【学級通信】心の壁〜1マイル走〜
「無理だ」
「できない」
こんな言葉が教室で聞かれることがある。
もちろん難しいこともたくさんある。
けれども、無理だ、できない、と思った瞬間に人間はできなくなるらしい。
脳がそう判断して、本当ならできることもできなくなってしまう。
昔、陸上競技で1マイル走というものがあった。
結構人気のある競技だったようだ。
1マイルというのは、1609m。
この前の持久走大会。
1、2年生が走ったコースが1500mなので、あれと同じくらいの距離だ。
約100年前の1923年。
「空飛ぶフィンランド人」といわれたパーヴォ・ヌルミという選手がいた。
その人が1マイル走で4分10秒3という記録を打ち立てた。
これは驚異的な記録で、その当時、「もう二度とこの記録は破られないだろう」と言われるような記録だったらしい。
「1マイル4分を切る記録は、人間の運動能力では不可能だ」という医学者もいて、それが定説となっていった。
そして、事実、その記録は長い間ぬりかえられることはなかった。
それから31年たった1954年、イギリスのロジャー・バニスター選手が3分59秒4という大記録を樹立した。
それまで、人間には不可能だと言われていた1マイル4分の壁をついに破ったのだ。
それまでの常識を覆す、ものすごい記録だった。
しかし、この後さらにアンビリバボーな出来事が起きる。
3分59秒4というものすごい記録が出たわずか46日後。
オーストラリアのジョン・ランディという選手が3分58秒という記録を出したのだ。
31年間たくさんの選手が挑戦し続けてやっと超えた4分の壁の記録が、たった46日で更新されたのだ。
そしてその1年のうちに23人もの選手が4分の壁を超える記録を出したと言われている。
その翌年には300人の選手が4分を切って走ったらしい。
急に人類の体力、運動能力が上がったということはありえない。
シューズなどの道具の進化も多少は影響しているかもしれないが、1、2年でのこの変化は大きすぎる。
では、なぜこんなにも多くの人の記録が急に伸びたのか。
それは心の壁を打ち破ったからだろう。
ロジャー・バニスター選手が3分59秒4という記録を出すまで、多くの人は「1マイル4分を切ることはできない」と自分で限界を作っていたのだ。
それがある日、「4分を切ることができる」と分かった。
その途端、自分の心の壁がなくなった途端、あっという間にできるようになったのだ。
「できない」と思っていたら、能力的にできることでもできない。
「できる」と思ったら、自分の思っている以上の力が発揮できる。
勉強、逆上がり、百人一首、大縄、なわとび、給食、そうじ、など、挑戦したり目標を持ったりできるものはたくさんある。
学校以外の習い事なんかでもあるかもしれない。
どんなことでも、「できない」と思っている人は、多分できない。
本当はできるのにできなくなる。
でも、「できる」と信じて取り組んでいる人は、すぐにはできなくてもいつかできるようになる。
みんなには、「できない」「無理」とは思ってほしくない。
どんなことでも「できる」「やってみよう」と思って挑戦してほしい。
それが自分自身の成長にもつながるし、みんなが本気で「できる」と信じていることは必ず達成できると思っている。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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