週報#8 (2020/7/27〜8/2)

メイドインアビスの9巻、バイオレンスアクションの6巻、おむすびの転がる町を買って、どれも良かった。
特におむすび、マニア的とも言える観察眼で描かれた街のリアリティが物凄くしっかりしているので、そこに愉快な大ホラが混じってもそのまま日常が主役であり続けることに何の違和感もない。
異物を混入させることで逆に日常の物の見方をはっきり意識させる手法が、なんだか詩みたいで凄い。
途中に挟まれるエッセイや架空の通学路の文章(ディテールがとにかく細かい)も緻密ですごく良かった。
足摺り水族館だけまだ持ってないので買ってしまおうかな。

漫画に限らずその他のインプットについても、先々週くらいから始めた読書の仕方が功を奏している。今までは目が滑って先へ先へ急ぎがちだったけど、今は速度を抑えて、その分登場人物の心情や表現の意味について考えている。
食事に例えるとよく噛んで食べるみたいなことで、その分今まで見落としていた表現にも気付くし頭にも残りやすい。

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「だいたいのことは人それぞれだよね」という考え方を重視し始めてから会話で自分のことを伝える必要性がいよいよもって薄く感じられ、明らかにレスポンスが遅くなった。
最近奥さんがバトルロイヤル系のゲームにハマってかつての部活の仲間と通話しながらチーム戦をしていて、うだつの上がらない印象だった2個下の後輩が存外にハキハキ喋る。介護施設で働いているらしく、仕事の苦労について訊かれたことに対して下の処理の時は全員口呼吸でスースー言ってるなんて軽口と、それでも老人含め素敵な人ばかりだしやりがいがあるという自分の意見を淀みなく話していた。

翻って自分を見るに、返す言葉は曖昧だし、そもそも返し方が分からなかったり必要性を感じられなかったりでなんとなく濁してしまう時も多い。
こちらから話題を振るにしても、返ってくる答えに「そうなんだ」としか思えず、半ばむりやり糸口を探し回るのは少しだけ荷が重い。

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たまたま点けたNHKで、横浜銀蠅がデビュー40周年という触れ込みで放送局のスタジオからライブをしていた。全然詳しくないけど、見た感じ「還暦になってもツッパリロックするぜ!」みたいなふうだった。
正直、奏者の風態と曲がちぐはぐで、遥か昔に流行ったものを未だにこすっているという感想しか出てこなかった。視聴者の中にこれを観て「過去の遺物」という観念を想起しない人がいるのか疑わしい。
本人たちは「反抗的なロック」をこの年になってNHKでやることに対して、自分でどの程度折り合いを付けているのか、なんて月並みな想像をしながら観ていたけど、そんなちぐはぐさを全部受け入れてまで得たいもの・伝えたいもの・守りたいものがあってその為にやるんだろうと思うと、大人ってやっぱり大変なんだなという気持ちと一緒に、何か変な貫禄のようなものも感じられてきた。

テレビスタジオでライブをやっていると生演奏かどうか確かめるために真っ先にドラマーを見る習慣がある。セットのどこをどう叩いたか注視すれば、実際に出ている音と合わせて生演奏か録音かが比較的すぐに分かる。録音の場合、だいたいどこかしらで曲と違う部分を叩くし、音の鳴り方が違う場合もある。
別に録音だからヘタレだとも思わないしそれ自体で良し悪しは判断しないけど、そのスタイルがどうであるか(生演奏か、録音か、部分的に生演奏か、など)によって、今見ているものがどんな制約でできていて、製作者あるいはパフォーマーがどう見せたいのかを推測する材料になる。

今回の横浜銀蠅も、恐らくそうだろうなと思っていたけどシンバルが鳴ったタイミングで違うことをしていて、手の動きと音が噛み合っていなかった。
ただいつもと違うのはドラマーの動きが明らかにおかしく、躍動感がまったくと言っていいほどないことだった。姿勢はほぼ垂直、顔の向きもほぼ変わらず、腕がただ力なく上下に動いてさえいなければ座っているのとなんら変わりがない。
さらに驚いたことに、ダカダカ叩くフレーズの途中、きれいな音とは裏腹に明らかにスティックの動きがもつれていた。仮にもテレビに出るバンドでそんなことあるか?

カメラワークが切り替わって音の差異の理由に気づく。ツインドラム編成で、メンバーより一回り若い健康的なおじさんが一緒に叩いていた。そちらは実際に音が出ているようで、なおのこと本家ドラマーの異様さが際立つ。最初に大人の苦労について思いを馳せたけど、いよいよもって凄みがあった。

同じことを思っている人はいないかと放送後にTwitterで検索したところ、疑問を呈する人はいなかったけどドラマーが何年か前に脳梗塞をやっていたという情報を得た。
何も知らずにただ見たものから判断していれば格好悪いで終わっていたが、事情を垣間見たことで何があろうとも大切なものを突き通す大人の信念みたいなものが見えてきた。
ただそれを踏まえても実際にステージにあったものは大して好きになれず、なんともいえない複雑な気持ちになった。

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今週わりと週報のストックがあったのにいざ書き始めるとどんどん消えていったし、残ったものをなんとか形にするのに日曜日の大半が潰れた。
そのくせどこを目指しているか分からない、なんだこれと思うような内容でなんだかなあと思うけど、せっかく習慣になりつつあるし腐って何もしないよりは良い、はず。

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PCデスク用にIKEAで買った椅子が届いた。長く使うだろうものなので実際に座り比べ、一番良いと思ったものを買った。改めて座ると、やっぱり座り心地は悪くない。けど、ソファに身を預けるほどのリラックス感はなかった。ただこの場合「悪くない」というのがきっと重要で、短時間の集中やこまめな休憩に意識が向くようになる、はず。

IKEAの棚に嵌めてあった「ボーイズコミック」

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