これからのイノベーションとは。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第14回 赤池学(ユニバーサルデザイン総合研究所代表)


「講義日:8月17日」


赤池学さんから「イノベーションとは何か?」をテーマにする講義で行われた。昆虫を研究した赤池さんは工学大学院そして、新聞社に入社した。独特な経歴、仕事をする中での気づきで立ち上げたのが現在のユニバーサルデザイン総合研究所である。

新聞社を経てデザインコンサルティングをすることになった。当時はバブルの時期だった。日々自宅に帰らず、会社で仕事をする中で彼自身が関わるデザイン業界とは何かと彼は思った。その時、引っかかれたのが、ユニバーサルデザイン、サステナブルデザインだった。

ユニバーサルデザインの基本概念は「Design for All」みんなのためのデザインである。強調したところは「ALL」。つまり社会的価値である。特に赤池さんが強調したのは、アフォーダビリティ。接しやすさ。値段も手頃で、納得できる値段にしないと社会に広がることは難しい。

色んなシェアを実現するためには、意味の価値のイノベーションを通じ、ステークホルダーとの補助線を引き直し、新しい価値の連鎖を創造することである。

20世紀はハードウェアとソフトウェアの循環だったら、現在21世紀はハードウェアとソフトウェア、そしてセンスウェアとソーシャルウェアの循環の仕組みになった。特に、センスウェアとソーシャルウェアを考えるのはデザインの力であると言える。

ロボットで例えると、人間に近い形のロットより産業現場で使われるロボットを我々の社会で見る場合が多い。ビジネス的な観点から見ると色んな場面で使われるためである。しかし、ぬいぐるみや人形のような形で人々に癒しを感じられるロボットは生活の中で見つけることが多い。値段も手頃で、癒しを感じることができるためだ。つまり、センスウェアも考慮した結果だと言える。

これからのデザインは感性、カルチャーを提案する仕方に変化している。これはサステナブルデザインにもつながると思う。元々人間が持つ五感と心を大切にしないといけない。人間が本来持つ感性にフォーカスするとまた新しいデザインの方向性が見えるのではないかと思った。バックキャスティングする着地点がこれからのデザイナーにすごく重要なヒントになると思う。

ユニバーサルはプロダクトでよく登場するデザイン概念である。デザインの民主主義と繋がる概念で、多くの人が差別なくデザインを使う権利があることで言える。何も知らない学部生の頃は、その意味の重さや社会にどれだけ必要なのかよく分からなかった。赤池さんの講義でこの言葉の意味をもう一度考えるきっかけになった。