修身教授録<Ⅰ> 解題

寺田清一という方が執筆されている、後書き解説のような項です。
本著書を読み進める前に読むべき項とお薦めをいただいたので、読み進めている途中ですが読んでみました。

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森先生の「人と思想」の源流がこの『修身教授録』
学生に口述筆記を求め、国語教育第一人者の芦田恵之助先生がそれに触れられて、感動して連載を所望し、『修身教授録』にまとめられた。
日本哲学ともいうべき「全一学」と「人生二度なし」が森先生の一枚看板であり、学問も信仰も実践もこの根本信念より発している。
与えられた人生と仕事にいかに全力的に取り組むかがテーマ。
この講義は昭和12年頃に師範学校の生徒向けであるので有用な対象も限定的と思われるかもしれないが、物質的豊かさにおぼれ精神的に弛緩している現代人にこそ最も読まれるべき著書である。

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昭和12年は戦前ではありますが、満州事変や二・二六事件もあり日本が軍事的な方向に向かっている最中です。そのような中で森先生が真に国を憂いて、真の人間を育てなければならないと使命感を持っておられたのではないでしょうか。
『海賊と呼ばれた男』では自分の利益ばかり求めて他を省みない人物が数々登頂しますが、この修身教授録のような授業があと30年早くエリート層に必修な内容として浸透していれば、日本は完膚なきまで負けることはなかったかもしれません。そもそも戦争以外に道を見出した可能性もあります。
リーダーに哲学が必要であることを改めて思い知りました。

この項の内容は教育の理論や流れなども凝縮されていてなかなかに難解で、本書を読む前に読んでもあまり理解できないかもしれません。私は24講まで読んでこの著書の価値を理解しているので何とか理解しようと頑張れましたが…。

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