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コロナの波をデータと資料で読み解いてみた

 大仰なタイトルですが、今までTwitterで呟いてきたことのまとめだったりします。論文になってたり、専門家が正式に認めたりしているものでは必ずしもないのですが、現実のデータと公式の資料でコロナ流行の傾向はおぼろげながらにみえてきていると私は思ってます。機序とかはまったく分かりませんが、データから見えた波についてちょっと解説します。

1 流行の波は変異で発生する

 コロナ流行の当初、感染拡大は「気の緩み」なんて言われてたりしました。WHOもこんな感じ。

当時の西村康稔担当相もこんな感じでした。

 じゃあ実際はどうだったかというと、気の緩みなどは関係なく、変異が発生すると流行の波が起きている可能性が非常に高い。厚労省のコロナ専門家アドバイザリーボードに毎回提出されている国立感染症研究所のデータに基づく資料がこちら。

 一目瞭然で波ごとに別の変異株が一時的な流行を起こしていると読み取れます。変異は若者がおとなしくしていようが、人間が活動を自粛しようが、ウイルス側の事情で勝手に起こっています。特に大規模な変異が起き、感染力が強くなった場合に人間側の対策によって感染を抑え込むなんてのは無理なんじゃないかと個人的には思います。

2 流行の始まりから1カ月半~2カ月でピークアウトする

 まぁもう書いたままなのですが、2~7波のグラフをまずは。

 2波だけ公表日なのは、当時の発症日別感染者数のデータが不十分で数が少なすぎるためです。いずれも東京都のオープンデータから私が作成しました。前後3日の計7日間平均にしてます。感染の立ち上がりをどことみるかは波によって微妙だったりはするのですが、おおむね感染の増加が始まってから1カ月半~2カ月でピーク、もしくはピークアウトしています。

 流行したウイルスによって感染力や世代時間は変化しているのですが、ほぼ同じ期間でピークに至っています。同じ分析は政府に予測データを提供している東大の仲田泰祐先生も「120日サイクル」説として取り上げています。

仲田先生は一般向け説明資料も公開してくれています。120日サイクル説に関するものだと例えばこれなど。

3 ピークをまではどんなに対策をしても感染は拡大する

 2波と7波は緊急事態宣言もまん延防止等重点措置(まん防)も発令されていませんでしたが、3~6波は緊急事態やまん防で行動制限が要請され、酒類の提供が制限、あるいは禁止されていたりしました。

 感染の度に「勝負の3週間」などと対策の徹底が叫ばれましたが、感染の波自体を防ぐことはできませんでした。

 多くの人は忘却の彼方でしょうが、感染拡大が始まる度に標語ができてましたね。

 ただ、これまでの波を振り返ると、対策により感染者の拡大自体を止めることは無理なのではと思っています。マスクをしようが、ワクチンを打とうが、変異による感染の拡大が始まるとピークまでは止められないのではないか。もしかすると社会活動を完全に止めれば可能なのかも知れませんが、社会的な弊害が大きすぎます。ゼロコロナにこだわっている中国の経済が不調なのはその良い例でしょう。

 じゃあ感染対策に意味が無いのかというとよく分からない。専門家の今の主張は「ピークカットする効果はある」ということだと理解してます。つまり感染対策をすると山が少し小さくなると。ただ、実際にそうした効果がどの程度あるのかは誰も分からないのが実態なんじゃないかと思います。

  そして2波と7波は緊急事態などの行動制限をしなくてもピークアウトしていっています。

4 ピークアウトすれば人流が増加しても感染は減少する

 まずはグラフを。

人流は当時公開されていたappleのデータを使用しました。私はそもそも人流と感染の相関は薄いなと思っていたのですが、上記の仲田先生も同様の見方を示しています。

 確かに接触機会が多ければ感染機会は多いはずなので、接触が増えても感染が減るというのは普通は違和感がありますよね。ワシントンポストも接触削減の重要性を示す特設サイトを作っていて、これは米国での自粛を促したと言われています。

https://www.washingtonpost.com/graphics/2020/health/corona-simulation-japanese/

 専門家による研究を待つのでしょうが、呼吸器系のウイルス性感染症はいったん広まると、人流抑制程度の対策では感染を止められないということなのかなと思っています。

5 専門家の発してきた情報と「暗黙」の前提?

 コロナ禍が始まってから、専門家が説明してきた流行のメカニズムと、私が上記で説明してきた内容はかなり違うと感じる方が多いと思います。専門家が主張してきたことをまとめると

・接触機会の削減で感染は防げる
・人流の増加で感染は増える
・対策をしなければ感染者は減少しない
・夜の街で感染が拡大する
・若い世代が感染を拡大した

 などなど。こうした専門家の主張は「感染拡大の要因はヒト側にある」ことが前提だと思います。一方、私がデータでみてきた結果からは「ウイルス側の要因が流行を左右していないか」という気がしています。

 「そんなのお前の妄想だ」と言われそうですが、私が解説してきたものと同じ認識の記事が毎日新聞に出ていたりします。

 有料記事なのですが、該当部分を引用します。

国内でも流行して感染者数が増えると、数カ月間である程度まで収束。その後、新しい変異株によって次の流行が起きるという状況が続いてきた。

毎日新聞 2022年7月6日 東京朝刊

 つまり流行は変異で起きるときちんと解説されています。記事の続きでは、大変異と小変異の違いや、インフルエンザとの比較なども紹介されています。

 この記事を書いた記者がどんな方なのか存じませんが、国の専門家は公式にはあまり言わないし、メディアで大きく取り上げられてはいないが「感染は人流や接触ではなく、変異で起きていた」ということは厚生労働省と記者クラブ回りでは暗黙の事実になっているのではないかと思っています。

 「論文で確定していないから公式には言えない」「確定した訳ではない」ということなのかも知れないですが、当初、説明してきた接触や人流が感染拡大との相関が薄い可能性はちゃんと説明すべきではないでしょうか。

 現在もマスクや手洗いが感染対策として推奨されています。当初はマスクが日本の被害が小さい「ファクターX」ではないかと言われたりもしましたが、感染自体を抑え込むような劇的な効果はないでしょう。効果がどの程度あるのか、もしくはゼロなのかマイナスなのかは議論が分かれますが、仮に効果があったとしても費用対効果でもはや着用をずっと続けるような状況ではないと個人的には考えます。

 「強い毒性に変異するかも知れない」と言う人もいますが、インフルエンザもOC43のような旧型コロナも毎年、変異を繰り返しています。急に強毒性になったことはないと思うので、過度に警戒すべきではないんじゃないの?というのが私の感想です。

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