見出し画像

第2回VRCムービーアワードオススメ作品

こんにちは。高評価・チャンネル登録です。
先日、第2回VRCムービーアワードの受賞作が決まりました。


今回私は惜しくも受賞は逃してしまったのですが、
不思議と悔しさはありませんでした。
さもありなん。

会場にて、ヴァリアールの皆さんと

~~~~


さて、今年もこの記事の時間がやってきました。

VRCムービーアワード応募作
たまがわオススメ作品セレクション。

今年のたまがわ大賞に輝くのはどの作品か!?

※実際のアワードの結果やノミネートとは一切関係なく、魂川りんりの個人的お気に入りのみで判定されるものです。
※長編・短編・ショートなどの部門は考慮しません。
※前回のたまがわ大賞は「良きVRCライフをっ!

今年のたまがわ大賞は…






(ドラムロールの音)






喫茶BlueLounge
「ラブ・バター・ラブ~私をみつけて~」!!!


以下、コメントです。

この作品は他の追随を許さぬ抜群のお気に入り。

①わかりやすく楽しいストーリーと、丁寧な演出
視聴者をまっすぐに楽しませようとする娯楽映画的な素直さを感じる。
事前知識は必要なく、この作品のみで物語が完結するまとまりもよく、
物語で必要な情報が丁寧に過不足なく提示され、誰でもわかりやすく楽しめる。
しかしながら単純なストーリーでもなく、最後の最後に示唆される黒幕の存在により、今回の事件の本当の姿、喫茶BlueLoungeの持つ背景物語の奥深さも見えてくる。
中盤、事件の原因となった人物の起用はサプライズ的で嬉しい。
更に、全編を通して隙のない演出・編集はそれらを邪魔せず、気持ちよく見せてくれる。

②VRChatらしさ
お馴染みの基本アバターである「バター」が沢山登場する点。
「同じアバターになる」といったVRCならではの現象を取り入れているのも面白い。

③いやらしくないBL要素
喫茶BlueLoungeさんはその名の通りBLの文脈を多少なりとも含む。
本作にも同様に、当たり前のようにBL要素を含むストーリーになっているのだけど、BLを趣味としない私が視聴しても、それが全く気にならない。
自分の「好き」をしっかり表現した上で、視聴者へのノイズにならないよう調節するバランス感覚が巧み。

一方、第一回アワードに出した作品「いつもの喫茶」は、その趣味性が大爆発しており、スパぶいにて作者miyoko氏自身も、やや他作品とのギャップを感じたと語られた。
前回の反省から、今回のバターラブを生み出すに至ったと考えると、
その狙いは大成功しており、その完成度は凄まじいものだと感じた。

他にも、
丁寧な企画書づくり、演技や演出、ロゴやポスターのデザインなどなど良い点は沢山あり、かつ「ここはちょっとな…」なマイナスポイントがほとんどないのが総合的に素晴らしい。

第2回たまがわ大賞、おめでとうございます。
本作品で十分に完成しており、これ以上のものを作るのはなかなか難しいかもしれませんが、次回作も非常に楽しみにしております。



以下もおすすめ作品が続きます


「22:00」MB HOLDINGS

こちらも作りが丁寧で、素直に手放しで誉められる作品。
演技やキャラクターの魅力たっぷりで、松箱工業のいつものメンバーを楽しく表現した作品でもある。
等身もデフォルメもバラバラなのに、妙にしっくりくるのがいいよね。
アイドルグループやダンジョン飯のパーティのような面白さを感じる。

シナリオには驚きもあるが、その構造が既存の作品を彷彿をさせたため、少し視聴のノイズになってしまったかも。
しかしそれを差し置いても、10分間で表現された映像に2度おいしい楽しさが詰まっており、誰もが面白く感じる作品だと思う。

前作新入社員用研修ビデオ「現場に出る前に」は尖った面白さの一方やや荒削りだったが、それをうまく整え、今回の作品を仕上げた技量は素晴らしい。
個人的には前回のも負けずと面白いと感じたが、より大衆ウケを求めるならば今回の仕上げが大正解だと思う。

松箱工業メンバーの今後の活躍も楽しみにしております。


「忘れ水」BARBER’S HOLE PICTURES

視聴後、複雑な感情を抱き唸った作品。
たった3分の映像なのに、視聴後いろいろと考え、語られなかったさまざまな物語が思い浮かぶ。
こういうジワリと来る切ないヒューマンドラマ作品はアワードで珍しく、わたし好みである。
ショート部門は軽く楽しめるインスタントな動画が多いと思ったが、本作の重みは全ての応募作を見ても群を抜いている。

「禍津観音及び■■村の産土神信仰の資料映像【魔特六課 八咫烏】」
公安対魔特務六課_八咫烏 with JaMstudio

わたしの好きな分野POVホラーモキュメンタリーをより高品質に、コンパクトに仕上げた作品。
終盤の地蔵のビジュアルが素晴らしい。
POVホラーのトロの部分を余すことなく表現していて、この調子で本気を出されたら大宇宙倫理の会はひとたまりもない。
今後の状況によっては、完全上位互換になり得る作品。危険である。


「悍(おぞま)」電撃PROJECT

たっぷり3編+aのよくばり怪談。
何よりも素晴らしいのは語り部の演技の自然さ。生々しさ。
怪談を彩る映像もカメラアングルなどが工夫されており、見ていて楽しい。
3編もやらなければ短編、あるいはショートへの応募も可能だったはずなのに、
