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トランプ 2.0

ドナルド・トランプという人とは、会った事がある。
待ちあわせて談合したわけではなくて、ずいぶん昔にブログ記事に書いたことがあるが、
年に1回、あちこちの都市で開かれるロシアン・ボールが、マンハッタンでも開かれて、招待されたので、チョー若かったこともあって、ニューヨークには手持ちがなかったタックスを急遽手に入れて、ホイホイと出かけて行った。

行ってみると、ロマノフ朝の王女だという、この地上に存在するはずがない姉妹が立っていて、トランプが恭しく横に控えている。
小さな小さな老女たちである「王女」たちに較べると、トランプは、やたらでかく見えて、その構図が気に入ったのか、上機嫌で、むかしから付き合う女のひとたちに
「ガメは、中身はカラッポだが見かけだけは立派だから」と、微妙な褒められ方で、なんだか買い物の飾りみたいな扱いで出かけるときに付属させられることが多かったわしは、威風堂々、ちょーエラソーな顔で、パーティの会場に入ろうとしたが、トランプに、止められて、
「どうぞ、大皇女殿下と握手なさってください」と言われて、そーかそーか、それは失礼と述べながら腰を屈めて王女さまたちと握手して、ついでなので手の甲にキスまでして差し上げた。

トランプは、頭がカラッポな人間同士の友愛を感じたものか、握手を求めてきて、
二言三言、ありきたりの挨拶を交わして、どうか楽しんでいってください、と述べていた。
いま考えて見ると、プラザホテルは、過去にトランプが持っていたので、ただそれだけの縁でしゃしゃり出てきたのに決まっているが、まるで自分が主催しているような顔で、開会の演説まで、長々とぶっこいたのは、トランプらしいと言えなくもない。

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