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【読むだけでポーカーが上手になる!シリーズ基礎編⑨】 上達の一歩はドンクベットをやめることから

こんにちは、ひっきーです。
今回はドンクベットを題材にポーカーで勝つための思考法を解説していこうと思います。

ドンクベットとはプリフロップのレイザーより先にベットすることを言います。例えばBTNがオープンし、BBがコールしてフロップに進んだ場面を考えましょう。ここでBBが先にベットするのがドンクベットです。またUTGでオープンしたプレイヤーに対してBTNがレイズしUTGがコールしたフロップでUTGが先にベットするのも同様にドンクベットです。このようなプレイは初心者に多く見受けられ多くの場合、不利益なプレイとなります。

ドンクベットとは愚かなベットという意味で下手なプレイヤーがすることからその名がついています。上級者のプレイには一部合理的なドンクベットというものが存在しますがそれを実践していくのはかなり先の話になるので一旦ドンクベットは悪という考えて問題ありません。プリフロップで最後にレイズした人にチェックで回すということがセオリーになります。これはなぜなのでしょう?

  • ドンクベットが良くない理由

SBまで全員がフォールドしSBがオープンレイズ→BBがリレイズ→SBコールという状況を考えてみましょう。BBがプリフロップで3betし、SBがコールしているのでハンドが全体的に強いのはBBの方になります。SBがもしAAやKKであればプリフロップで4betしているはずだからです。もちろん罠を仕掛けてコールで止めている場合もありますがここで話しているのは全体的な傾向です。フロップでのSBのハンドの進展で場合分けして、それぞれの場合でなぜドンクベットが不利益的なのか解説していきます。

①フロップでSBのハンドが改善しなかった場合

この場合プリフロップのハンドの強さがそのままフロップでも維持されています。つまりBBが優勢です。BBのハンドには高いポケットペアやA+強キッカーなどが考えられます。この状況でSBからベットしても降ろせることはほとんど期待できず単にコールされチップをあげる形になってしまいます。

チェックすればBBのCBに降りる余地がありますし、もしもBBがチェックしてくれればターンのフリーカードをもらいに行くことができます。またターン以降で比較的安全にブラフをすることも可能になります。

②フロップでSBのハンドが多少改善した場合

この状況ではもしかしたらSBがBBに逆転したかもしれません。しかしプリフロップでBBはかなり強気なアクションをとっているので勝っている確証はありません。フロップでヒットしワンペアができてもBBは初めから高いペアを持っているかもしれません。ここでSBがベットすると①の場合と同じでただチップをあげるだけになってしまいます。

実際に相手に逆転してたとするとどうでしょう。ここでもベットが利益として働くことはほとんどありません。BBがJJ、SBがAT、フロップがAK4という状況でSBが先にベットするとBBとしては降りる他ありません。ここでベットすることはAを持っていますというメッセージを相手に送ることと等しいです。自分はAとあまり強くないキッカーですがあなたはどうですか?AKですか?AQですか?とベットでこのような会話をしているのです。したがって、一部の厄介な相手はここでレイズをしてAK等を主張してくることもあります。このようなプレイをされるとAT側としては非常に困ってしまいます。チェックすれば相手をブラフする気にさせることはなかったでしょう。

この場合チェックに対して恐らくBBもチェックで返してくるでしょう。そうしたらターンからJJに対してより堅実にバリューをとりに行くことができます。なぜならターンでのSBのベットはフロップでのBBのチェックという弱みを受けてのベットなのでブラフが十分に含まれていると考えることができるからです。BBとしてはリバーはまだしもターンの段階でJJを降りることは難しいのではないでしょうか。

これまでBBのハンドがある程度強い前提で話を進めてきましたがプリフロップでブラフのリレイズをしていてハンドが弱い場合も同様にドンクベットは不利益になります。もしもこの状況でSBがドンクベットした場合、考えられる結末は二つです。一つは単にBBが降りバリューが取れずにハンドが終わるパターンです。もう一つはBBがプリフロップに引き続きハンドの強さを主張しドンクベットにレイズを被せてくるパターンです。どちらの場合もフロップ以降全く利益になっていません。

レイズされる場合に関しては本来勝てたはずのハンドで追加で1ベット分損をしています。もしもフロップでチェックしていればBBはベットして相手を降ろすしかポットを獲得する手段がなくプリフロップのアクションからハンドの強さを主張できるのでほぼ確実にベットしてきます。これにコールするのが最も利益的なプレイと言えます。

もちろんターン以降でもBBは激しい攻撃をしてくるかも知れませんが、それはその時に考えればいい話です。1世代前にはベットをすることで相手のハンドの強さを測れ全スタックを持っていかれるのを防げるという意見もあり、それは事実なのですが、期待値的にはフロップをチェックすることがベストな選択肢になります。目的はスタックをなくさないことではなく期待値の最大化であったことを思い出しましょう。

③フロップでSBのハンドが劇的に改善した場合

劇的に改善とはポケットペアがセットになったりペアでないハンドがツーペア以上になった場合です。この場合もSBはフロップチェックした方が利益的です。ハンドの強さに興奮してポットを膨らまそうとベットしてしまうのは初心者にありがちなミスです。プリフロップで強さを主張しているのはBBです。これはフロップ以降もBBが積極的にベットしてきてくれる可能性が高いことを示しています。

