日本のいちゲーマーが、日本におけるXbox失敗と成功の歴史を振り返ってみる(清書版)

これは、先日書いたXbox Oneが日本で売れなかった理由の清書版で、これを今英訳(機械翻訳メインだけども)している。日本語のものを公開しておくのは、この個人的な文書に対して何かしら突っ込みが入って、品質が上がることを期待しているためだ。

なお、一番多く言われた「まとめサイトの影響は?」について、元から入れるか悩んでいたので書き加えた。次に多く言われた「アイマスは?」については販売本数などから考えてRPGより大きなトピックではないと考え、加えなかった。

「なぜ、HALOは日本で売れないんだ?」(Xbox時代)
「Xbox360は、なんで日本で売れていないんだ?」(Xbox360時代)
英語圏では日本のXbox販売台数が少ないことを不思議に思うゲーマーがいるらしい。そういったニュースが日本語に訳されて話題になることがあるし、私自身も聞かれる機会があった。それに対する回答を自分なりに出して、英訳して、英語圏のゲーマーの反応を見たいという気持ちが昔からあり、この文章を書いた。

これは日本のゲーマーの共通認識ではなく、私がプレイヤーとして感じたことを基準に書いている。公平性を欠くかもしれないが、ある程度の妥当性はあると思っている。
本文に入る前に、私のことも少し書いておく。私はファミコン時代からゲームを遊んでいて、今はスマホゲームの専門ゲームライターをしている。Xboxについては初代XboxとXbox360を購入し、Xbox oneは購入しなかった日本のゲーマーだ。どちらかと言えばMSは好きで、Xboxはビルゲイツのサイン入りだったし、クラウドドライブはOneDriveを利用しているし、PCはSurfaceだ(日本人は、日本製品だから買うわけではなく、自分に合うと思えば大抵は何でも買う)そういった情報を考慮したうえで読んでもらえればうれしい。

Xbox発売時の日本

Xboxは、厳しい状況で発売された。ライバルのプレイステーション2(PS2)には前世代で成功したプレイステーションの後継機という強みがあった。しかも、発売時の日本はVHSビデオデッキからDVDプレイヤーへの転換期だった。PS2はゲーマーだけでなく、安価なDVDプレイヤーとしてノンゲーマーまでが購入し、大ヒット商品になった。
2000年にPS2が発売されると、ソニーは3日間で98万台を販売したことを発表した。これは、日本のゲーム機ローンチ時の販売台数としては最高記録だった。2002年にXboxが出るときには、PS2が市場を制していた。Xboxが一般に売れる可能性は低くかった。

しかし、注目されなかったわけではない。MSがゲーム機に参入することは大きなニュースとして話題になったし、セガがドリームキャストから撤退したあと、Xboxは一部でセガゲーム機の代替として見られていた。『ジェットセットラジオ・フューチャー』や『パンツァードラグーンオルタ』、そのほかマニアックなゲームがXboxでリリースされることが予定されていたからだ。
Xboxは、コアなゲーマーからの注目を浴びて発売された。私も発売とほぼ同時に購入し、ビル・ゲイツのサイン入りバージョンを購入して興奮していた。

Xboxの実態

初代Xboxは注目を浴びて発売されたが、日本向けの品物ではなかった。

・コントローラーは大きすぎて日本人の手になじまなかった
・本体は大きく、日本の家屋に置きやすいものではなかった。
・本体が重く箱も持ち運びに適さず、購入して手で持ち帰ると疲れる
(日本の人口が集中する都市部では、車で買い物に行かない)
・日本で売るためのsystem-seller(キラーソフト)がない

欧米では『HALO』がsystem-sellerだった。しかし、Xbox発売時の日本ではFPSはマニア向けのジャンルと考えられており、「日本で知名度のないメーカーが作った、日本向けではないゲーム」でしかなかった。
MSは他にも日本の開発会社によるゲームも用意したが、それらの多くは日本のゲーマーというよりも海外を意識したゲームであり、日本のXbox販売数に大きく貢献するゲームはなかった。
日本では『Dead or Alive 3』をsystem-sellerとしたが、米国における『HALO』のような強力なインパクトはなかった。

