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【読むだけでポーカーが上手になる!シリーズ基礎編③】確率と期待値を使いこなす!

こんにちは、ひっきーです。
今回は前回の応用として、より具体的な状況で確率を使ってどのように判断を下していくかを見ていきます。数字が多くなりますができる限り分かりやすく説明するので、辛抱強くお付き合いください。早速、次のような状況を考えてみましょう。

  • フロップで相手のオールインに対してドローでコールする場合

自分はJTを持っており、フロップでフラッシュドローができています。しかし相手はオールインを要求して来ており、これにコールするかどうかを考えると言う場面です。似たような場面はポーカーでは何度も訪れます。このような時はどのように考えればいいのでしょうか?

ここで登場するのが前回学んだ最重要事項でもある期待の最大化です。注意しないといけないのは期待値を考える時にそれまで自分が出したチップについては考えないということです。それはすでにポットに入っており、もはや自分のものではありません。「もうこんなにチップ出しちゃったから降りられない」みたいなことを耳にすることがありますが、それは気持ち的な問題でありコールする正当な理由にはなりません。コールするかどうかは今までに出したチップの量ではなく、その時点から考えて期待値がプラスかマイナスかで判断されるべきです。

では、この状況での期待値を考えていきましょう。それまでのアクションから現状負けていると仮定します。JもTもアウツではなくフラッシュドローを引かないと勝てない状況です。

まずはフラッシュドローを引ける確率を求めましょう。アウツは9枚で二回引くチャンスがあるので前回学んだ四倍の法則から9×4=36%となります。四倍の法則は大体の勝率を教えてくれるものです。実際にはランナーランナー(ターン、リバー共にハンドが進展すること)のストレートや2ペアがあるので40%弱の勝率があります。

さて、ポットにはすでに$1500入っており相手は$1000のオールインを要求してきています。もしもフラッシュドローが引けて勝った場合、その時点から考えて収益はいくらでしょうか?

(勝った場合の収益) =(ポットの$1500)+(相手の1000$)
         =$2500

です。自分がコールするために必要な$1000は払って戻ってきているだけなので含めないように注意しましょう。負けた場合は単純にコールした分がなくなるので-$1000です。ここまで来れば期待値を求めるまであと一歩です。それぞれの確率と収益をかけたものを足し合わせたものが期待値でした。勝率をおおざっぱに40%としてしまうと

(コールの期待値) =($2500×0.4) + (-$1000×0.6)
         =$400

これでコールは一回あたり+$400のプレイであることが分かりました。少し勝率を多めに見積もったので実際には$300から$400くらいでしょう。いずれにしても迷わずコールです。

  • プリフロップで相手のオールインにコールする場合

自分がSBからQQで$1000に4ベットしたところBBの相手から3000$の5ベットオールインが帰ってきました。これもよくある場面でコールすべきか降りるべきか頭を悩ます人も多いと思います。QQは強いと言っても最強クラスではなく、AAやKKに圧倒的に負けているのに対してAKやAQといったハンドにはほぼ五分五分になります。

相手は5ベットをしてきているので相当強そうです。今回はAAかKKかAKだと仮定して話を進めていきましょう。つまりよくて勝率50%の状況でコールすべきかどうかという問題です。これだけ聞くと降りたくなるかもしれませんが、すでにポットにチップが入っている以上降りるのはマイナスになる可能性があります。降りる場合は相手のハンドが自分より強いからではなく、期待値がマイナスだからという理由で降りるようにしましょう。

相手のハンドがオーバーペア(AA or KK)か2オーバー(AK)で大きく運命が変わる訳ですが、ここは確率的に考えるしかありません。相手のハンドを絶対にAKだと決めつけることは非常に危険です。プロであっても一点読みできることはほとんどなく確率を使って考えています。

相手がオーバーペアもしくは2オーバーである確率はハンドを構成するカードの組み合わせを考えることで求めることができます。実戦ではこんなにシンプルに考えられることはあまりなく、経験値が物を言いますが考え方の軸は変わりません。あくまでこのように考えるべきというモデルとして理解してください。

