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28歳カードゲーマーの街コンレポート

Q. カードゲーマーが普通の街コンに行ったらどうなるか?

A.

マイルドに言えば人生経験を積んだ

 はい、ここから先は敗北者の日記です。暇なら付き合って欲しい。

 就職した会社の人事にカードゲームを誘われのめり込むこと早8年、誘ってきた先輩や一緒に遊んできた後輩が伴侶を見つける一方、私はクソカードを見つけてはしゃぐ日々を送っていた。

過ぎ去った思い出がカードと仕事しかない人生

 稼ぎを趣味に注ぎ込む生活は楽しく、このまま独身でも構わないと思っていたが、「独身のままでいるかは一回くらい彼女を作ってから考えては」という周囲からの意見もあって、物は試しと街コンに行ってきた。

 陰キャオタクが"陽"の世界で戦えるか不安だらけだったが、意外と何とかなった上に結構楽しかったのだ。そういうことで「面白いことをやったら記事を書け!」という尊敬する人の教えに従って筆を執ることにした。


前日譚

参加申し込み

 街コンの参加方法はいくつかあるが、「街コン」で検索して出てきたサイトから参加するのが手っ取り早い。今回私が参加したイベントは居酒屋タイプだ。ざっくり概要を説明すると

  1. 時間:19:00~21:00

  2. 年齢:男性22~34歳・女性22~32歳

  3. 参加費:男性8000円・女性2000円

  4. 会場:居酒屋

  5. 女性は席固定で一定時間毎に男性が席を移動する

  6. 最後に"全員"で連絡先を交換する

 それとサイトのバナーは
「公務員!大手企業!高身長 等ビジネスエリート多数参加!」
などと謳い、男性の参加条件をごちゃごちゃと書いているが、OR条件があまりにも多く何の意味も無い。実際に来た面子は相当怪しかった。

「お前はエリートじゃない!」

 さて、ここで気になるのは参加費の8000円だ。正直高いが、生活圏に近く、女性が支払う参加費が最も高いイベントを探した結果、このイベントに辿り着いた。

 実は以前婚活イベント(お見合い回転寿司タイプ)に参加しており、それは女性は無料だったのだ。そこの女性の質は率直に言って悪く、3分の1が無職という散々な地獄だったため、女性側の料金が少しでも高いものを選ぶことにした。実際、無償よりも質は高かった。

運営からの謎かけ

 金曜の夜にサイトを眺めていると、土曜に開催されるイベントが「女性満席!男性あと1名!」との見出しを出しており、女性の参加費も高いものだった。丁度良いのがあったと参加を申し込み、小一時間後にサイトを確認したところ、

「女性満席!男性あと2名!」

に表示内容が切り替わっていた。マイナス1足す1はマイナス2?
そうはならんやろ。

時として算数は数学よりも難しい

 いったいどういう理屈で"男性あと2名"になるのか、キャンセルが出て男性が足りていないのか、それとも負担の大きい男性を増やして利益を上げたいのか、単純に算数ができてないのか・・・思索に耽るが答えは出ないまま開催時間に近づく。開始1時間前になっても、”あと2名”の標記のまま。

 わからん問題は一旦置いておき、夕方に食事と風呂を済ませる。服装は最低限人間に見えるようにジャケパンで身を包み、前髪は上げて会場に向かう。オタクっぽい恰好はできるだけしないように。

 きっちり開始時間の10分前に到着し、2席のテーブルに通される。既に壁側の座席に女性が3人座っており、男性は私が一番乗りだった。とりあえずスタッフの兄ちゃんに参加費を渡し、一番重要なこと、今日の参加者を確認する。

「女性が5名で男性が4名です」

 8000円払って会えるのは5名のみ。それに"男性あと2名"の謎は解明されそうにない。誰かこの謎を解き明かして欲しい。

対戦記録

参加者

 今回の参加者は以下の通り
男性陣
・筆者(ガイ):28歳 / 設計職 / 体型普通 / 顔が濃い / 変人
・金髪君:24歳 / 内装業 / Tiktok好きのヤンキー
・現場兄貴:28歳 / ガタイが良い / 男から見てカッコいい
・坊主君:24歳 / 職業不詳 / 大物Youtuberシャム似