さらに、発売直後に「Xboxで再生したDVDに傷が付く」問題が発生した。MSは当初「メディアに傷が付いても再生には支障が出ないので問題はない」と対応しないことをアナウンスして不評を買った(後にゲーム機とDVDの交換・修理に応じたが、遅かった)。

最終的に、Xboxは50万台売れた。
そして、Xboxは日本向けの設計ではなく、超ヘビーゲーマーが買うゲーム機というブランドイメージになってしまった。

Xbox360の発売とPS3の不調

Xboxのマイナスイメージにより、Xbox360は少しハンデを背負った状態で始まった。Xbox360はPS3より1年先行して発売されたが、PS2には前世代のゲーム機市場を制覇したという強みがあり、PS3が出るまで様子見をするゲーマーも多かった。

ところが、PS3が発売されると状況は変わり、Xbox360に追い風が吹いた。PS3は高価で、ソフトラインナップは貧弱で、あまり売れなかったのだ。PS2は発売3日で98万台売れたが、PS3は発売1週間で8.8万台の販売だった。

ソフトラインナップでも、Xbox360はPS3とほぼ互角に戦った。MSは日本向けに大作ゲームを開発することをアナウンスし、実際に出てきたゲームも日本向けのものが増えた(初代Xboxの日本向けゲームは、超マニア向けだった)。さらに、PS3発売前後もカプコンやバンダイナムコなどの大手が有望な独占ゲームを発表・リリースし、安心感も増した。
前世代のゲーム機では人気がなかった『Call of Duty』など海外製のゲームや新しいジャンルも受け入れられ始め、Xbox360の武器になった。PS3開発の難しさからか、初期はマルチプラットフォームのゲームがXbox360で先行発売されることがも珍しくなかったし、ゲームの発売本数でもXbox360はPS3を超えた。

オンライン機能の充実度、実績機能もすぐれていたし、Steamが普及していなかった日本ではXbox Live Arcadeでゲームを買う体験も先進的に見えていた。PS3の攻勢が始まるまで、ゲーマーの中には「PS3が負けるかもしれない」という予測をする者もいたほどXbox360には勢いがあった。

大作『ブルードラゴン』の勝負

MSはXbox360を日本で売るため、日本向けに独自の大作を必要としていた。そこで、日本で最も売れたRPG『ドラゴンクエスト』のキャラクターデザインを行った鳥山明さん、『ファイナルファンタジー』の生みの親である坂口博信さんを招いて『ブルードラゴン』と『ロストオデッセイ』を独占RPGとして開発することになった。

とくに『ブルードラゴン』には最大級の広告が投入された。ゲーム雑誌には発売前から特集が組まれ、発売後にアニメが放映され、日本で最も購読されている漫画雑誌、週刊少年ジャンプではブルードラゴンを元にした漫画が連載された(記憶が確かならば、ブルードラゴン以外で週刊少年ジャンプに連載されたゲーム原作の漫画はドラゴンクエストだけだ)

MSは『ブルードラゴン』を大ヒット作品にしようと必死だったし、できることをやっていたように思える。その成果もあってか、Xbox360はヘビーゲーマー向けの扱いを受けていたが、『ブルードラゴン』に関しては知名度が向上していた。

しかし、『ブルードラゴン』を発売時には逆風が吹いてしまった。任天堂が新型ゲーム機Wiiを発売したのだ。2006年11月に発売されたWiiはモーションコントロールの目新しさから瞬く間にヒットして話題をさらった。そして、Xbox360最大の戦略ソフトとして2006年12月に発売された『ブルードラゴン』はクリスマス商戦で存在感が減ってしまった。結果、大規模なプロモーションを行ったにもかかわらず、『ブルードラゴン』は20万本を売るにとどまった。

もっと言えばPS3のソフト不足が目立った2006年末~2009年までの貴重な2年強はWiiブームだった。Wiiによって存在感が薄れたことはXbox360の不運だったと思う。結局、2009年末に『ファイナルファンタジーXIII』がPS3専用で発売されるまで逆転しきれず、日本ではPS3が勢いを盛り返してしまう。

