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一日だけの逃避行

浪人時代、河合塾の信濃町校(東京代々木近くの信濃町なり)に通っていた。1つ前の投稿の漢文講師との出会いの場である。

よく、講師の代ゼミ、生徒の駿台、設備の河合と3大予備校をあまりにも漠然と、揶揄も込めて分類する言い方が当時流行った。

私は現役時代の短期講習を含めると3大予備校全て知ってるが、

その分類は全くもってしてテキトー。

代ゼミや駿台は一部老朽化された校舎があり、比較的新しかった河合塾が設備と言われる所以は多少分かる。

駿台は理系国公立大志願が比較的多かったからそう言われた気もする。国公立大は学費がリーズナブルなのも含めてブランドが高いが、それがイコール優秀というわけではない。むしろ、私立の方が教科数も少なく狙う人が多くて競争が激しくて難関ということもある(逆転現象)

理系/文系で理系が頭良いというのは完全なバイアスであり、それは学問のアプローチの仕方とそれに対する嗜好の違いでしかない。

自分が得意だったから言うわけではないが、文系/理系問わず最も頭脳が試されるのは現代文(評論文)の問題と小論文だと想う。

他の教科のように暗記した差ではなく、個人の持つ思考力が最も純粋に試さられるから。

よって生徒の駿台という言い方もテキトー。

講師の代ゼミについては当時カリスマ日本史講師の菅野氏がいたり有名人が比較的多かったためか?

河合は結果的に満足度が非常に高く魅力的な講師陣に恵まれた。

カリスマ講師になると年収もそれなりに良かっただろうが
非常に狭き門であるため、芸能人として当たるくらいの運と実力が必要。なので狭き門過ぎてその世界は目指さなかったが、
憧れの職業でもあり、オンライン講師含めて私はやりたい副業の1つである。

そんな浪人時代は非常に熱心に通い勉強した。家庭でもそれなりに猛勉強をした。猛勉強の中には読書や日記帳へのエッセイや論文執筆も含まれる。

そんな河合塾通いも実は皆勤賞ではなく、1日だけズル休みをしたことがある。

当時の心情をできるだけ正確に言い表すと

たしか、11月〜12月の晩秋から初冬にかけて、それまで皆勤賞かつ十分な勉強をしたため、1日くらいの息抜きをして英気を養いたいという月並みな理由もある。

または、完全主義で縁起恐怖症的な私はそういうことを自分に許さない性格だったが、そんな自分を俯瞰して別の自分がちとイタヅラをしたくなった心理。

あるいは表現を変えると梶井基次郎が本屋だか店舗に檸檬を置いていくという爆弾テロ犯のような愉快犯のような面持ちに興奮したというあの倒錯した心理が働いたとも言える。

明快な理由と屈折した難関な理由のミックスで結果、複雑怪奇な理由で逃避行を決めたのだ。

自転車で新宿方向とは真逆の相模湖の方に向かいかなり山合いをサイクリングした。ウォークマンでレッドツェッペリンの天国の階段とホワイトスネイクのセイリングシップを聴きながら。

狙いはバッチリで、凄くリフレッシュして、その1日の講座での知識の欠損の損失以上にメンタル面での飛躍に、繋がった。

そんなかわいい逃避行である。

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