週報#2 (2020/6/15〜21)

「年々感性が枯れていっている」という感覚がある。本当にそうかはわからないけど、「昔はもう少し器用だったし感性がある」とよく思う。
声も少しずつ枯れやすくなっていっていて目は焦点が合わないことが増えている。生き物としての張りのようなものがすこしずつ失われている、気がする。

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Twitterでは句読点を付けないでブログで句読点を付けるのは本当は良くないことなんじゃないかと思う。

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アニメ映画の『海獣の子供』をdアニメストアでレンタルして家のテレビで観た。去年の公開時に映画館で観たので今回が2回目。原作の漫画は読んでいない。
やっぱりかなり観念的というかなんというか難しい映画だった。水のある星=地球=子宮で新たな銀河が生まれる話なんだけど、それを通して、宇宙も人間も記憶を次に繋いでいくという点で本質的に同じだという話がなされる。
先週の週報にも書いたけど現実と観念がごちゃ混ぜになるわけわかんない展開に振り落とされないようについて行くのが基本的に好みだから、銀河が生まれるシーンは楽しかった。
筋書きもいいんだけどやっぱこの映画凄いなと思うのが、海の生き物の描写!水のある風景の映像美!劇伴(久石譲ジブリのイメージしかなかったけど全く感じさせなかった)!これらはマジで気合いが入っていた。そんなに頑張ったらお金なくなっちゃうでしょと思ったけど、たぶんタレントを多めに使うキャスティングで集客を見込んでいたのかもしれない。父親の稲垣吾郎は話が進むにつれちょっと気になった。主人公の芦田愛菜がマジで上手すぎる、スタッフロールまで全然気付かなかった、こんな観念的で難しい話で演技できる人だったんだ、雑なモノマネやってる人は全員3回見直して欲しい、みなさんも一度は彼女の素晴らしい仕事に触れて下さい。
あとEDの米津玄師が彼の曲の中でも頭抜けて好きなのでちょっと一回イヤホンで聴いてください。オーケストラと一瞬の間が作る深みと重厚感と浮遊感が好きです。

聴きましたか?ありがとうございます。
映画の方を観るときは部屋を暗くして観るといいと思います。

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平沢進のライブツアーが時世のせいで何本か潰れ、その代わりに無観客ライブの配信があった。いつものライブも低画質&低音質で無料配信はしてるけど、きちんとした有料の配信をワンマンでやるのは初めてだと思う。Twitterのフォロワー増加と共にライブ運営をSMASH(フジロックやったり外タレいっぱい呼んでるプロモーター)に任せるようになったのが大きいと思っている。
いつにも増して演出が光っていた。セグウェイでギターソロ、客席で本人がじっくり観ているカットインが入るなどのケレン味。曲の流れで舞台をほぼ撤去してがらんどうの中一人ギターを抱え、後ろではサポートメンバーが幕の後ろに隠れて影絵のまま演奏する、かつてないほどの孤独感。アニメ映画のパプリカで有象無象の行進が現実に侵食し始めるシーンは映画館の座席で始まるけど、挿入歌に使われたパレードの大サビではNHKホールの座席が同じ角度で映し出される。最近お気に入りでファンクラブの動画でも使っている棒付きカメラを「遠くまでキミは続く」と歌いながら掲げる。
もうひとつ今回が配信だったからこそ強く印象に残ったのは、いよいよ老いて歌声に衰えが隠しきれなくなってきたこと。
今までもサビとかでシレッと録音の歌を流してることはあったけど、ライブ会場の雰囲気や演出で違和感は少なかった。ただ今回は配信だったからこそ生歌と録音の差異が悲しいほど明らかになって、不安定なピッチ、裏声、そもそもの音圧の少なさが目立った。なんなら1番のAメロは歌だったけど2番のAメロは録音になったりもした。
ただ自分は平沢進が見せたいものに興味があるし、録音は録音で物凄く綺麗だから、なんなら全部録音でもいいのかもしれないと思った。でもやっぱり肉声が聴こえるとそれはそれで嬉しい。

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FaceAppで自分を女性化してかなりドキッとしてしまった。画像の肌ツヤなんかを加工する気持ちが初めて分かった。理性のブレーキをかけてどうにかインターネットに公開せずに済んだ。

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やるべきことが残ったまま何もせず、過ぎていく時間の中を身一つで突き抜けていく自分の様が、さながら屋台の幌を破きながら高所から落ちていくジャッキーチェンのようだと思った。違うわ。

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