【AAとKKの組み合わせ】
AhAd AhAs AhAc AdAs AdAc AsAc
KhKd KhKs KhKc KdKs KdKc KsKc

【AKの組み合わせ】
AhKh AhKd AhKs AhKc
AdKh AdKd AdKs AdKc
AsKh AsKd AsKs AsKc
AcKh AcKd AcKs AcKc

このようにオーバーペアの組み合わせは全部で12通り、2オーバーの組み合わせは全部で16通りあります。この組み合わせの比率はそのまま相手がそれぞれのハンド持っている確率と言うことができます。つまり

オーバーペアの確率 12/(12+16) = 3/7
2オーバーの確率      16/(12+16) = 4/7

となります。この先はオーバーペアの場合と2オーバーの場合の期待値をそれぞれ求め、さらにその期待値に関してもう一度期待値をとれば、アクション全体の期待値を求めることができます。期待値の期待値というように入れ子にして考えていくイメージです。

【相手がオーバーペアの場合のコールの期待値】

オーバーペアの勝率は80%なのでQQ側の勝率は20%となります。勝った場合の収益は自分と相手がすでにベットしている分を足して+$4000、負けた場合の収益は5ベットにコールした分の-$2000なので

(コールの期待値) =($4000×0.2) + (-$2000×0.8)
         =-$800

【相手が2オーバーの場合のコールの期待値】

QQの勝率は50%より若干いいですが簡単のため五分五分として

(コールの期待値) =($4000×0.5) + (-$2000×0.5)
         =$1000

つまり、コールするということは相手がオーバーペアの時は毎回$800の損失になり、2オーバーの時は毎回$1000の利益になるプレイをするということです。
あとは相手がオーバーペアの確率は3/7、2オーバーの確率は4/7だったことを思い出して、最終的なコール全体の期待値は

(コール全体の期待値) =(-$800×3/7) + ($1000×4/7)
               =$228.6……

QQで4ベットしてオールインが返ってくると相手がAAやKKだった場合に絶望的なので降りたくなる気持ちもわかりますが、期待値的な観点からみるとコールした方がいいということがわかります。これは相手がAKである可能性が十分高いこと、すでにポットにチップが入っておりオッズがよくなっていることが理由として挙げられます。

では、もしも相手の5ベットオールインにAKのオフスートはなくスーテッドのAKかAAかKKとリーディングすることができたらどうでしょうか?スーテッドAKの組み合わせは4通りしかないので

オーバーペアの確率 12/(12+4) = 3/4
2オーバーの確率        4/(12+4) = 1/4

となります。したがってコール全体の期待値は

(コール全体の期待値) =(-$800×3/4) + ($1000×1/4)
               =-$350

と今度は大幅にマイナスになりました。ここからQQをコールするか降りるかは相手のオールインにオフスートAKが含まれているかどうかが分かれ目になるということがわかると思います。ブラインドが$25/$50だとするとオフスートAKが含まれるかどうかで約12BBの差があるのでこれは重大な判断と言えます。相手をよく観察し、オールインに含まれるハンドをできる限り正確に予測し、期待値的に正解のアクションを導き出しましょう。

今回は二つの事例を用いて実戦的な期待値の考え方を解説しました。特にハンドの組み合わせの数からそのハンドを持っている確率を求めるというのは重要なテクニックです。ここまで理解すればもう期待値を使いこなす準備はできました。こんなに考えることが多いのかと思うかもしれませんが、合理的な判断をするためにどうしても必要なことです。このような考え方を続けているとあるプレイがあった時にその期待値が大体どのくらいか感覚的に掴めるようになってきます。まずは簡単なところからでいいので期待値で考えるということを自分の中で確立しましょう。


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筆者について

大学時代に友人の勧めでポーカーに出会い、プロポーカープレイヤーの道へ進む。海外キャッシュゲームの最高月利は400万。





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