貴方のいない世界なんて
いつまで経っても見ることができなかった(忙しくてさ)、最後の日。もう半年以上経ったんだね。
おれの人生において、SHAKALABBITSとはなんだろう。もちろん、それは音楽であって、だけどそれは物語でもあって、聖書であって、道しるべ。明日を生きる意味でもあり続けた。だってあの日、20090309以来、常に、いつも、必ず。次のライブの予定がおれのスケジュールに入っていて、次のライブのチケットが家の机にあった。それは、
"次のライブまで生きよう"
"次のライブまで頑張ろう"
という、あまりにも日常に根付いたおれの支えであり続けたんだ。
おれの行動の理由と決断を与えてくれるのはいつも釈迦だったし、それがおれのスイッチだった。そうじゃなかったら、大阪や名古屋に行くのが当たり前になる人生なんてそんなの、あり得なかったよ。
だって考えてみたら、おれの友達は高校の友達以外全員、あの日釈迦のライブに行かなかったら出会わなかった人だ。全員。あなたも。あなたもだ。
20歳のおれは、友達の作り方なんて知らなかった。と思う。今思うと。あの日ライブに行って、あの日JCB HALLでまーくんのフロアタムを受け取って、陽介とその連絡をする為にmixiのフレンドになって、twitterを始めたから、この世界と出会った。世界に見つけてもらえた。だからSHAKALABBITSはおれの人生であって、神である。物語であって意味であって、理由なんだ。
20161203、活動休止がうきさんの口から伝えられた。どう感じたかあんまり覚えていないんだけれど、あんなに動揺してるうきさんを見たのは初めてだったし、何がうきさんを泣かせているんだろうとずっと思っていた気がする。"私は嫌なんだよ"みたいな顔するなよって笑 こっちが辛くなるだろって。笑 そしてあんなROLLIEは、もう絶対嫌だと思った。
5月にアルバム"Her"のツアーを回って、その時はまだこれが最後なのかどうかもわからなくて。関西の仲間と見れば、いつも通り最高のライブだし、いつもいつも、感謝してもしきれない。大阪の1曲目で安心してめちゃくちゃ泣いてしまった。そこにSHAKALABBITSが"ある"ことに、涙が止まらなかった。消えたわけじゃないんだなって。"最高のアルバムなんだよ"って言うときだけ、うきさんはいつもの顔で笑った。そんなの知ってるよ。おれたちが誰より知ってるよと思って、また泣いた。
ツアーファイナル新木場で、最後のツアーが発表されて。残された時間を知ると、どこか冷静になってしまって、あと何ができるんだろうって思っていた。思えばSHAKALABBITSと出会ってからずっと、"あと何ができるんだろう"って思ってきた気がするな。
ツアー中はずっと、SHAKALABBITSが止まった後の世界の事を考えていた。端的に言えば、"どうやって生きるか"だよね。1番大切な物がなくなった世界をおれはいったいどう生きるのか。生きる意味だと言ってきたものがなくなった世界を。
だけど単純に、じゃあ死ぬのかっていうとそうじゃないよねと。どうしたらいいのかも、きっとそれも釈迦のライブに求めていたんだ。だけどそれは、最後のツアーだからじゃなくてこれまでもそうだったんだよ。あなたたちに生き方を求めていた。それが音楽を聴く理由でさえあった。自然な気持ちだった。
初日の埼玉に行けなくて、2日目の横浜でそう思った。簡単なことだ。ようは楽しめばいいんだと。それしかできないから、それだけやるんだ。これまでもそうだった。
どのライブも、どの曲も大切で、何月何日のどこのライブのどの曲が、って言われてもすごく難しいんだけど、
横浜で1曲目にさっきまで"昨日のセトリ聞きたい?笑"って言ってたあやかが"昨日と違う!!!"と叫んだこと
静岡のPivotでけいすけが飛んでいったこと
梅田のSWISS MAMMYでよしきが泣いたこと
ROLLIEでおれのコンタクトが取れたこと
うにくんが立ち上がれないくらい泣いたこと
京都でBIRTHDAYやったこと
神戸のmommy's back?の皆の声がすごかったこと
Pivotで泣いてたら持ち上げてくれたその腕が、顔を見なくてもよしきだとわかったこと
