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2020年になって『獣王記』が流行り、ゲーセン未体験のゲーマーたちに衝撃を与えた話。ジェネレーションギャップの話

2020年5月。
なぜか『獣王記』がDiscord内で流行って、10代~20代までのプレイヤーがガシガシ遊んだり、その様子を配信で見て感想を語っていたのが面白かったので記録として残しておく。
ゲーセン文化未体験の若者に、アーケードゲームはガチャより不健全と言われ、ジェネレーションギャップに震えた話。

『獣王記』は、1988年にセガがアーケード向けに販売した横スクロールアクションゲームだ。今回、流行ったのはそのメガドライブ移植版のさらに移植のSteam版だけど、基本は変わらない。
操作は左右移動、パンチ、キック、ジャンプの3ボタンのオーソドックスな作品だが、主人公が獣人に変身するのが特徴。

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最初はひ弱な人間から始まり、パワーアップアイテムを集めるだんだんと主人公が強くなり、最後には獣人に変化!
この変化シーンのビジュアルが印象的で、ネタに使われることも多い。

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獣人に変化すると、道中は無敵の強さ。
ステージ中の雑魚や障害物をモノともしなくなる。正直、道中の障害もかなり面倒なので獣人になった瞬間は「重荷から解放されたわ~」という開放感に包まれる。
もちろん楽勝でゲームクリアとはならず、獣人になってしばらくするとステージボスが登場する。
ボスは特徴的な攻撃パターンと、それぞれ異なる弱点を持っていて、そのパターンを見切らないと獣人でも簡単には倒せない。

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ダメージを受けて主人公が倒れ、残機がなくなるとゲーム終了(コンテニューは2回まで)。
と、そんな感じで全5ステージを攻略するゲームが『獣王記』。

なんてことない懐かしのアクションなのだが、PS2以降のゲーム機が標準の10~20代にプレイしてもらうと、かなり大変なゲームに見えたようだ。

このゲーム、難しすぎない?

・穴に落ちたら即死。
・無敵時間がないので敵にダメージを受けてのけぞると、そのまま連続でダメージを受ける。下手するとそのまま穴までのけぞり続けて即死。
・左右上の画面端から突然に敵が登場してダメージを受ける。
・パワーアップアイテムを取ると、一定時間硬直があって敵の攻撃を食らう
(ご褒美アイテムを取れたせいでダメージを受けるとかありえないよね!)

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そんな感じで、ゲームプレイ側からも、見ている側からも不満続出。まあ、今のゲームの難しさって親切なガイド+難しいだったりするので、不親切なガイド+難しいだとツライのは理解できる。

でも、難しすぎて流行る

ところが面白いもので、『獣王記』が身内で流行ったのはこの初見殺し・弱点に気づかないと永遠に倒せないボスの理不尽さが理由だった。

「2面のボスも倒せねぇのか!」
→「おまえやってみろ、ゲームは送るから」

「ボスは倒したけど、俺の友達はノーヒントからどれぐらいの時間でボスの倒し方に気づくかな?」
→「おーい、ゲーム送ったから今からプレイしてクリアしてくれ」

Steamでは、ゲームを買って友人にプレゼントできる。
たった100円のゲームなので、気軽にプレゼントされて『獣王記』はまたたくまに広がっていった。
誰かがゲームをもらってDiscordで配信すると、過去にプレイした人々が見に来るので観覧数も数十まで膨れ上がる(Discordのシステムの限界に近い)。
すると、配信する方もいろいろ突っ込みが入って楽しいし、プレイ中に「簡単そうに見えるのになぁ」と突っ込んでくる相手に「次はおまえがやれよ」と送ってしまう。

『獣王記』は謎の流行を見せた。
そして、プレイヤーが増えてくると話題として盛り上がり、話は意外な方向へと転がり始めた。

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