カリーレ監督の優秀さから見えてくる、長崎の現状と課題

皆さん、1週間お疲れ様です!
V・ファーレン長崎のサポーター兼短歌大好きなガイトと言います!

今回のテーマはカリーレ監督の優秀さということで、カリーレ監督の手腕をを紐解いていきたいと思います。
最近の長崎は内容がつまらない、監督が悪いのでは?と言われがちですが、なぜそう言われてしまうのか、そう言われていても、なぜ解任されないのかを考えていきます。

ダラダラと書きますが、良ければ少しの時間、お付き合いいだけると幸いです。


カリーレ監督のミッション

まず、長崎にカリーレが就任した際のミッションを、改めて整理してみると、

・攻撃的かつポゼッションサッカーの構築
・なかなか成績が上がらないチームの立て直し
・戦いながら戦力の見極め 
・平均年齢が上がりつつあったチームの若返り

大まかに言うと、この4点かなと思います。


そう、このミッション、冷静に考えて…
            とてつもなく難しいんです!!!


長崎サポはまず、このカリーレのミッションがとてつもなく難しい、ということを理解しておく必要があるのかなと思います。

特に前監督である松田監督は、ボールを握らせてカウンターという、ポゼッションサッカーとは真逆のサッカー。
当然選手も、カウンターサッカーに適応するような選手を集めてきたわけで、いきなり方向転換してもうまくいくわけがありませんよね。
さらに、カリーレは日本に始めてくる監督。日本のサッカーが何たるかを知らない段階からなかなかハードなミッションに挑むことになったわけですね。

その難題に加えて、カリーレに課された若返りと、自分のサッカーに合う選手を見極めるというミッション。ほぼ不可能に見えるミッションですが、次はそのミッションを理解した上で、これまでのカリーレの歩みを見ていきましょう。

カリーレ長崎1年の歩み


まず、カリーレ長崎1年の歩みを語る上で欠かせないのが、カリーレの柔軟性でしょう。ポゼッションサッカーが難しいと考えると、守備を固めるサッカーに切り替えたり、サイドバックの人員が少ないと見たら3バックを併用したり。

攻撃的なサッカーを志向する監督で、ここまで柔軟性のある監督はこれまでいたでしょうか。少なくとも僕は見たことがありません。

ここは意見の分かれるところだと思いますが、理想のサッカーに固執し、結果を残せず辞めていった監督も多い中、結果から目を背けないカリーレ監督の姿勢が個人的には好きです。

ただ、この1年でポゼッションサッカーを仕込めているのか、と言われるとたしかに疑問符が付きます。ファンマ頼みのサッカーであると言われればそうだし、試合内容がつまらないのは私もある程度共感するところです。

しかし、試合内容に言及する際に忘れないでほしいのが、まだ、松田監督が変わってから1年しか経っていないということです。
いくらいい補強ができていたとしても、1年でカリーレ好みの選手を揃えることができるわけがない。

今は我慢の時期なのかなと個人的に思います。
あと、よく縦ポンサッカーだ、松田さんから変えた意味がないと言われますが、そんなことはなくて、カリーレのサッカーはわかりづらくても少しずつ浸透してきているのかなと。

後ろからのビルドアップは徐々に改善されつつあり、引きすぎてしまうくせも改善傾向にある。目に見える変化が感じにくいので、目先の批判に繋がりがちですが、成長している部分にも目を向けることが大切だと強く思います。

あと、個を生かせば、ドン引きでカウンターをすれば、結果なんて簡単に出るだろとか言い出す人もいますが、そんなわけないですから!!

過去、どれだけの監督が結果が出ず低迷して、最終手段でドン引きカウンターをやったものの、それでもダメで解任されてきたか。引いた守備を構築するのにも能力がいるし、個を生かすにも能力がいるんです。

