日々の喜びも、苦悩も、全てを昇華する舞台の幕が上がる『ジャックジャンヌ』
文・canavis
「ジャックジャンヌ」は歌劇そのものと舞台裏を写した、ドキュメンタリーと本編の複合体のような作品に私は感じた。
本作「ジャックジャンヌ」は2021年3月18日に株式会社ブロッコリーがリリースした少年歌劇学校を舞台にした、シミュレーションゲームだ
プレイヤーは主人公「立花希佐」となり、ユニヴェール歌劇学校生徒として、春から3年生が卒業するまでの1年間を過ごす。
歌劇学校が舞台なので、学園生活を送る一年間の中で季節毎に公演が行われる。
春の新人公演、夏公演、秋公演、冬公演
そして3年生にとっては最後の公演となる最終公演(ユニヴェール公演)の5つの公演。
今作は公演と公演までの間の日常と、公演で描かれる物語、公演中の役者達の舞台裏の心情、そして、客席にいる、他のクラスの人間の様子まで描いている。
歌劇の公演そのものと、歌劇に打ち込む若者の日々、人間模様そして公演の舞台裏で起きるやりとり、全て描いている。
それはまるで公演まで日常と舞台裏を描いたドキュメンタリーと公演そのものを全て観ている感覚だろうか。
公演が始まるまでの日常パートでは登場人物が自分の弱さ、仲間への思い、舞台にかける思い入れ、そして覚悟を丹念に描いている。
公演パートでは、日常パートで丹念に描かれた登場人物の思いが劇の物語とリンクし、彼らの事情や思いは劇の中で昇華される。
公演の最中、仲間への思いや、自分の苦悩を乗り越えるように、登場人物達はその場で物語の表現をアドリブや芝居を変えてその場で進化させていく。
公演の舞台裏はそうした変化に戸惑いと混乱を感じつつ、表現がその場で進化していくことと、物語に合わせて自分達が成長していくことの高揚感を一緒に体験することになる。
公演でそれまでの日々の葛藤を清算し、人間関係も、登場人物も公演そのものも大きく成長していくカタルシスは、本作の魅力だ。
歌劇という表現に魅せられた若者達の季節、その全てを体験できる作品になっている。
ジャックジャンヌは Nintendo Switchで遊ぶことができる。
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