あえて長編作品として出すのも面白い。
ただ、怪談とは"そういうもの"なのだが、やや投げっぱなしな印象もある。
それぞれの話が実はリンクしていて~…的な仕掛けがあれば、最高の作品になった可能性がある。
(もしかして、私が気付いてないだけ…?)

「未然探偵」カキノキ

前述「悍」と同様に、いくつかの短編エピソードを組み合わせた作品。
大きく違う点は、それらのエピソードに緩急があり、最後の最後の大オチへ向かって盛り上げていく点。
作品全体を取り巻く謎「こいつらは何者なのか」についてもしっかりと種明かしをして綺麗にまとめ上げている。

「宇宙船からのSOS!」スタジオバグース

こちらもコミカルで楽しい作品。
口調や性格デフォルメが強いキャラクターが面白い。
シナリオや演出技法にも独自の味わいがあり、スタジオバグースだけにしか出せない魅力。
バトル中の二人が喋るときの電撃による画面割り。
宇宙の始まりがビッグバンなら…この演出を「ひめカット」とでも呼ぼうか。

脚本は序盤ややごちゃついていたように感じたが、見終わってみると大筋は王道。「名前」「主人公の能力」などいくつかのキーとなる要素をうまく使った上で美しいラストシーンへと繋ぎ、畳みかけるように流れる主題歌。
ここの演出が最高で、楽曲が忘れられなくなってしまった。


「Avatars Life ~こえのゆくえ~」ダニカルチャンネル

前回たまがわ大賞王者ダニカル氏の新作。
今作は前回「よきVRCライフを!」の登場人物も出演し、世界観を共有(?)するため前作ファンには嬉しい。
総じて演技はややぎこちないが、それもダニカルチャンネル作品の良さ。
ちょっとしたシーンのやりとりが楽しい。

ただ、前作よりもシリアスで壮大になったため、シナリオについて少し説明不足感は感じる。冒頭、大前提の舞台設定のために大事件が起こるが、それについての深堀りはなく、本筋としては全く別の話が進んでいくため、集中しきれなかった印象がある。


「VRCカップ検査シート」鬼灯工房

終わり方のネットミーム感が最高!



「ZONE -EPISODE ZERO-」ZONE FILM

私は基本的に、1作品として完結しているものを好む傾向がある。
そのため、予告編やPVなどはどうしても評価が落ちてしまうのだが、
この作品は全く別の視点で私の心をつかんだ。
迫力のある車の走行シーンは、フィクション強めの演出ではなく、現実的で臨場感がある。
その後の舐めるように移す車体も、好きなものを余すことなく表現しきっている。イニDや車やグランツーリスモや峠MAXが好きなわけではない私に、これはすごいぞと感じさせるパワー。
本編が始まったらどうなってしまうのか。

「VRヴィランショー4 黄炎たなびく漆黒戦士ヴァルドレッド」

今回の演劇枠。なんとあの悪役結社ヴァリアールが殴り込み!
ヴィランショー(ヒーローショーの悪役版!)のイベントを録画した映像。
制作母体がしっかりしており、キャラクター性や演技は目を見張るものがある。ただ、演劇という性質上、独特の間や観客へのコールレスポンスがあり、映画として視聴するとテンポやカメラワークが少し退屈に感じてしまう面もあった。
しかし、もしも今後初めから映像作品として制作した場合、大化けしうる団体だと感じる。

「私は。」ドクター・デリート

作者のドクター・デリートは、実は活動最初期からかなり付き合いが長いバーチャルユーチューバー。彼の不屈の精神はとてつもなく、持ち前の確かな技術によって近年みるみる頭角を現している。
わたしはVRC映画を撮り、自らの物語を語ることが大変おもしろいと思っているため「みんなもVRC映画撮ろうよ」と頻繁に呼び掛けていた。
それに応えてくれたのがドクター・デリートだった。ありがとう。
Vtuberの動画では表現できなかった自身の物語をこうして形にしているのは非常におもしろく、その人をより深く知れたような感覚がある。
皆も挑戦してほしい。

~~~~

アワード全体の印象は、第一回と比べてよりパワーアップしたといった意見もあったが、どちらも甲乙つけがたいと思います。
しかしながら変化は多く。
前回の大作はハードなSFアクション映画が多い印象でしたが、今回はホラー、ヒューマンドラマ、コメディなど様々なジャンルが増えてきた点。
王者ナカダプロダクション、強大なホテルカデシュチームが短編へ殴り込みをした点。
特に、第一回アワードで悔しい思いをした面々が、めざましい爪痕を刻んだ点はドラマティックで面白いと感じました。

今回私が特に面白いと感じたものは
「脚本がわかりやすく、素直に楽しい」作品が多かったです。

今思えばそれは「わかりにくく、外部情報があり、真相は推理しろ」の私の作品の裏返しであり、少し反省が必要なところ。
これは視聴者にゲームを遊んでもらいたいという謎解きやボードゲーム作家的な感覚によるもので、通常のミステリー映画として視聴者に見せるならば、真相までしっかりと語るべき。(雨穴さんの動画がそうであるように)
ただ、どちらも別の良さがあると思います。


次回はそれぞれがどんな作品を出してくるのか楽しみです。
わたしも引き続き「好きな人は好き」な映像を作っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?