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『Dream Time#63「愛月ひかる」』への好きを叫ぶ

 ずっと見たい番組がひとつあった。それが『スカイ・ステージ・トーク Dream Time#63「愛月ひかる」』である。宝塚専門チャンネルタカラヅカ・スカイ・ステージのオリジナル番組で、宝塚歌劇団の若手二人が同じ組の先輩をゲストに迎えてトークをする一時間番組だ。

 私が見たかったこの回は、ゲストに星組の愛月ひかるさん、若手二人に同じく星組の極美慎さんと天飛華音さんが出演されている。私はロミオとジュリエットで死を演じる愛月ひかるさんに溺れてからスカイ・ステージの契約をしたのだが、この番組の存在に気が付いた時にはすでに放送期間は終わっていた。確か一週間とかそれくらいの差で見ることが叶わなくて、とても悔しかったのを覚えている。

 それがこの2021年11月1日から、タカラヅカ・オン・デマンドという宝塚動画配信サービスで配信されているのだ。ちなみに楽天TVでの配信はこちら。あぁリンクを開いたら表示されるサムネだけで表情が緩んでしまう。

 このテキストは、そんな私が、重箱の隅をつつくようにただひたすら好きを連ねているだけです。自信を持って言い切りますが、有益な情報は何一つありません。書き終えてみると予想以上の長文となってしまいました、我ながら呆れる5000文字オーバー。本当にいつでもブラウザバック推奨です。


 楽しかったなら感想をTwitterで呟けばいいと思っていた。それで実際呟いた。でも文字数が足りないのだ。もっと語りたい、だってこの番組の愛月ひかるさんの素敵っぷりが半端なさすぎるから。どの瞬間も魅力的ってどういうことだろう。

 まずはコーディネイトから語る。愛月さんが、極美さんと天飛さんから受けた服装リクエストは「私たちは草食動物でいくので、愛月さんは肉食動物でお願いします」という無茶振りもいいところの内容だったらしい。何だそのリクエストは?!ってなるし、たぶんなったと思うのだが、愛月さんがすごいのは「ちょうどいいのがあるわ」である。肉食動物の服装指定にちょうどいいのがあるクローゼットって何事だ。で、実際着ていらっしゃったのは赤に黒のヒョウ柄が散っているレザーのジャケット。インナーは黒のシャツで襟元まで釦をきっちり止めている。これがまた、違和感ひとつなくしっくり似合っていらっしゃる。完全に着こなされていて、黒のシャツと首筋の白さのコントラストが眩しかった。髪は明るめの金髪に内側が暗めの色で、前髪を斜めに流しており、時折見せてくれる目許にかかる前髪を指で整える仕草が大変ツボ。

 そしてネイル。宝塚の男役の方は通常ネイルはされていない、と思う。ただ役柄によってはネイルをされていることがあって、この時の愛月さんのネイルはロミオとジュリエットの死のネイルだった。私のテンションは急上昇である。あああああこれは死を演じられている時の愛月さんだ! この時点でもう私はおかしくなっていた。再生してからまだ数分後のことだ。これはヤバイ。ついでにこのテキストはこの調子でダラダラ続いていくのでそれもヤバイ。


 お互いの印象や愛月さんの好きな舞台などから話していくのだが、ここで極美さんは愛月さんのガチファンだな?!とびっくりした。研1の稽古場で視線でずっと追いかけていたって、極美さんが愛月さんにはまった具体的な切っ掛けはどこなんだろうとちょっと気になる。後輩と話す愛月さんの喋り方も好き。特に極美さんと話す時のトーンが、今素に近いんだろうなと思わせる喋り方で微笑ましい。ハットの被り方を説明してるとき、顔近くで動く指に見惚れてしまっていた。ネイル…死のネイルに彩られた指……。

 ハットの被り方、芝居の間、芝居の余白、貴重な話が色々聞けて嬉しい。と思っていたらぶっこまれる死について話そうとして上手く日本語が出てこない状態の極美さんに笑ってしまった。握手したい。私も絶対そうなる。そんな極美さんに「変なヤツ」と呟く愛月さんのトーン好き。ああ、死についてお話してくれて本当にありがとうございます。とっても嬉しい。自分の中の第三者的な視点を参考に効果的な動きを見出すって想像すらできないが、死を演じる愛月さんの指先ひとつ、眼差しひとつに心を奪われ続けている人間としてはその才能にありがとうございますと感謝しかない。第三者的な視点は努力によって後天的に備わるものなのだろうか。謎すぎる。なお、極美さんがロミオとジュリエットでマーキューシオ役と決まったとき「私愛月さんに殺されるんですね!」とめっちゃ笑顔で嬉しそうに報告に行ったというエピソードも好き。笑った。対する愛月さんの塩対応も含めて面白い。極美さん可愛い。


 先輩からテーマをひとつ決めてそれを学ぼうのコーナー、ドリームチャレンジのお題は『カッコいい椅子の座り方』。「最近(舞台上で)椅子に座ってない」と言う愛月さんに「椅子じゃなくて大階段に」と告げる極美さん。ほんとそれ!よくぞこのお題にしてくださった!!