ファンマがどれだけ収めても、周りに選手がいなければ意味が無いし、能力が高いだけで守れるほど甘くないんです。

そら、理想を言えば、来た当初からポゼッションを仕込めて、最初から魅力的なサッカーができるのが1番いいですし、監督としても1番優秀だと思います。

ただ、サッカーはそんなに簡単では無い。J2は年々他チームも強くなっていく中で、なかなかやりたいサッカーはやらせてもらえないんですよね。

そんな時に理想に引っ張られ過ぎず、確実に勝ち点を掴み取る戦い方を選択して、しっかりと結果を残す。これも監督としては相当優秀な部類では無いかなと思います。

人心掌握の上手さ


また、カリーレの凄さは人心掌握にあるのかなと。日本にポゼッションサッカーを浸透させるのは大変で、最近は多くのポゼッションを志す監督が解任されています。

最近で1番の例でいうと、FC東京の監督になるでしょうか。アルベル監督の例を見ても分かる通り、ポゼッションサッカーの素養がない日本にポゼッションを仕込むのはとても難しく、原理原則がなかなか浸透しない。

浸透しないと、結果を急ぐがあまり、選手が不満を示し解任に繋がってしまうという悪循環。浦和のリカルド・ロドリゲス監督のときも、山形のクラモフスキー監督のときも、選手から不満が出ているように見えました。

全権を任されるようなクラブであれば、結果を急がずに戦術も浸透するかもしれないですが、即昇格を目指すクラブやJ1で上位を目指すクラブを指揮するのは相当難しいんだろうなと。

そういった目線で見てみると、カリーレの人心掌握の上手さが際立ちます。序盤上手くいかなかったときに、選手の意見を踏まえ修正。
そこからシンプルな戦い方で結果を残しつつ、現在に至るまでにまた少しずつ、ポゼッションを浸透させていく。 

この結果と理想のバランスが、カリーレの素晴らしいところ。選手を置き去りにせず、自分の哲学の徐々に混ぜていく。
ここの繊細さは、日本人向きな監督といえるではないでしょうか。

結果が出ないと選手やサポーターはイライラするし、理想を押し付けても上手くはいかない。そういった部分をしっかりと理解されている監督は意外と少ないと思います。 


チームの若返り


他に、カリーレになってから変わった部分で言うと平均年齢があります。

ベテラン選手が減り、中堅選手や若手選手を上手く起用しつつ、サブから安部、五月田、笠柳など、若手の起用を我慢強くしていると思います。

カリーレは選手の起用も柔軟ですね。メンバー固定は行わず、使っていなかった選手も、天皇杯で良ければ使う。ここの判断基準が明確なのは素晴らしいし、基準が明確だからこそ、競争が激化し、多くの選手が試合に絡める好循環が生まれているのかなと。

カリーレ長崎1年の評価

ここまでカリーレの就任してからの歩みをまとめてきたのですが、僕は70〜80点くらいは上げてもいいのかなと個人的には感じます。

試合内容や戦術の浸透には苦戦しているものの、不満があまり出てきていないサブも含めた選手運用や、若返りのミッションに対する取り組みは100点。
チームを作っている段階で、21節終了時点での勝ち点35、昇格も射程圏内の5位は上等なものです。

こうやって見ると、カリーレって優秀だと思いませんか?難しい状況でも投げ出さず、チームの現実に目を背けないで、その中でもチームをなんとか成長させようと苦心する。
選手のせいにも、フロントのせいにもしない姿勢も素晴らしいなと思います。



ただ、当たり前なのですが、今の状況が良いとは私も思っていません。優勝を目指した中で現時点では、首位と勝ち点11差。戦術も浸透していないとなれば、不安になる人の気持ちも分かります。

だから、最後は長崎の課題と、その課題に対する向き合い方についてまとめ、終わりにしようかなと思います。

カリーレ長崎の課題とこれから歩む未来について

さてさて、最後はカリーレ長崎の課題と展望を語っていきたいと思います。ここまでカリーレを基本褒めてきましたが、実際には監督にも課題があります(もちろん選手にも)。

最後に課題を2点ほど洗い出して、カリーレ長崎の行く末について考えてみましょう。

選手と監督の方向性の違い

カリーレ長崎はポゼッションで攻めるの?ロングボールで攻めるの?

まず1点目。
これはほとんどの人が1番感じている部分ではないでしょうか。下で繋いだと思ったら、ファンマにロングボールを蹴り出すし、戦術に一貫性がない。一貫性がないから見ていてつまらない!!