向こうからポットにチップを入れてくれるのにわざわざこちらから入れる必要はないのです。こちらから入れようとすると相手に情報を与えてしまいます。それはこちらは何か持っていますという情報です。この時、相手に何もなければ教えてくれてありがとうと言わんばかりにチェックに対してブラフしようとしてたのを諦めて降りてしまいます。

ドンクベットをすればこちらのベットにさらにレイズしてくれるかもしれないという意見もあると思いますが、確かにそれはそうです。ただし、ここでは期待値的な観点からマイナスという話をしています。

また、相手が特段弱くないハンドの時も同様にドンクベットは損になります。相手は大体CBを打ってきてくれるのでそれにレイズした方が将来的にポットは膨らみます。ドンクベットをすると相手はコールすることで確実に次のストリートに行くことができます。

つまりフロップから数えて2ベット分コールすればリバーに辿り着くことができます。一方CBをチェックレイズした場合これはすでに2ベット分のサイズにあたるので相手は本来であればリバーまで見れたはずの額でターンまでしか見ることができません。場合によってはリバーを見る前にターンでオールインになるでしょう。

このように相手にフリーカードを与えずにOOPのポジションの不利さを打ち消すという意味でもフロップはベットよりもチェックが合理的になります。別の言い方をすると相手にポットコントロールをさせないということが重要になります。

④フロップでSBがドローになった場合

これもドンクベットとしてよく見られるシチュエーションです。この場合のドンクベットにはドローなのでどうせコールするから先に打っておこう、もし降りてくれたら儲けものだという意図があるようです。額も比較的小さめなことが多いです。確かなレベルの低いフィールドでは通用する考え方かも知れませんが一定以上のレベルでは通用しません。

ドローボードでの安いサイズのドンクベットはドローハンドという情報をいくらか相手に与えており、このベットにプリフロップのレイザーが降りることはあまり期待できません。安くターンが見れるというメリットに関してもレイズされてしまえばターンを見るために出費が増えたということになりかねません。また、ドローが完成したとしても見え見えのアクションでトリプルバレルのバリューがとれることもあまり期待できません。

それよりもフロップをチェックし相手のCBに対してコールもしくはレイズした方が利益的です。特にドローでのレイズは強力な武器になります。チェックレイズされた方としてはセットなどのバリューハンドなのかドローハンドなのかの区別がつきません。降りてもらえればドンクベットよりも1ベット分得をしており、コールされたとしてもチェックレイズにコールするほどのハンドであればドローが完成した場合も最後までコールしてくれる可能性が高いためドローハンドの価値を最大限引き出すことができます。

  • ドンクベットから見えるベットの本質

以上の理由からいかなる場合でもドンクベットが不利益的なプレイということがわかります。全ての場合に共通して言えるのはドンクベットをすることで何かしらの情報を相手に与えてしまっているという点です。例えばフロップでハンドが劇的に改善した場合にドンクベットをするというプレイを続けており、それを相手に見破られた場合チェックしたらハンドは改善していないという情報も同時に相手に伝わることになり、ここを突かれると痛いのです。一定レベル以上の相手はチェックしたときにかなり強いアクションをとってくることが予想されます。

このような事態を避けるためチェックに全てのハンドの可能性が含まれている状態というのが理想的なのです。こうすると相手に情報を一切与えることがありません。

毎回チェックしているのでチェックは弱みの証ということにならないのです。チェックにモンスター級のハンドも含まれていることになると相手も迂闊なことができず、常にこちらの反撃を怯えながら戦うことになります。強いハンドをチェックするのにはチェックした時の弱いハンドを守るという働きがあるのです。

最後に上級者の行うドンクベットについて少しだけ触れておくとこれはGTO戦略というものになります。GTO戦略というのは平たく言うとどんなに頑張っても負かすことが不可能な戦略のことです。

ポーカーにはそのような夢のような戦略が存在します。習得するのは並大抵ではないですが本当にトップの人たちはこの領域で戦っています。GTO戦略によると一部のフロップではドンクベットすることが肯定されます。

そのボードの特徴は低い数字3枚が比較的繋がっているということです。例えば875,765のようなフロップです。この時なぜドンクベットが有効になるかと言うとそもそもこのボードで強いハンドを持っている可能性が高いのはプリフロップをコールした側だからです。ここにベットの本質が現れています。

つまり、フロップでオリジナルレイザーの方がベットするのはプリフロップで強さを主張していたからではなく、プリフロップで主張していた強いハンドが現在のフロップとの兼ね合いを見た上でも依然として強いからです。

そしてそのようなフロップの割合が非常に大きいため結果的にオリジナルレイザーまでチェックで回すというのが通例になっているのです。ドンクはNGと丸暗記するのは本質的ではないのでこういった原理は抑えておくといいと思います。ターン、リバーで訪れる複雑なシチュエーションに応用できる考え方です。


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筆者について

大学時代に友人の勧めでポーカーに出会い、プロポーカープレイヤーの道へ進む。海外キャッシュゲームの最高月利は400万。



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