本当に欲しいのは励ましの言葉じゃない

面倒くさい話をしよう。

人間は時々鬱になる。まあそれは仕方のない話だ。

些細な何かがキッカケになったり、重要なことがキッカケになったり憂鬱になる理由は様々だ。

例えば、両親の死やペットの死、友人と喧嘩したりするのもそうだが、物を落とした事や保護フィルムについた埃が取れずに鬱になる人物もいる。

そんなときどうするのか?

誰かに話したり気分転換が良いと言われ、それを実行する人もいる。

じゃあその知識はどこから?

インターネットの大海からだ。

昨今、憂鬱になる人の中には「自分の症状をネットで調べる人」や「憂鬱だ」「死にたい」などの言葉を検索する人がいる。

当然なのだが、トップヒットにあるのは人道的なサイトだ。要するに自殺防止だったりうつ病の病院紹介や症状紹介だ。

それらを見て思うことがある。

「こういう情報が欲しい訳じゃない」

そんな気分転換が出来ればやっているし、鬱になったときにやる事なんてその時頭からすっぽ抜けている。

正直言ってしまえば耳たこな話なのだ。

やれ散歩だとかやれリフレッシュだとか、そう言うので気分が変わるわけではない。

自殺防止も「貴方が居なくなれば悲しむ人が居る」なとどまるでこちらを知っているかのような口振りで自殺を止めにくる。

世の中には自殺する勇気のない人もいる。そんなことはもう何度も何度も聞いた。

鬱には種類がある。「しょんぼり」と口に出せる軽いものから、縛られていないとすぐ死にたがるような重いものまで。

それらを全て一種のうつ病として判断するのは若干恐怖ではある。

まだ軽い症状の人が、今の状態でうつ病診断なんてやると「重度のうつ病です!病院行きましょう!」といってくる。

追いつめられている人は「ああ、自分うつ病何だ!」と考えるかもしれない。ただそれは軽度の人でも思うかもしれない。

「あっ、この症状鬱なんだ…」と認識して、自分はうつ病なんだと思う人もいるかもしれない。

今、うつ病は理解されつつある病であり万人が掛かる現代病でもある。

だが、うつ病は理解されつつあるだけでまだ世界にはうつ病を信じない人もいる。

一時的なしょんぼりは鬱と言っても物凄く軽度。それこそパンケーキやマックで腹を満たせば比較的症状緩和が見込める。

本当に苦しい鬱はそんなもの口に入らない。

しょんぼり状態でなおかつ信じやすい人に「鬱です!」と言えばそれを鵜呑みにする場合も無くはない。

そして、うつ病の人が望んでいるのもうつ病のサイトでもリフレッシュするサイトでもない。

そのサイトはある意味通告にすぎない。

「うつ病です」と言うのはうつ病という病気を突きつける。会社には診断結果やカウンセリングを言わなければならない。

リフレッシュのサイトは、応援されている気分になる。よく言われる「うつ病の人にはがんばれと言ってはならない」というがその部類に入る。

では、私は何が欲しいのか。

単純に「同意」や「同調」である。

検索欄に入れてるのは「問いかけ」だ。誰かに何かを話すのと同じように入れる人は居ないだろうか。

それに対して「うん、わかるよ」「辛いね」という言葉を何処かで探してしまっているのだ。

苦しいね、辛いね、その気持ち良くわかる。涙が出て止まらないんだよね。泣きすぎると鼻が詰まるし、寝づらくなるよね。

起きるとき布団から出たくないよね。頭も痛くなるし、何も考えたくなくなるよね。仕事も行きたくない、でも仕事行かなきゃ行けないよね。

仕事しても気分晴れないし、いつもため息や俯きとかしちゃうよね。休憩時間も無為に過ごして、ミスしたらますます凹むよね。

休みの日くらいゆっくり眠りたいよね、でも出来ないんだよね。解決法が欲しいけど、それを考えるのも難しいよね。


人間には、同調が必要だ。

そこで何かを提案するのはナンセンスであり、無意味に近い。

真面目な人ほど鬱になる。現代では真面目な人ほど損をしている。

そんな彼らは、リフレッシュ方法や鬱の治し方や病院、自殺の方法など実は山ほど知っている可能性がある。

止めるのは確かに重要だ。だがそれが返って逆効果になる場合もある。

病状を突きつけられ、リフレッシュ方法も上手く行かず、「社会不適合者かもしれない」といらん心配をさせる場合もある。

もし、貴方がうつ病や自殺者に向けた文を書くのならば、どうか止めるだけではなくたくさん同調してほしい。

それはですますではなく、子供にいいきかせるような言葉遣いで構わない。

苦しいときにあれこれ解決法を教えられても、パンク状態には効かない。

ましてや心の電話などに電話をかける事すら億劫なのだ。

だから、同調してほしい。同意してほしい。

「今辛い人に向けた、ただ話を聞く姿勢の文章」をください。

この、感情が私だけでありますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?