女性陣(年齢は推測値)
・事務員:28歳 / 美人寄りで幸薄い系の普通の人
・看護師A:24歳 / 気の強い婦長になりそうなイメージ
・看護師B:24歳 / 眼鏡+インドア女子
・看護師C:27歳 / 病んでそう
・看護師D:27歳 / アウトドア派
※看護師A/BとC/Dはそれぞれ同僚でペア参加

スタッフ
・アパレル店員のイメージ、会の間は別の席で飲んでる

R1:試練に臨む

 スタッフから事務員さんの対面に座るよう促されて、軽く話かけながら他のメンバーを待つ。ちらほら集まり出して、開始時間になったところで、私側のテーブルは "事務員 / 看護師AB / 金髪君" で埋まり、隣のテーブルは現場兄貴以外が揃う。

 全員揃っていない状況で始めるのもどうかと様子見していたところで坊主君が隣のテーブルから私に「自衛隊ですか?」と謎の質問をしてくる。一体どういう初手か困惑するも、それを皮切りに自己紹介を始める。

 各々が苗字で名乗り、一周したところで問題が発生する。もう名前を忘れかけているのだ!そもそも各テーブル毎に会話をする仕組みにも関わらず、一遍に自己紹介する意味とはいったい!?

 それぞれの苗字を頭の中で必死に反芻していると、最後の一人である現場兄貴がやってきたため、再度自己紹介の流れに。既に忘れかけていたので2回名乗って貰えるのは大変ありがたい。

 2回目の自己紹介も私からスタート、私は苗字+ニックネームを名乗るが、続く金髪君が下の名を名乗り、他の全員も下の名で自己紹介。さっきと違う名前を名乗るのはやめてくれ!混乱しながらも苗字と名前の神経衰弱を頭の中でしていると自己紹介が終わってしまった。結局、誰の名前も覚えることができなかった。もう終わりだよ。

カードを覚える脳みそはあっても人名は覚えることはできない

 名前は諦めてタイミングを見て聞き出すとして、さっくり会話を始めていく。幸いにして相方の金髪君がパリピ属性でバンバン喋ってくれるので適度に話題に乗っかって喋る。

 それにしても金髪君はどんどん喋る。少なくとも、"最近できた後輩と仕事中にさぼって怒られた話""実家の離れで宅飲みして苦情が飛んできた話”は絶対いらんやろ。途中、事務員さんが頑張って会話に参加しようしていたが圧に負けて口を閉じてしまったので、適度に話題を振って喋ってもらう。こういうケアは大切です。

 そうこうしているうちに、話題が”趣味”になる。覚悟を決めて試練に臨む。

「カードゲームやボードゲームをやっています。」

曲げられない信念を胸にいざ!

この街コンは終わりました
ちょっと誤魔化そうとボードゲームを入れたが無駄である。看護師から中々に堪える視線が飛んでくる。まぁ価値観の相違を許容できない相手とは付き合えないから仕方ない。

 話を変えるために別の趣味である"英会話教室"を持ち出す。仕事で英語を使うため通い始めたが、教師の米国人が毎回レゴブロックで色んな物を作ってきて、それの品評会が発生するような愉快なクラスで…珍獣を見るような視線になったのでこの話は止め止め・・・

 相手が興味を持たない話を長々とするのは止めよう。さっさと話を切り替えて、その後学生時代の部活が話題になった時、

看護師A「鉄道とか撮っていたでしょ」

 あっ・・・どうやら私はそういうジャンルにカテゴライズされたようだ。だいぶ詰んでしまったので挽回は諦めて後は人間観察に徹することにする。そんなこんなで45分経過した辺りで席替えの時間が来て次のラウンドへ。

世間の評価は厳しい

R2:虚無

 対面の看護師二人は率直に言って厳しく、興味を持てなかったため語ることが無い。それに仕事を今すぐに辞めたいとも言っており、滲み出る負のオーラを感じてしまった。
 適度にコミケーションを取ってそろそろ席替えするか、という話が出てきたところで最後のラウンドに移る。

R3:暴露

 席が近いので5対4で話をする流れになったところで、坊主君がトイレを口実に席を立ち、続けて事務員さんも席を立つ。すかさず「坊主君の事務員さん推しが凄かった!」と看護師Aが楽しそうに語る。そう、二人で抜け出して連絡先を交換するパターンである。実際に目の当たりにすると結構楽しい。

