Dojo WIPのゆるっと感想
東京演劇道場のワーク・イン・プログレスが東京芸術劇場のシアターイーストで行われるってことで初日観てきた感想。
全部で8演目あって、身体表現やダンスのようなところが主な作品が3作、あとの5作はお芝居よりな作品だったように思う。
まだあと4日公演あるのでネタバレしたくない人はここでやめてもらえれば。
最初に手代木花野|企画。タイトルがロシア語?系の文字なのでなんて書いてあるかは読めなかった。コサックダンスじゃないけどなんていうかああいう民族舞踊っぽさを感じた。
ダンスやその歴史にはあまり明るくないからそういう観点では何も言えないけど、観てて面白い構成だなと思った。
ペアだったり二つのグループでそれぞれ別の振り付けが組み合わさって一体感と複雑さのあるムーブメントになってて見てて面白かった。
最前で観ちゃったからフォーメーションの美しさなどを楽しむならもう少し後ろの席で引きの絵で見たかったなと思う。
単純に以前別の作品で拝見してるのもあると思うけど、六川さんにめっちゃ目がいった。目力があって惹きつけられる。
2作品目、藤井千帆/鈴木麻美|企画『淋しいおさかな』。
別役実さんの童話をパフォーマンスにしたらしい。
演出も相まって、立体絵本のような作品だと思った。上の空間もちょくちょく使ってて動きがめちゃくちゃ激しいわけではないけど空間の緩急があって飽きないし見やすくて大人ももちろん楽しめるけど、これはぜひ幼稚園児とか小学生くらいの子に見せたら何かきっと伝わるから面白いんじゃないかと思った。
3作品目、高畑裕太/大野明香音|企画『忘郷少女』は芝居っぽい作品の中だと最小人数の3人でシアターイーストの舞台を埋めててすごいなと思った。前の作品が海のシーンで終わって入れ替わって、新しいこの作品の海になるのがなんだかシームレスというかどこかで海が繋がってるみたいで全然違う世界線なのに面白いというか。
ぱるちゃんの子どもらしい動きの多さ、大きさと鬼の子の繊細で滑らかかつアクロバティックな動きで基本は2人なのに舞台全体が遊び場のようになってて引き込まれた。
かつてあった景色の一部(炭鉱のネコ車)で鬼が行き来するのかつての景色とともに忘れ去られてる感で演出の仕方が面白いなと。
4作目上村聡|企画『御社のチャラ男』
小説を元に立ち上げた作品、リーディング公演としつつも役や展開によっては台本を見てないこともしばしば。同じ会社の中で様々な人に視点を変えて、三芳という男について述べてく短編オムニバスのような連作というのか。
初日は3エピソード。
どれも面白かったけど、個人的には以前お世話になった扇田さんのお芝居してる姿を生でちゃんと見たのが初めてだったのもあり、舞台上でとても絵になるし今回の役がなんだか哀愁もあり共感できる人物だなと思ったり。演出だけじゃなくて俳優としても素敵なの凄いなと改めて尊敬。
ここで10分休憩。ちょうどここで1時間。
でもあっという間だった。
休憩明け5作目は扇田拓也|企画ジブリッシュ『恋人たち』。シェイクスピアの夏の夜の夢の恋人たちのみのエピソードを抜き出して、ジブリッシュ(デタラメ語)で上演。
基本的に人の固有名詞は残して他の言葉は意味を持たないそれっぽい言葉の羅列なんだけど、時々普通に日本語としても通じる単語などを使うことによってより言葉の面白さが引き立っていた。
多分物語を知らなくても十分にこの話が喜劇であることが伝わるようなワクワクする作品になってた。言葉での補完が無い代わりに衣装や小道具、照明、動きなどで想像を膨らませる仕掛けがあって楽しませる工夫が多かった。
物語がちゃんとハッピーエンドなのもあるけど、暗転して自然と拍手が巻き起こるような作品として完成されてた。
6作品目は黒瀧保士|企画『石の夢』。ガラスの上を歩くような音、人間1人の体しかないのにその体に聞こえる音に集中するような作品。興味深い作品だったけど、何がどう面白いとかは言いづらい作品。足に合わせてするガラスを踏み締めるようなあの音めちゃくちゃなんか好きだった。
7作品目サヘル・ローズ/石村みか/小幡貴史|企画『 』
ムーブメントっぽい作品、外の世界と分断された中央。中央は透明なフィルムの張られた木枠でシェルターのような作りになっていて中に3人いる。外にはその倍くらいの人。
だるまさんがころんだをしたり紙飛行機を飛ばしたり。
後ろの壁に後半文字が投影されるけど、最前だとその装置と文字被ってて読みづらいので多分少し後ろの席のが見やすい作品。
ラスト外の人間は花火の音に笑顔を見せ空を見上げるが、中央のシェルターの人たちは恐怖で怯える。火薬の爆発する音にどんな感情を抱くかは置かれた環境で全く違うものになるとヒシヒシ感じた。
紙飛行機が天井突き刺さりそうになったのはちょっと怖かった。うっかり照明近くに刺さって落ちなかったら燃える可能性もありそうでヒヤッとはした。
最後は李そじん|企画『再生』。東京デスロックの多田さんの作品。
集団自殺のための最後の飲み会のループ。2曲ワンセットなんだけど、電気グルーブの「Shangri-La」に合わせてラスト薬が効いてどんどん人が死んでいく様は、一回目何が起きてるかよく分からないが2回目以降ずっと彼らは死に続けているけど俳優の身体はむしろイキイキと生き続けてるその面白さ。
ただ、私はこの作品めちゃくちゃ好きだし面白かったけどだからこそ希死念慮ある人はちょっと見るのおすすめできないかもしれない。
なぜならあまりにもこの作品は死ぬまでの時間がキラキラしていて、なんだか見終わった後めちゃくちゃ良いもん見たなという気分になるので、こんなに最後なんやかんやハッピーに死んでく面白いもの見られたからまあ死んでもいっかとなりそう。なんか音楽の力とか俳優さんたちのパワフルさ食らって逆にふわっと引っ張られちゃう人はゼロじゃないと思う。これはマジでど偏見なのでそんなことにはならないかもしれないけど、なんかすげーもん見ちゃったなという影響はあるのでメンタルは健全であればあるほど良いと思う。
原稿用紙6枚を超える感想が果たしてゆるいのかは置いといて、チケ代2500円だし時間ある人は観て損ないと思う。ただ売り切れ多そうなので当日券狙うのもありだと思う。
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