販売本数20万本という数字はXboxの歴史から言えば成功だったし、Xbox360の勢いを加速させた。しかし、同時にXbox360の限界もそこで示してしまったように思う。2008年から2010年初期に販売されたXbox360向けの大作RPGの販売本数も20万本で止まってしまっていて、『ブルードラゴン』の販売本数がXbox360で売れるゲームの天井だった。Wiiの発売が1年遅かったら、『ブルードラゴン』が40万本売れて、その他のRPGも40万本売れて、もっと勢いに乗れていたかもしれない。

RRoDとゴシップサイト

Xbox360は、前世代に続きハードウェアのトラブルに悩まされた。Xbox360が突然起動しなくなるRed Ring of Deathだ。それが発生したタイミングは、日本のウェブの歴史で見ても良くなかった。当時は悪質なゴシップサイトが最も勢いを持っており、ゲーム販売の足を引っ張っていたのだ。

悪質ゴシップサイトとは、ハードウェアファンボーイの対立をあおり、アクセス数を稼いで収益を得るサイトだ。当時は発売前のゲーム雑誌を手に入れて転載していたため、ゲームの情報はゴシップサイトが最も早く、コアゲーマーはそのサイトを見ていた。そして、そのゴシップサイトが悪意を持ってXboxの情報を伝えてPVを稼いでいたため、Xboxのイメージは悪くなった。

結果として、Xboxを「×箱(日本でXboxのXはbadという意味もあり、良い名前とは言えない)」と呼び、「マジかよ、糞箱売ってくる(Let's Throw bad box away in the trash)」など、Xboxを馬鹿にするネットミームが生まれて広まってしまった。これは実際にハードトラブルに悩まされたXbox360のイメージを下落させたと思う。

Xbox360それでもゲーマーに支持された

2009年以降、Xbox360はコアゲーマーが注目するゲーム機という位置づけに収まり、盛り返すチャンスはなくなった。しかし、それでも所有者の評価は高かった。実績やXbox Liveのオンラインシステムは先進的だったし、同じゲームを遊ぶならPS3よりもXbox360の方がスムーズに動いた。Xbox360のコントローラーも素晴らしかった。さらに、シューティングや格闘ゲームなどのコアゲーマーが支持するゲームが発売されていった。

ソフトラインナップを見ても、後期にも『モンスターハンター フロンティア オンライン』などコア向けのゲームを独占で確保し、新規プレイヤーがやってきた。この時期、Xbox360ファンは目に見えて増えたし、応援サイトも多数生まれて、コミュニティも活発だった。

・MSは十分に魅力的なゲームラインナップを提示できた
・Steamの普及していない日本ではXbox360のライブアーケードが魅力だった
・ゲーム機の性能が良いことがゲーマーに認められた
・オンライン機能の充実が好評を博した
・ハードに関しては故障が多い印象を深めた

Xbox360は最終的に約200万台を販売し、ファンを作り、前世代と比較して十分な成功をおさめた。Xbox360は、日本でのハードシェア争いには負けたが、この勢いで行けば、Xbox Oneはより成功できる可能性があったように思う。

Xbox One発売前の失敗

Xbox 360は成功した。しかし、MSはXbox Oneにバトンタッチする前に、失敗をしてしまった。Xbox 360は2011年からKinectというコントローラーを使ったゲームを看板にした。しかし、Kinectの利用には広い部屋が必要で、日本の住宅事情では満足に遊べないプレイヤーも多く、ヒットは難しかった。
さらに、Kinectゲームの代わりになる独占の日本向け話題作を提供できず、失速した。

同時に、Xbox360の終盤からMSのサポートはコミュニティをがっかりさせる小さな事件を起こしていった。2011年には『トーチライト発売中止事件(※1)』が、2012年には『HALO4』の声優を変更事件(※2)があり、迷走感があった。
このころから「次世代機では日本に力を入れない」という推測が流れるようになってしまった。