宇都宮で皆で食べた餃子、帰りの特急のレモン牛乳。大好きな、大好きな、大好きなKARENA。誓いの手紙。
まーくんが折るスティック。
たけちゃんが踊る時にあがる右足。
ようすけの汗でびちゃびちゃのベース。
うきさんの確信めいた笑顔と、おれの心臓を動かす歌声。
おれたちが一緒に過ごした10年。
どの日のどのライブで、どの瞬間にかわからないけれど、SHAKALABBITSが止まっても生きていけると。いつからかそう思っていたよ。安心感で涙が止まらなかったんだよ。
限定のTシャツが欲しくて早朝から集まった最後の日。20171104新木場STUDIO COAST。
押せば崩れるくらいの思い出を積んで積んで、乗っけて乗っけて。脳みそに収まりきらないくらいの感情をもらってやっと、辿り着いた最後の日。いつからか数えなくなったSHAKALABBITSのライブに行った回数。100回目くらいだろ、たぶん。SEが鳴る。始まれば、終わる。最後のライブが始まる。用意してた気持ちが全部飛んでいく。格好つけようと思って準備していた物が全部、どうでもよくなる。どうしたら伝えられるかわからないから、けいすけに耳元で言った。
"今までありがとう。お前がいなきゃ今日を迎えられなかった"と。
けいすけは"こちらこそ。これからもよろしく"と言ってくれた。いつも明日を見ていてくれてありがとう。救われました。
いつも思っていた。終わるのだと。だけどこの時初めて、"終わる"のだとわかった。でも不安じゃなかったよ。そこにSHAKALABBITSがいて、お前らがいるからね。一生記憶に残るライブだった。絶対忘れない。最後の最後まで、あなたはおれの生きる意味でした。
貴方のいない世界なんてきっと、灰色だと思っていたよ。
希望なんてないと思っていた。SHAKALABBITSがいなきゃ、この人生に意味なんてないと確信していた。この人生を与えてくれたのは、あなただ。その感謝を返すために生きていたかった。
だけどあなたは、いつもと同じ顔で歌うじゃないか。希望の歌を。おれが、"おれの人生だ"と叫ぶ歌を歌うじゃないか。"音楽はあなたの中に生き続ける"と、歌うじゃないか。
おれは尖っていて、自分勝手だから、昔々、あなたに言いました。
"あなたの歌のおかげで生きている。おれはいつもライブに行く時は本気で命をかけている。だからこれからも、命をかけて歌ってほしい"と。勝手な事を言うもんだ。
あなたは、"うん。命かけようよ。あたしだって、いつも本気だ"と言ってくれました。
うきさん。おれは、最後の最後まで胸を張って、いつも本気だったと言えるよ。そして、あなたも本当に最後の瞬間まで本気でしたね。あなたの歌う歌を信じて、あなたの言葉を信じて、毎日を生きていたよ。それが誇りなんだ。勝手に約束だと思っていた、あなたと交わした言葉を大切にして、生きてきたよ。たくさん仲間ができたよ。一生一緒に過ごしたい友達ができた。たくさんの物をもらって、いくつかの大切なものをなくしました。
でもやっぱり何があっても、"生まれ変わってもこの人生がいい"と、強がることができる人間になりました。それは、あなたが色鮮やかだからです。あなたは太陽です。だからあなたのいない世界は灰色だと思っていた。どうやって色を塗り直したらいいのか、もしかするといまだにわかっていないのかもしれません。あなたの代わりはいないから。この10年は、夢のような時間でした。どの瞬間を切り取ってもあまりにもカラフルで、奇跡だったんだと。
あなたは、生きてることはラッキーだと言うし、一度しか死ねないんだから好きにやれと言う。一生青春だと言う。SHAKALABBITSのおかげで、いつだって今が1番大切なんだと言い続けられた。いつだってあの日に戻れるんだよね。よかった。やっぱり、救ってくれるのはあなたの言葉でした。そしてこれからも。
次会う日は、どんな顔をしたら良いだろう。SHAKALABBITSがいない世界で、また大切なものを探します。SHAKALABBITSと一緒に探しますよ。そして次会えた時に、笑えますように。これまで長い間、たくさんの歌をどうもありがとうございました。また会いましょう。