米銀決算まとめ
BlackRock {BLK}
-世界最大の運用会社。AUMは$9tril、100ヵ国の投資家に対してサービスを提供。
-売上高構成比率では投資アドバイザリー・手数料収入が80%、Aladdin、eFrontなどテクノロジープラットフォームが10%、その他が10%。
-総運用残高(AUM)ベースでの顧客構成比率は、機関投資家57%、個人投資家10%、ETF33%。
-手数料(運用手数料・貸株)ベースでは、機関投資家27%、個人投資家33%、ETF40%。
-22/12期1Q決算は、総収入$4.70bil(予想$4.67bil)上振れ、上限予想$4.82bil未達。
-アドバイザリー・アドミン・レンディング収入 $3.83bil($4.00bil)下振れ ・ パフォーマンスフィー $98mil(予想$106mil)下振れ。
-調整済み営業利益 $1.82bil(予想$1.81bil)上振れ、上限予想$1.90bil未達。
-期末時点AUM QoQ▼0.83% / YoY+6%、$9.570tril(予想$9.943tril)下振れ。
-会社全体のネットフロー総額$87bil(株式$76bil、債券$7.5bil)の純流入(予想$134.30bil)下振れ。長期資金流入額 $113.74bil。
-顧客別フロー(ネットフロー)は、リテール投資家+$10bil、ETF+$56bil、機関投資家アクティブ+$16bil、機関投資家インデックス+$31bil。
-調整済みEPS $9.52(予想$8.70)上振れ、上限予想$9.28上振れ。
-マクロ環境が軟化している中で、長期フローが引き続きインフローを記録しているのはポジティブ。
Citigroup {C}
-米国最大の総合金融サービス企業の一角。
-一般消費者向けのコンシューマーバンキング、機関投資家・法人・富裕層向けビジネス(ICG)の両方を営む。
-売上高構成比率では機関投資家・法人・富裕層向けのサービス(ICG)が55%、一般消費者向けのコンシューマーバンキング(GCB)が45%。
-22/12期1Q決算は、総収入$YoY▼2%、19.19bil(予想$18.19bil)上振れ、上限予想$18.50bil上振れ。
-GAAP EPS $2.02(予想$1.43)上振れ、上限予想$1.90上振れ。
-純金利収入(NII)$10.87bil(予想$10.66bil)上振れ。
-非金利収入 $8.32bil(予想$7.35bil)上振れ。
-貸倒引当金 $755mil(予想$1.20bil)下振れ・想定よりも積み増し額は少ない。
-Net Interest Margin (NIM) 2.05%(予想1.96%)上振れ、前期1.98%から上昇。
-総貸出残高 $644.28bil(予想$666.90bil)下振れ。
-投資銀行収入(IB)YoY▼43%、$1.02bil。IPO・増資などのアクティビティが限られた一方で、M&Aは好調。
-アドバイザリー収入 YoY+23%、$347mil
-ECM収入 YoY▼78%、$185mil
-DCM収入 YoY▼27%、$496mil
-FICC収入YoY▼1%、$4.30bil。スプレッド商品の低迷を金利・FXが補う格好。
-株式手数料収入 YoY▼4%、$1.53bil。デリバティブが好調。プライムブローカレージでもシェア伸長したことが貢献。
-ロシアエキスポージャーに起因する引当金の積み増しは$1.9bil。
Bank of America {BAC}
-JP Morgan、Citiに次ぐ米国の大手銀行。2009年にMerill Lynchを買収合併し統合。
-セグメント別収入では、消費者や法人向け銀行業務のコンシューマーバンキングが40%、投資銀行業務が主となるグローバルバンキングが20%、ウェルスマネジメント・資産運用業務が主となるグローバルウェルスマネジメントが20%、株式や債券などのマーケッツ業務が主となるマーケッツ業務が15%。
-収入構成比率では純金利収入が55%、非金利収入が45%。
-22/12期1Q決算は、総収入$23.23bil(予想$23.13bil)上振れ、上限予想$23.91bil未達。
-純金利収入(FTEベース)$11.68bil(予想$11.72bil)下振れ。
-非金利収入 $11.66bil(予想$11.45bil)上振れ。
-Net Interest Margin 1.69%(予想1.70%)下振れ、前期1.67%から上昇。
-貸倒引当金 $30mil(予想$468mil)下振れ・引当金はコンセンサスよりも軽微(+ve)
-総貸出残高 $993.15bil(予想$986.73bil)上振れ。
-総預金残高 $2.072tril(予想$2.073tril)下振れ。
-投資銀行手数料収入 YoY▼35%、$1.46bil(予想$1.74bil)下振れ。
o アドバイザリー収入 YoY+18.2%、$473mil(予想$513.8mil)下振れ。
o ECM収入 YoY▼75%、$225mil(予想$284.4mil)下振れ。
o DCM収入 YoY▼15.8%、$831mil(予想$841.2mil)下振れ。
-FICC収入 YoY▼19%、$2.65bil(予想$2.69bil)下振れ。
-株式手数料収入 YoY+9%、$2.00bil(予想$1.61bil)上振れ。
-クレジットカード・デビットカード支出 YoY+11%。
-ロシアエキスポージャーは限定的であり、コモディティ事業に関連する9顧客・総額$700milほどに抑えられている(カウンターパーティーエキスポージャーは$20mil程度)。
-純金利収入に対する金利敏感度は、イールドカーブが+/-100bpsシフトするにつれて、12ヵ月で約$5.4bil。
-22/12期通期の純金利収入およびその他ガイダンスについては未設定。
