいました。

嫁に来て40年、年に一度くらい庭でその姿を見かけることがありました。もともと蛇はあまり好きではなかったので「どうかあんまり出てこないでください。そっと見守っていてください」とことあるごとに心で話しかけていました。

ところが、道路計画の影響で家を建て替える話が持ち上がりました。鬱蒼と木と雑草の生い茂った庭も全て一度更地に直し、一部を市に提供し、家を建て替える…という、話だけはずいぶん前からあった計画が、とうとう本当に実現されることとなったのです。

「今まで家を守ってくれてどうもありがとうございました。
 この度こういう事情で、庭もなくなってしまいます。
 あなたの住まいもなくなってしまうことでしょう。本当に申し訳ないと思います。どうかお許しください」
と、庭に出てどこかにいるであろう白蛇に向かって、祈りを呟きました。


願いは聞き届けられたようです。

ある日ふと、客間に置いてあった大理石製の灰皿とおそろいの煙草入れを見て驚愕しました。

そこに、白蛇がいたのです。

「このように姿を変えて、これからも我が家を見守って下さること、あなた の住処の庭がなくなってしまうことをお許し下さったこと、に感謝します。ありがとうございます」


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…というのは、実家の母の話です。

電話でことの顛末を聞いた時には「また訳のわからんことを…」と話半分に聞いていましたが、帰省した際にその「煙草入れ」を見たときにはさすがに戦慄しました。

紀州には今も神話のようなお話が普通に存在しています。
ちなみに家を建て替えたのは2008年の話です。

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参考までに

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