見出し画像

3D対戦シューティング(オラタン)が待ちゲーになりやすい理由とその解決

『バーチャロン オラトリオタングラム(オラタン)』のような十分に空間が広い3D対戦シューターに共通する問題がある。それは、リードした側が逃げ切る展開になりやすい、という問題だ。
理屈としては簡単である。攻めるより待つ方が簡単だからだ。

待ちが強いシンプルな理由

身も蓋もないが、同じ能力を持ったキャラクターを操作していて、相手の攻撃を見てから回避できる3Dシューター(つまり、瞬間的に着弾するFPSはまた別)では、待っている方が有利だ。

たとえば、2人のプレイヤーが同じキャラクターを操作して、1人は前進しながら(つまり攻めながら)、1人はその場で同じライフルを撃ったとする。待っているプレイヤーは通常速の弾を避ければいい。しかし、前進しているプレイヤーはキャラクターの前進速度+弾の速度で弾が近づいてくるため、反応が難しくなる。つまり、攻めるプレイヤーは回避が難しくなるのが3D対戦シューティングのルールなのだ。

2D格闘ゲームでは画面端に敵を追い詰めるのが簡単だから問題が発生しづらい(それでも『ギルティギア』のように消極的な行動にペナルティを課すこともある)し、3Dでもゲーム性が2Dに寄っていれば同様だ。
しかし、例えば『バーチャファイター3tb』のサバクは画面端という概念がないため、1度リードを取ったら後ろに逃げ続けて時間切れ勝ちを狙うことができた。回避が強いゲームは、こういった問題がどこかで出る。

オラタンのシステムでは、待ち・逃げゲーになってしまう

さて、この「3D対戦STGで待ちが強い」問題が顕著に出たゲームが『オラタン』だ。
『オラタン』は、2人のプレイヤーがバーチャロイドと呼ばれるロボットを操作し、3D空間を自在に動きながら撃ち合う(ときに格闘する)対戦ゲームだ。

『オラタン』ではすべての攻撃が避けられる。そして、逃げ続けることにペナルティを与えるシステムもないし、同じ機体を使っていれば絶対に逃げている側が有利となっている。
そのため、先に攻撃を当てて体力で優位を取ったプレイヤーが待ち・逃げに徹し始める。負けている側は体力差を縮めるために追いかけるのだが、先ほど書いたように待っている方が優位だから、追いかける側が逆に反撃を受け、差を広げられやすい。
だから、最初に1回の大きめのダメージを与えた側が圧倒的に優位に立つゲームとなってしまっている。

これ自体は、完全に悪というわけではない。プレイスキル以外の揺らぎがない『オラタン』は、1回のヒットが命運を分ける緊張感のあるゲームとなっており、「優位を取る最初の1発をいかにあてるか」というところを焦点にして楽しんでいるストイックなプレイヤーもいる。

ただ、はたから見ているとしらけた試合になりやすいのは確かだし、ダメージを与えられずに追いかける展開にストレスを感じるプレイヤーは多いだろうし、ゲーム側にものちのち防止策が組み込まれ始めた。

追いかける側を有利にする挑戦

多く見られる対策は、「敵に近づきやすくし手攻防が発生しやすくする」ものだ。『オラタン』では敵に近づくときに使用する前ダッシュが特別早く設定されているし、『ガンダムvs』でも前に向かってブーストするときはブーストゲージの減りが小さい。

この設定には一定の効果があるが、プレイヤーの創意工夫が大抵それを上回る。慣れたプレイヤーなら『オラタン』では敵に背を向けて前ダッシュで「前に向かって逃げる」テクニックが使われ、『ガンダムvs』では2vs2の仕様を活かして目の前にいない敵(遠くにいる敵)に向かって前ブーストすることで「前に向かって逃げる」テクニックを使われたりする。

※この先は12月のゲームキャスト秘密基地マガジンに加入していれば見られて、課金でも高いけど見られます。返金はOKになっています。

ここから先は

1,796字 / 4画像

¥ 500

げーむきゃすと は あなた を みて、「さいごまで よんでくれて うれしい」と かたった。