 ロミオとジュリエットのフィナーレの中盤、愛月ひかるさんが大階段の中央に悠然と腰を下ろし、周囲を娘役さんに囲まれて登場するシーンがある。私は死のメイクでフィナーレを踊られる愛月さんがほんともう大好きで、漂うめちゃくちゃクールで不健康な色気にBlu-rayを再生するたび殺されているのだが、中でも大階段登場シーンは素晴らしい。冷淡な物憂げさと仄かに危険な雰囲気を纏い、色気たっぷりに存在していらっしゃる。ドラマや映画なら、敵勢力のカリスマトップか、めちゃくちゃ頭の切れる(なお腕っぷしも強い)一匹狼的存在がしっくりきそう。この舞台写真を手に入れて眺めてはうわぁかっこいい…と浸っている今日この頃だ。ちなみに極美さんは愛月さんの出番前から舞台で踊ってらっしゃって、曲が終わって振り返り、大階段上の愛月さんをギリギリまでガン見してから次の振りに入るとのこと。その気持ち、とってもわかる気がする。そして「最近ガッツリ見てくる人多くてちょっと面白い」と仰る愛月さんに笑った。見られてるなー面白いなーと思いながら、あれだけキメキメで存在できるプロな貴女が好きです。

 と、その座り方をレクチャーしてくれるというのだ。当然ながら番組の収録現場に大階段はないし、メイクだって舞台用じゃないし、どこにでもありそうな椅子に座っているのだけれど、「じゃああれやってみる?」と片腕を椅子の背にかけ、身体を捻って軽く蹴り上げた脚を組み、すっと視線を正面に流すお手本を見せられて私は固まった。そこにあるお姿はまぎれもなくあのフィナーレで大階段を支配するかのように座る愛月ひかるさん。そんな軽い調子ですんなり再現できるのか。恐ろしい。というかカッコよすぎて顔が緩む。コツは?顔の角度は?表情の付け方は?との質問に応じていらっしゃったけど「抜け感。頑張ってカッコ付けない。頑張らない色気」という言葉に、ほんとそれ!と思った。お手本を見せてくれたときの、過不足ないカッコよさというか、何気ないように見える動作から滲み出る男役の色気が本当に素敵。

 極美さんと天飛さんは、愛月さんの前でやる緊張と照れもあいまってか表情がどうしても笑み崩れてらっしゃったのが可愛かった。「形はいいので。顔はダメですけどね。今日は」と愛月さんのストレートなコメント。好き。最後に改めて愛月さんが座って脚を組む動きをされたのだけれど、破壊力が凄まじくて、私は10秒戻しては再生するを10回くらい無言で繰り返した。完全におかしくなっている。たぶんそのうちスロー再生すると思う。もう手の施しようがない、自覚している。愛月さんの違いはまず身体の捻りの角度が違う。右肘を大きく背もたれに回してかなり上半身を捩じっていらっしゃる。右肩の先が正面からは見えなくくらいの角度だった。逆に左肩から背中側のラインが見える。優雅に蹴り上げた脚を膝に乗せると同時、外していた視線をすっと正面に向けるのだが、その時の最初軽く伏せた眼差しがそれだけでクールで、視線を上げてぴたりと正面を捉えると華やかさとカッコよさが絶妙に上回るのだ。これ今すぐ撮影してブロマイドとして売ってくださいと思った。その愛月さんを見て「私には男役心が足りない」と仰ったのは天飛さん。愛月さんは可笑しそうに笑ってらっしゃったが、私はふと、愛月さんが以前「キザったりカッコつけたりするのは苦手」というようなことを仰っていたのを思い出した。どこで見聞きした情報だったのか覚えていない。インタビューか、過去のスカイステージの番組か、雑誌だったか……? 今のお姿を見ているととても信じられない。今回もカッコよく椅子に座るというこのお題で、「(カメラがあっても)できるね」と平然と言い、実際その瞬間だけ見事な男役オーラで魅了してくるのだ。でも、そういうことが苦手な時代があったとして、それを克服して今のお姿だと思うと、その裏に存在するのは宝塚男役への絶え間ない努力と研鑽なのだろうなと感じる。ああ、本当にカッコいい人だと惚れ直す。プロ意識とも言えるのだろうけれど、愛月さんの場合は宝塚への愛という言葉の方がしっくりくると思う私の主観だ。


