野球の神様④

バットくんとウォールくんの戦いの火蓋が切られました。


おぉおぉ、はじまったのぉ。


野球の神様は人間界でいうコーヒーのようなものを飲みながら戦況を穏やかに平和の象徴のような表情で見守っている。というか神様にできる表情は実はこの表情しかないから、たまたま周りからはそういう表情にみえるというだけなのだが。例えるなら七福神の恵比寿様のような表情か。神様を神様でたとえて申し訳ない。。


バットくんは9番ライトで出場。ウォールくんは4番ピッチャーで出場。

3回表にウォールくんとバットくんの初対戦が巡ってきた。


さぁてと、一つバットくんにチャンスをやるとするかなぁ。


バットくんの昨日の練習と今日の朝の過ごし方を考慮して、野球の神様はバットくんの味方をすることに決めたらしい。

ピッチャーのウォールくんが投げたボールは意図せず甘いど真ん中のコースに投じられた。


「ストライク!!」

バットくんは初球を見逃した。


おやおや、甘い球だったがのぉ、見逃しおったか。

2球目。今度はさっきよりも球威はあるがコースは甘い。

シュンッ。。

「ストライーク!ツー」

力ないスイングはボールの上を通り過ぎた。


あぁあぁ、なにやっとんじゃ。


ズドーンッ。

「ストライク!バッターアウト!!」

3球目のボールはアウトコースギリギリに完璧に決まった。

バットくんは手も足も出ず、天を仰ぎ、すぐさま肩を落として下を向いてトボトボ歩いてベンチへと戻っていった。


これでチャラじゃのぉ。


神様の心変わりは早いのである。

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