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PCR検査でCMやってる「にしたんクリニック」について公開情報から調べてみた

初のnoteです。さてここで呟きましたが


 CMまでやってるPCR検査のにしたんクリニック。公式サイトをみてもどういう運営をしているのかいまいち分からない。病院自体は美容関係が中心で、インスタ映えするのがウリ。所属する医師もコロナ診療と関係のない専門の人のように見えるし、googleの検索サジェストでは「怪しい」なんてのも出たりするので、「気になっている人はそれなりにいるのではないか」と思って調べてみました。結論から書けば

 イモトのwifiで知られるエクスコムグローバルが実質経営をしているようです。公開情報から何がわかるか、試しにやってみましょう。ちなみに、個人情報に関わる部分は画像処理をかけてます。まず、にしたんのPCR検査サイトに特定商取引法に基づく表記があります。

 ここに書かれているのが「医療法人社団直悠会 にしたんクリニック」。この直悠会ってところが運営団体なのだろうと推察し、まずはここを調べることに。すると地方厚生局への申請情報をまとめたサイトがすぐに見つかりました。

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 会社の公式サイトは銀座院になってますが、こちらは渋谷院のようです。さて、この情報を基に登記を取ってみました。すると法人の設立がなんと昭和62年!正直「えっ」という感じ。そんなに長くやってるとは考えられないなと思ってたら、下の方にこんな表記が。

登記画像処理1

 昨年の6月に大阪府から事務所が移転してる。ということは大阪に閉鎖登記があるのではないかと思って調べました。そうするとビンゴ!でした。

登記画像処理その2

 どうやら大阪で設立された個人の診療所がもともとの直悠会らしい。さっそくこの診療所をgoogleストリートビューで見てみました。

現場画像処理1

 どうも建設中で、以前の建物が取り壊された後のような気がします。ここでストリートビューの過去画像を見てみました。すると

現場画像2

 ありました。わりと最近まで診療所としての建物が残っていたようです。土地の登記を調べてみると、この病院の理事長がどうやらお亡くなりになり、直悠会が所有していた土地を親族に遺産相続したようです。ということは、この不動産が切り離された時点で直悠会の法人格は空っぽとなります。ここで私は「法人格だけを売買したのではないか」という可能性を考えました。で、ネットで調べてみるとでるわでるわ。どうやら法人の新規設立には承認に半年くらいかかることがあり、迅速に病院を設立したいときに法人格の売買が行われているようです。こんなサイトもありました。

 その他の情報も総合すると、どうやら2019年ごろに法人格が売買され、東京でにしたんクリニック設立。そして2020年にPCR検査事業に参入したということだと推察しました。じゃあいつからPCR検査事業を始めたのだろうかと気になったところ、PR TIMESにプレスリリースを掲載しているではないですか。

 このスピードが尋常じゃない。20年8月24日に開始し、9月28日にはテレビCMを始めています。10月23日にはJALと提携、11月6日にはココカラファインやサンドラッグと提携、タレントの照英さんをCMに起用したのが11月30日ともの凄い展開です。これだけのことをやるには相当の資金力が必要です。しかし、法人格が売買された後の直悠会にそんなお金がありそうな形跡がまったくない。

 ちなみに現理事長の就任は今年1月。前の理事長の経歴もみたけど、どうもお飾りな感じがしたんですよね。ちなみに現理事長は昔、こんなインタビューに出てたのですが

 伊豆の方に医療相談ができるオーベルジュを開設していたとのこと。ただ、どうやらそれも短期間でやめてる。この方に資金力があるのか可能な範囲で調べてみましたが、いきなりCMを打つほどのお金は医師といえどもそう簡単ではないんじゃないかと思いました。ということは、実態として運営しているスポンサー的な団体がいるのではないか。しかし、この先どうやって調べたらよいか思いつかない。実は少し気になっていたのがにしたんクリニック公式サイトのこれ。

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 「代行:エクスコムグローバル」とある。エクスコムはイモトのwifwで有名だけど、エクスコムのサイトをみてもPCR検査だとかコールセンター代行みたいな事業は記載されていない。粘ってgoogle検索をしていたら

 なんと日経ビジネスにエクスコムグローバルの西村社長がインタビューでPCR検査事業について言及していて、しかも内容は完全ににしたん!しかしこの記事、にしたんの画像はあるが、言葉として「にしたん」という文字がないため、検索に引っかからないという。おそらく、箱としてのにしたんが表向きやっていることになっているので、実態がエクスコムだとはあまり言いたくないのでしょう。これで大体、分かった気がします。私の推測も入りますが、


2019年にエクスコムが美容医療事業に参入するため、箱としての直悠会を買収、にしたんクリニック開設

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20年、新型コロナ禍が本格化。イモトのwifiは海外出張や旅行の激減で大打撃。西村社長は7月、にしたんを使ってPCR検査事業への参入を思いつく

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PCR検査装置を導入や自社の社員も検査に活用する業態の大転換で8月24日からPCR検査事業を開始


 ということだったのだと思います。正直、PR TIMESとの連動とか、CM制作とか、他企業との協業とか、それなりに人がいないと絶体に無理です。直悠会は上のサイトだと常勤医師は1人しかおらず、とてもそんな業容を拡大できるスタッフがいるとは思えない。

 エクスコムの名前を出したがらないのは、法律上の問題があるのかもしれないし、イモトのwifiがPCR検査やっても信頼性に欠けるという判断なのかもしれない。そこはよく分からないが、薬事法ドットコムの関連サイトに、にしたんのPCRに関わっていたとの記載もある。いろいろ戦略的にやってたのではないだろうか。

 個人的には事業としてPCR検査を見いだし、企業としての危機を脱した西村社長の手腕はたいしたものだと思う。ホリエモンも絶賛している。

 これも日経ビジネスを見つけた後に発見しました。まぁ、一点だけ疑問を呈すなら、箱としての医療法人と実態として運営する企業が違う場合、なにかトラブルが起きたときの責任問題などがあいまいになることもある。また医療関係の事業はやはり透明性が高い方がいいと個人的には思うので、情報開示の在り方は改善の余地があるのではないか。

 それにしても、コロナによる危機的な状況で、別分野に急遽進出して利益を稼ぎ出すって並大抵ではなかったと思います。エクスコムグローバル、というか西村社長の能力には素直に脱帽です。

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