※1:日本では2011年4月9日に『トーチライト 日本語版』が発売予定となっていたが、MSは発売当日に「ローカライズが困難」という理由で発売をキャンセルした。しかし、のちに開発元の社長が「もとから日本語版は開発していなかった」と語ったため、『トーチライト』を楽しみにしていたファンの間で虚偽の告知がなされたことが問題となった。さらに、MSは虚偽の告知をしていたことを海外向けに謝罪したが、日本向けに謝罪しなかったためファンに大きな不信感を与えた。
※2:『HALO4』の主要人物の声優変更が発表され、日本では反対活動怒るほどの反響になった。署名運動が行われ、ファンがMS本社に直接抗議もされたが、声優変更は撤回されなかった。

Xbox Oneは日本を無視しているような印象を与えた

そういった状況で、MSは大きな失敗をしてしまう。Xbox Oneの日本発売は世界でも後回しになり、PS4よりも7カ月遅れての発売となった。しかも、Xbox Oneは当初Kinectをプッシュしていた。この状況は「Xbox Oneは日本に力を入れないだろう」という予測を確信にしてしまい、Xbox360ファンがPS4を購入する後押しとなった。

PS4・Xbox One世代のゲーム機はマルチプラットフォームが当たり前になり、両社で遊べるサードパーティー製ソフトに大きな差はなくなっていた。だから、海外ゲームが好きでXbox 360を選んだプレイヤーもPS4で満足できた。オンライン機能も差が縮まっていたし、性能面ではPS4はXbox Oneを上回っていた。PS4のオンラインは日本人が多く、マッチングが快適だった。
PS4があれば多くのゲーマーには満足できる状態になっていた。多くのXbox支持者がPS4に乗り換えて帰ってこなかった。

そんな状態のなかで、Xbox Oneは2014年9月に発売された。しかし、大規模な発売記念イベントも、目立つほどのTVCMもなかった。本当に発売されたのか疑われるほど、MSは静かだった。そのまま目立った広告は行われず、現在では一般のゲーマーはXbox Oneが発売された事実すら知らないこともあるし、小さなゲーム屋ではXbox Oneのゲーム売り場がないことすら多い。

Xbox One対応ソフトが少なすぎる問題

そういった状況で、日本では発売されるゲームも少なくなった。たとえば、『モンスターハンターワールド(MHW)』は日本でXbox One向けに発売されていない。
「Xbox One Xは最高にパワフルなゲーム機で、ロードも早いから日本で人気のMHWをやればいい」と言われても、日本では公式に発売されていない。

また、Xbox Oneの魅力としてインディーゲームの豊富さが挙げられるが、Steamの普及とともにLive Arcadeの優位性も低くなった。Xboxを買うようなコアゲーマーは良いPCを持っており、PCとPS4で遊べないゲームがXboxには期待されている。

すると、数少ないMS独占ゲーム、そしてKinect専用ゲームだけがXbox Oneを購入する理由になってしまう。『Halo』やKinectが好きならXbox Oneを購入する理由はあるが、PCで『フォルツァ』や『Gears of War』が遊べる現在、日本のゲーマーがXbox One買う理由は少なくなっている。

・イメージ戦略、性能などはPS4優位だった
・日本でXbox Oneは大きな宣伝をしなかった
・独占ソフトが少なくなり、買う理由が減った

もし、スカーレットで成功を修めたければ、日本のファンが食いつく独占ゲームを揃え、撤退しない意思表示を強く示さなければならないだろう。
私自身は、PS独占の『グランツーリスモ』に対抗してXboxで『フォルツァ』が開発され、お互いに競争して品質が高くなるような競い合いを期待している。
そういった競い合いを、きっちりローカライズされたゲームを遊んで味わいたい(Xbox OneではGearsが吹き替えから字幕ローカライズになり、これもがっかりされた一因だ)。だから、次世代機であるスカーレットにはこの状況を打開して欲しいと思っている。

私としては、今のXboxの責任者であるフィル・スペンサーさんにはとても期待している。頑張ってほしい。

最後に、前回の記事を公開したときに海外から寄せられた感想(少ししかないけど)を会員向けに載せておく。

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