-その他投資銀行と同様に投資銀行が低迷している一方で、ボラティリティの高まりから株式手数料収入は好調。その一方で通期のガイダンスは未設定としており先行き不透明感の強い状況は継続。クレジットカード支出が幅広い用途で伸びていることはポジティブな印象。
Goldman Sachs {GS}
-世界最大の投資銀行。投資銀行、マーケッツ業務においては世界最大のプレゼンスを誇る。
-主要セグメントはマーケッツ業務を主とするグローバルマーケッツ(40%)、アセットマネジメント業務(25%)、投資銀行業務(20%)、消費者向け・ウェルスマネジメント業務(15%)。
-22/12期1Q決算は、総収入 QoQ+2% / YoY▼27%、$12.93bil(予想$11.86bil)上振れ、上限予想$13.54bil未達。
-GAAP EPS YoY▼42%、$10.76(予想$8.90)上振れ、上限予想$11.76未達。
-投資銀行手数料収入 QoQ▼36% / YoY▼36%、$2.41bil(予想$2.41bil)インライン。株式引受については業界全体でアクティビティが著しく低下しており、DCMについてもレバレッジドファイナンスやABSの発行減による影響を受けている。
-アドバイザリー収入 QoQ▼31% / YoY+1%、$1.13bil(予想$1.15bil)下振れ。
-ECM収入 QoQ▼75% / YoY▼83%、$261mil(予想$466.6mil)下振れ。
-DCM 収入 QoQ▼22% / YoY▼16%、$743mil(予想$693.3mil)上振れ。
-企業融資収入 QoQ+37% / YoY+46%、$280mil(予想$159.5mil)上振れ。
-グローバルマーケッツ収入 QoQ+98% / YoY+4%、$7.87bil(予想$5.78bil)上振れ。株式はレンディング、売買仲介ともにYoYで低迷するも、FICCは好調。
-FICC収入 QoQ+154% / YoY+21%、$4.72bil(予想$3.04bil)上振れ。
-株式手数料収入 QoQ+48% / YoY▼15%、$3.15bil(予想$2.58bil)上振れ。
-アセットマネジメント収入 $546mil(予想$1.64bil)下振れ。
-消費者・ウェルスマネジメント収入 $2.1bil(予想$2.0bil)上振れ。
-貸倒引当金 $561mil(予想$333mil)上振れ・予想よりも積み増し。
-賞与・給与費用 $4.08bil(予想$4.05bil)上振れ・費用増。
-非賞与・給与費用 $3.63bil(予想$3.34bil)上振れ・費用増。
-従業員数は2021年末比で3%増加。
Morgan Stanley {MS}
-世界最大の投資銀行の一角。機関投資家向け仲介業務、ウェルスマネジメントが主軸。
-営業収入構成比率では、機関投資家向けの仲介サービス・投資銀行業務が53%、ウェルスマネジメントが39%、その他が7%。
-22/12期1Q決算は、総収入$14.80bil(予想$14.25bil)上振れ、上限予想$16.04bil未達。
-調整済みEPS $2.06(予想$1.71)上振れ、上限予想$2.13未達。
-投資銀行収入 YoY▼37%、$1.63bil(予想$1.74bil)下振れ。アドバイザリーはM&A活動の活発化で好調。新株発行・新発債の発行減少によってECM、DCM収入は悪影響を受けている様相。
o アドバイザリー収入 YoY+96%、$944mil(予想$694mil)上振れ。
o ECM収入 YoY▼82.8%、$258mil(予想$424.3mil)下振れ。
o DCM収入 YoY▼31.5%、$432mil(予想$485.8mil)下振れ。
-FICC収入 YoY▼1.4%、$2.92bil(予想$2.22bil)上振れ。
-株式手数料収入 YoY+10.4%、$3.17bil(予想$2.72bil)上振れ。ボラティリティ拡大が寄与。EMEAで特に好調。
-事業セグメント別収入
o 機関投資家向け仲介サービス収入 $7.66bil(予想$6.48bil)上振れ。
o ウェルスマネジメント収入 $5.94bil(予想$6.18bil)下振れ。
o アセットマネジメント収入 $1.34bil(予想$1.55bil)下振れ。
Wells Fargo {WFC}
-米国最大の商業銀行の一角。
-米国全土で7000万人超の顧客を有しており、米国最大の住宅ローンプロバイダー、対面のフルサービスブローカレージとしてプレゼンスを誇る。
-2016年の不正営業問題で当局から処分を受けており、リスク管理やガバナンス改案策がFRB当局者から認められるまでは資産規模を2017年末の水準に制限するという規制を受けている。
-22/12期1Q決算は、総収入$17.59bil(予想$17.78bil)下振れ。
-純金利収入(完全課税対象 / FTEベース)$9.22bil(予想$9.29bil)下振れ。
-非金利収入 $8.37bil(予想$8.53bil)下振れ。
-Net Interest Margin (NIM) 2.16%(予想2.11%)上振れ、前期2.11%から上昇。
-貸出残高 $911.81bil(予想$894.95bil)上振れ。
-貸倒引当金▼$787milの差し戻し(予想$20.8milの積み増し)上振れ・予想に反して差し戻し。
-調整済みEPS $0.88(予想$0.81)上振れ、上限予想$0.90未達。
-消費者・商業融資ともにQoQで増加しており、幅広い分野で貸出が増加。貸倒引当金の差し戻しに示唆される通り消費者のクレジットを高い水準を維持できている。その一方でマクロ閑居についてはQTによる経済成長率低下は不可避であり、今後は信用が歴史的な高水準から悪化することを会社側は想定。
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