 テーマトークという一問一答コーナーも楽しかった。愛月さんが楽しそうで、極美さんも天飛さんも楽しそうで、対後輩の愛月さんの話し方が新鮮。少し砕けた感じと時折入るツッコミと面白さ。舞台上のお姿とギャップがあって、私が本格的に愛月さんに落ちた最後のひと押しは、そのギャップだったことを思い出す。仲間とのトークでふんわりした声で面白いことを喋ったり、ツッコミ入れたり、先輩と一緒の時は甘えたりするお姿が可愛くて面白すぎた。全力で皆を笑わせたい愛月さんと瀬央さんの楽屋トーク聞いてみたい。あと、しつこく書くが口許を覆ったり、頬に手をやったりするその指先がほんっと堪らない。死のネイルの指先。ありがとうございます。なお、稽古が終わって帰宅してから頭を切り替えるために、ドラえもんやちびまるこちゃんを見る愛月さんは意外すぎた。そういう時あらすじ覚えているくらいのドラマや映画を流したくなる気持ちはとても分かる。最近私は巴里祭2019を再生することが多い。衣装の着こなしのこだわりや、男役のポリシーのお題では一転して真面目な深いお話が聞けた。本当にこの方は宝塚を愛していらっしゃるというのが伝わってくる。極美さんと天飛さんの舞台に立つ時のポリシーも素敵だった。「精進してまいります」という言葉、私が宝塚を見るようになってからかなり多い回数耳にしてきた。それまでは日常的に聞く言葉ではなかった。ひとりひとり、自分の理想を強く掲げて舞台に立っているからこその宝塚の輝きなのだろうとふと感じた。


 最後に台詞再現コーナー。宝塚歌劇の作品のワンシーンをそれぞれ役になって本読みをするコーナーで、何の作品が選ばれるのかは毎回異なる。ゲストに縁のある作品が選ばれるのだが、今回は『黒い瞳』。嬉しい。愛月さんの黒い瞳のプガチョフはとても好きだった。今回は愛月さんが主役ニコライ、極美さんがヒロインマーシャ、天飛さんがニコライと相対する立場でありながら友情を築くプガチョフという配役。

 愛月さんニコライ! 声のトーンが少し高めの穏やかな声。で、ここの見どころは「君と結婚したい」という愛月ニコライの台詞を受けた極美マーシャが片腕を突き上げて「やったー!!!」と叫ぶところ。もちろんそんなシナリオではない。愛月さんは天井を仰いで笑ってらっしゃったけど私も吹き出した。その前の極美マーシャの「大好き!」という台詞も、めっちゃ気持ちが籠っていたというかきっと演技じゃなくて本人の本気台詞だったよね。極美さん大変面白い。好き。愛月ニコライと天飛プガチョフ、「社会の敵」というところ、一発で声が重なって流石と思った。ノールックだったのに。役者さんはやはりすごい。

 最後は愛月プガチョフと極美ニコライの組み合わせ。「ちゃんとやってよ」と事前に釘を刺されていた極美さんだが、台本を読み進めるに従って笑顔が消えて役に入っていかれる姿が印象的だった。愛月さんも終わってから仰っていたが極美さんのニコライはしっくりくる。愛月さんのプガチョフは最高の一言。低く太く響く声。台詞の間、強弱。ほんとに好き……。読み終わって「すごい……」と言葉を失う極美さんと天飛さん。「もうやだこんな中途半端な」と首を横に振る愛月さん。私は素敵なものを見せて頂いて幸せしかなかった。


 あっという間の一時間番組で、定額サービスに加入しているので二か月くらい見放題なはず。すでに隙間時間で一部だけ視聴を何度も繰り返しているので、この番組が定額ラインナップから消えるころには何度再生しているのだろうかと思いつつ、本当に楽しくて幸せな番組をありがとうございますと感謝しかない。

 極美さんと天飛さんの存在は私の中にキッチリ刻まれて、宝塚の世界はこうやって深みに誘ってくるのか恐ろしい。お二人だけでトークするコーナーもあるのだが、その時のお二人のトーンは落ち着いていらっしゃってその差も面白かった。

 というわけで、散々好きと楽しいと幸せを綴って満足したのでそろそろ終わりにしようと思います。12月にスカイ・ステージで再放送されるので絶対録画すると心に誓っています。もしここまでお付き合い下さった方がいらっしゃるなら心からありがとうございます!

 愛月ひかるさん大好き!

 うん、このテキストはこの一行で要約できる。


※ヘッダーの画像はFF14のゲーム内で私が撮ったスクリーンショットです。権利表記は画像内に記したとおりです。

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