抜け出した二人、その結末は…

 さて、二人が抜け出している間、現場兄貴が一つの話題を提供する。

「好きなフェッチは何?」

"ゼンディカーの夜明け版"のフェッチランドが良き

 「フェチだよ、フェチ!ほら・・・男なら分かるだろ?」
突然訳の分からないことを言われてMTGの用語に脳内変換してしまった。
 「それは癖ってことか・・・?」「生々しく言い直さないでください」
私が言い直すや否や看護師Aに怒られる。ここのプレイングミスは難しすぎる。

 これが男しかいない場なら太ももとニーソの境界の話を語ってもよいが、場が場なのでぐっと堪える。適当にはぐらかして、現場兄貴に問い返す。こういうのは喋りたいことがあるから聞いて来たはずだ。さぁ教えてくれ、お前の癖を!

「俺はアキレス腱フェチなんよ」

何故自分を暴露するのか

 思ったよりヤバイのが出てきたな、どうすんだこれ!?別にアキレス腱フェチを否定はしないが、誰も理解できないから空気が固まってしまった。ちなみに女性陣に聞いた「男性の魅力的な部分」は血管だそうな。我らの血がご所望だ、現場兄貴は責任を取って注射を打たれてくれ。

 微妙な空気が流れ始めたところで、二人が帰ってくる。そこから話題を変えて話を続けていると遂に終焉が訪れる。看護師が4人で看護師トークを始めたのだ。この街コンは終わりました。

 女性陣が話始めたところで金髪君と席替えしてやってきた現場兄貴とお互い歳を感じ始めたなと身体の不調で盛り上がる。8000円払って俺たちは何しに来たんだろね。

 その後もぼちぼち話をして、お開きに時間が来る。別の席で飲んで居たであろうスタッフに兄ちゃんがやって来て「全員LINE交換してください~」と言われ、連絡先交換タイム。正直めんどくさかったが、坊主君が全員と交換してグループLINEを作ってそれで終了。交換後は男性から先に店を出て、後から女性が退店する流れ。

R4:まだ死んでいない

 二次会に行くかはその場の雰囲気で決めることにして、店の外で女性陣の退店を待つ。ちなみに坊主君は何故か外に出て来ない。程なくして女性陣が出てくると、看護師C,Dは速攻でさようなら。そして、事務員さんと看護師A.Bは二次会に行く気があるようだ。この街コンは終わっていなかった!?

脈は消えていなかった!?

 ちょっと気になったので、事務員さんに「坊主君にアプローチされていたけどどうだったの?」とド直球ストレートをぶん投げたところ、歯切れの悪い返答で察する。残念ながら滅茶苦茶推していた坊主君はだめだったようだ。

 それにしても、変わらず坊主君が出て来ない。しかし、彼は最も二次会に行きたそうな雰囲気をしているので、ちゃんと待つ。その間に金髪君が「帰りは車で送っていきますよ」とカッコつけて「飲酒運転ですよね」と看護師Aに怒られる場面が発生する。日本の飲酒運転が無くならない理由がここにあった。

 しばらくしてスタッフと一緒に坊主君が出てくる。彼が最後に出てきた理由は後ほど分かるのだが…ここでは疑問に思わず、そのまま二次会への移動を開始する。なお、二次会はサクッと済ませる店にしようと周囲に詳しい看護師ペアが選んだ。

R5:憎悪

 入店して通された席(掘りごたつ)を確認した後にトイレに向かう。正直なところ流れで着いて来ただけなので、他の面子に席を委ねるべく初手離席を選んだ。戻ってくると、3人のテーブルに金髪君と看護師A.B、4人のテーブルは坊主君と事務員さんが隣り合って座り、事務員さんの対面に現場兄貴が座っていた。私の席は現場兄貴の隣のようだ。

 早速、メニューを選んでいると、正面の坊主君から「モバイルバッテリー持っていませんか?」と聞かれる。持ってねぇよ。今度はやってきた店員の姉さんに充電器の有無と充電の可否を聞き始める。当然無いのだが、強い口調で確認するように言い放った後にトイレに向かう。

 「あいつ追い出そうよ」横暴な態度に看護師Aがぼやく。坊主君はコミュ力が高い方だと思っていたが、ただただ失礼なだけという疑惑が浮上する。ついでに職業不詳だったことを思い出し警戒心を上げるが、今更どうしようもない。

