道は続く
ガクテンソクが初めてルミネのトリを取った日に、すでにNGKのトリまで取られている和牛さんの解散が発表されました。
先輩方の選んだ道を、後輩がとやかく言うのは全然違うと思うのですが、同じ時期に若手劇場で戦っていた者として、思い出を少しだけ書かせてください。
和牛さんはお二人とも一期上の先輩ですが、NSCを卒業して数年後にコンビを組まれていたので、コンビ歴は学天即とほとんど一緒でした。
ある日、同じような時期にbaseよしもとに所属した和牛さんと学天即でユニットライブをやるように、社員さんから言われます。
その頃の学天即は、NSCを卒業していないということで、知ってる先輩も後輩もほとんどいない状態で、和牛さんにとっても学天即は謎の後輩だったと思います。さらに、僕が異常に尖っていたので、普通に嫌われてたと思います。このユニットライブに関しても、
『ユニットライブなんか意味ないやろ。どのコンビも敵なんやから、単独ライブでネタ作らな意味ないねん。』
などと思っていました。そんな僕が楽屋にいると、本当に爽やかに、なんの気取りもない声で、
「今度ユニットライブやることになったんやんな!よろしく頼むわ!」
と、声をかけられました。川西さんでした。続けざまに、
「お互いのことよく知らんし、打ち合わせがてら飲みに行かなあかんな!今日のライブ後とかどうや?」
その余りの爽やかさに当てられて、僕はめちゃくちゃ恥ずかしくなりました。自分が受け入れられるかどうかが不安だから、自分から他人を遠ざけていただけの薄っぺらい自分が馬鹿みたいだと思いました。
僕が、
「ぜひお願いします。」
というと川西さんは、
「オッケー。ほんならこのまま4人で行こか。」
というと、
「4人?俺も?そもそも打ち合わせなんやったら酒はいらんやろ。」
と聞こえてきました、さらに、
「大体、ユニットライブとか意味ないから、お互い30分ずつで単独ライブにしたらええねん。」
と言いました。水田さんでした。
『俺くらい尖ってる人おるよー!ってか、ほぼ同じこと言ってるよー!いや、俺は心で思ってるだけやけど、この人普通に口に出してるよー!もはや俺より数段上の尖り方してるよー!』
そんな水田さんを川西さんが説得し、4人で鳥貴族に行かせていただいたのですが、先輩が作ってくれた場所で、なんと学天即はケンカをしてしまいます。本気の言い合いです。そんな僕たちをお二人は、止めるでもなく、けしかけるでもなく、ずっと見続けていました。そして、僕たちのケンカがピークに達し、僕の頭に
解散
の言葉がよぎったときに水田さんが、
「まあそれだけ言い合えるってことは、お互い本気ってことやから、それはいいことなんじゃない。」
と言い、川西さんは、
「お互い言いたいことを吐き出したら、あとは良いライブにするだけやで。」
と言いました。大人な2人の意見を聞いて、僕たちは2人とも恥ずかしくなり、そのままケンカが終わりました。
学天即が人前でケンカをしたのは、後にも先にもあの一回だけです。和牛さんの前じゃなかったら、どうなってたかわかりません。
お二人がたくさん話し合いをされた上での、今回の結論だと思いますので、僕から何も言えることはありません。ただ、あの時お二人が受け入れてくれたガクテンソクで、今後もがんばっていこうと思います。
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