これはカリーレ長崎を見ていて、よくある現象ですよね。実際、選手も迷っているように見えるし、苦し紛れのロングボールもよくあると思います。

これに関しては、先ほど説明したカリーレの利点が、悪い方に作用している部分もあるのかなと。選手の話を聞きすり合わせ、自分の哲学を曲げられる柔軟性が自分の首を絞めている所は大いにある気がします。

我慢して繋いでほしくても、無理なら蹴っていいよと言えてしまう優しさがあるので、選手は我慢できずにポンポン蹴ってしまうのかなと感じる部分が最近は多いです。

これに関しては選手も悪いのですが、目先の結果や得点に囚われずに、戦術にこだわる部分をもっと大切にするべきだと思います。カリーレも柔軟性は大切にしつつも、ゲームモデルをもっと打ち出したサッカーにチャレンジしてほしい。

サポーターも我慢する必要はありますが、勝利よりももっと楽しいサッカーが見たいという声も大きいでしょう。大変だとは思う。でも、カリーレには我慢強くチーム作りに取り組んで欲しいし、サポーターはカリーレの力をもっと信じてあげるべきかなと。

一芸に秀でた選手が多すぎる

次に2点目。
これは一見良いように聞こえますが、一芸を持った選手ばかりだと、正直チームは回らないんですよね。一芸に秀でた選手の周りで汗をかき、どこでも働ける選手が居ないとチームはダメになる。そういう選手が長崎には少ない印象があります。

実際、継続的に出ている選手はどんな能力も平均的にあり、走れて闘える選手です。
米田、櫛引、鍬先、ファンマ、波多野、増山。こういった選手はやはり重宝されます。

しかし、これ以外の選手は一芸に秀でた選手ばかりなんです。

例えば守備陣でいうと、ヴァウドは跳ね返す能力はJ1クラスです。クロスを上げられても怖くないし、安定感もある。でも、ラインが上げられなかったり、足下が心もとないので、結果、ドン引きサッカーにせざるを得なくなってしまう。

攻撃陣だと、宮城や笠柳のセンスはピカイチ。しかし、奪われ方が危なっかしくてなかなか使えなくなる。
逆に澤田や大は、走力はあるんだけどキレという部分では見劣りする部分がある。

走力+技術、を求めたいのに、走力のみ、技術のみになってしまっている現状だと、なかなか足し算にならず、補おう補おうとして、チームが上手くいかないのかなと思います。

長崎が進むべき道とは

2点の課題を見てきましたが、じゃあ、長崎は上手くいかないのか?と言われると、そうでは無いと思います。大きいように見えるけれど、ピッチ内のズレは本当に小さくて、少しズレたら噛み合ってどんどん勝ち出すポテンシャルを秘めたチームだと信じています。

勝つためには、歯車を噛み合わさせるために必要なのが、点と点を線で繋げられる選手では無いのかなと。

上手くいった熊本戦では、チームのために走り、間でボールを受ける。走力と技術の融合を実現させた名倉の存在がとても大きかった。そういった、チームのために汗をかき、一芸を持った選手たちを上手いこと生かす選手の存在が、長崎を飛躍させると思います。

また、戦術的な面で言うなら、もっと選手がカリーレ監督を信じてほしい。ボランチにパスを出して取られてもいい、チャレンジして失敗してもいい。前向きな姿勢で取り組んで欲しいです。最近はいい攻撃も増えてきたんだから、もっと自信を持っていいよ。

精神面で、選手をまとめ、カリーレを信じる。そんな選手が出てくることを期待します。そうすれば、長崎はもっともっと上に行けるはず。

それが補強によって成し遂げられるのか、今のチームから出てくるのかは分かりませんが、1つ噛み合えば長崎はとてつもなく強いチームになれるはず。

サポーターも一丸になって、行こうよJ1に。

最後に

ここまで読んでくれた皆さん、結論もよく分からんし、ダラダラと長い文章をよく読んでくれました笑

僕が結局言いたかったのは、長崎は監督も選手も最高だぜってことです。噛み合えば最強なんだから、毎試合を楽しみに待ちましょう。まだまだあと21試合!成長の余地しかありませんよ!!!

というわけで、読んでいただきありがとうございました!!後半戦もよろしくお願いいたします!!!




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