 案の定、戻ってきた坊主君はその本性を露わにする。会話の途中で事務員さんに執拗にボディタッチを始めたのだ。勿論事務員さんは嫌がっているが、気が弱いのかはっきりを意思表明ができない様子。看護師Aが「どうにかしてあげなよ」と視線でこちらに訴えかけてくる。すまん、坊主君と戦いたくないので対応を放棄します。触らぬ神になんとやら。

 坊主君の挙動には触れず結婚願望などの話を続けていると、幾つかの話題を経て事務員さんが姿勢矯正のソックスを履いている話になる。そして、彼女が靴を脱いでそれを見せてきたのだが、絶好の機会とばかりに現場兄貴が彼女の足を触りアキレス腱のチェックに入る!更に坊主君も負けじと彼女の足を触りに行く!遂に「ねぇ!足触ったの!」と看護師Aがキレる!あーもう滅茶苦茶だよ!

頼むから相手の目を見て行動しろ!

 何とかこの話題が終わると、今度は目の前で漫才が始まった。どんな相手が良いかという話題になり、

事務員さん「やさしい人が良いです」
坊主君「はい!僕はやさしいです!」

事務員さん「ギャンブルしない人が良いです」
坊主君「はい!・・・今月ゲームセンターで200円使ったけど大丈夫です!」

事務員さん「真面目に働いている人が良いです」
坊主君「はい!・・・怒られているけど頑張っています!」

 遠回し?に「あなたが嫌い」と主張する事務員さんへ何とかアピールする坊主君の健気な姿は涙無しでは見られない。隣の席で仲良く談笑している金髪君と看護師Bが羨ましい。こっちは冷えっ冷えだよ。

R6:却下

 坊主君が撃沈した後、そろそろお開きにして三次会の話をどうするかの話になった。私はもう色々とお腹いっぱいなのでここで抜けることを伝えると、

事務員さん「ガイさん(筆者)、連絡先を交換しませんか?」

贈られる物は何時だって要らない物

 予想外の展開に吃驚したが、正直なところ全く興味を持てなかったため、「グループラインから友達追加ください」とさっくり返しておく。ついでに坊主君から妨害が入る。私は何もしていないんだが・・・まぁ今回に限って言えば、"何を言ったかよりも何を言わなかったが重要"だった気がする。失言には気を付けよう(カードゲームが失言かどうかは議論の余地があるとして)

 話を三次会の店選びに戻すと、坊主君が携帯を充電できる場所が良いと言い出す。スマホ太郎かな?「自分で探してください」と看護師Aに冷たくあしらわれると、本当に坊主君が三次会の場所を探しに店を出て行く!?えっ会計終わってないんだが!

 会計(7000円)をどうするか頭の中で考えていたが、いない人間から徴収することもできないので、一旦私が全額支払って店を出ることに(ちょっとカッコつけたかった)。その後、女性陣からのお金は断って、残っている金髪君と現場兄貴には1000円ずつお願いする。なお、現場兄貴は変態だがイケメンなので2000円は出してくれた。

 そうこうしている内に坊主君が店の前に戻ってくる。すまん、無銭飲食を疑ってたわ。んじゃ、1000円出してくれ。

坊主君「PayPayでいいですか?」

ダメです

 ここは福岡では無い。申し訳ないが、キャッシュレス対応店舗が少ない地方で暮らす人間にPayPayは必要無い。そういえば、最初の店の参加費は現金のみと通知されていたはずだが・・・最後にスタッフと出てきたあたり、一切現金持って来なかったな君は!?

 残念ながら坊主君からの徴収は諦めて一人先に撤退する。残りのメンバーは三次会に行くそうだ。飲酒運転しないように気を付けてね。

終わりに

 初めての街コンで行く前は通用するか不安だらけだったが、普段接触することのない人種と会話するのは結構面白かった。どちらかと言えば人間観察を楽しんでしまったが・・・

 ただ、今回5人の女性としか話すことができなかったことが心残りだ。少人数のためガッツリ話すことはできたが、惹かれる女性を引けないことには意味が無い。ということで次は女性余りと噂される福岡に遠征にしようと思う。果たして"趣味:カードゲーム"は通用するだろうか・・・?取り合えずPayPayはインストールしておこう。


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