お金について一緒に学べる『がっちりスクール!!』始まります!
はじめまして!
経済バラエティ番組『がっちりマンデー!!』(毎週日曜あさ7時30分~放送中/TBS系)です。
『がっちりマンデー!!』では、全国各地の飲食店や町工場の小さな儲かりアイデアから、何億円も稼ぎまくる巨大企業の最新ビジネス戦略まで、お金儲けにまつわる情報を15年以上にわたってお届けしてきました。
視聴者のみなさまからもたくさんの応援やお問い合わせをいただくなか、30分番組では限られた情報しか収めきれないことを心苦しく思っていました......。
そこで!
放送では載せられなかった番組コンテンツや、ビジネス解説でさらに深く楽しめる『がっちりスクール!!』を開校しました。番組を観ていただいている方も、番組名を初めて耳にした方も、お金やお金儲けについて一緒に楽しく学んでいきませんか?
『がっちりスクール!!』の1講目となる今回は、がっちりGUESTとしてもおなじみの経済アナリスト・森永卓郎さんがコラムを寄稿してくれました。
企業の終身雇用が崩壊するなか、サイボウズの「100人いたら100通りの働き方」や、餃子の王将の「4%超の賃上げ」など、従来とは違うやり方で"社員を甘やかす″企業が注目されています。
新たな2タイプの「社員の甘やかし」について、森永さんが解説します!
◇◇◇
「100人いたら100人の働き方」を実現する完全成果報酬
人手不足が深刻化しています。
2018年度の有効求人倍率は、1.62倍で、リーマン・ショック後の09年度に0.45倍となって以降、一貫して上昇。求人倍率は、9年間で3倍以上に高まったことになります。
ただし、すべての分野で人手不足というわけではなくて、19年3月の一般事務の有効求人倍率は0.44倍しかありません。いま本当に不足しているのは、「技術」のある人なのです。
IT技術者と料理人は、その典型ですね。
情報共有ソフトウェアの大手「サイボウズ」という会社は、副業を認めるなど社員の自由を尊重することでよく知られています。その実態は、一部の会社で行われている「副業解禁」よりも、さらに踏み込んだ先進的なもの。
「100人いれば、100通りの働き方」との方針を掲げていて、例えば「複業採用」というのも行っています。
これは、他社(あるいは個人事業主など)で既に仕事を持っている人でも、サイボウズで働きたいと考え、サイボウズに貢献する技術を持っている場合は、いまの仕事を続けながらサイボウズで働くことができます。
これまでの日本の雇用慣行は、社員が職業生活のすべてを会社に委ねる代わりに、会社は従業員の生活を一生守るというやり方でした。
それがいま、大きく変化しようとしています。
「終身雇用の崩壊」と「自由な働き方」は表裏一体
変化する理由の1つは、終身雇用を維持することが難しくなってきたこと。
日本を代表する最強企業「トヨタ自動車」の豊田章男社長が、今年5月13日の日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と話したことが、大きな話題を集めました。
トヨタでさえ終身雇用が難しいのであれば、ほかの企業は推して知るべしです。
会社が一生面倒をみてくれないのであれば、社員のほうも、自由な働き方を認めてほしいと考えるのは当然のことでしょう。
終身雇用が変化し始めた2つ目の理由は、大量生産社会が終わり、知的創造型の社会に移るなかで、会社のなかだけで培った職業能力では、仕事が成り立たなくなってきていることです。
アイデアというのは、異質な知識が融合したときに生まれますから、いろいろな世界を見ていることが、仕事をするうえでとても重要になってきているのです。
ただ、社員の都合で自由に働ける仕組みを導入すると、いままでのような固定給を企業が支払い続けるのは不可能になります。報酬は、当然、業績に応じてということになります。
サイボウズも厳しい成果報酬を取り入れています。
私がかつて働いていた三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)も、「自由と自己責任」を企業理念としていて、ほぼ完全な業績連動級を採用していました。
同期であっても数倍の年収格差がついていたのですが、それによって不満の声は上がりませんでした。数倍稼ぐ人は、数倍働いていたからです。
ただ、個人ごとの業績を明確に測ることのできる仕事の場合は完全業績連動でよいのですが、そうでない仕事の場合はどうしたらよいのでしょうか。
看板メニューの店長裁量を廃止して全体の給料UP
参考になるのが、番組内の解説コーナー「CM2の後で」で紹介した(8月11日放送)、「餃子の王将」のケースです。
餃子の王将を展開する王将フードサービスは、今年の春闘で、労働組合の要求を約33%上回る1万2677円の賃上げを決めました。前年比で4.3%もの上昇です。
会社は「従業員の満足が業績向上につながる」と説明しましたが、なぜそんな大幅な賃上げを実現できたのでしょうか。
餃子の王将は、店長の裁量が大きい会社として有名ですが、実は数年前から、看板商品の餃子を店舗ごとに包むのを止めました。
おいしい餃子をセントラルキッチンで成形し、チルドの状態で全店に配送して、店では焼くだけにしたのです。
その結果、餃子の品質が向上すると同時に効率化が達成。業績は大きく向上するようになりました。
今回の賃上げ大盤振る舞いは、その成果の還元でもあるのです。
好きなように餃子を作る店長の自由はなくなりましたが、給料は上がりました。
「自由な働き方と厳しい成果報酬」、「看板メニューの中央裁量と賃金アップ」。社員の自由をいくら尊重すると言っても、そこには会社の論理とのバランスが重要だということなのでしょう。
◇◇◇
森永卓郎(もりなが・たくろう)
経済アナリスト。1957年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社、経済企画庁総合計画局、三井情報開発総合研究所、UFJ総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)を経て、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。わかりやすい語り口で経済や金融を説くことに定評がある。準レギュラーを務める『がっちりマンデー!!』ほかテレビ、ラジオの出演。著書多数。
掲載資料:サイボウズ、餃子の王将ともに、ホームページおよびIR情報より引用。
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