一緒に作る、良いデザインとは


画像1


武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第1回 三澤直加(株式会社グラグリッド 代表取締役/ビジョンデザイナー)

「講義日:5月18日」



ビジョン、頭の中にある強い思いを可視化し、それで人の心を動かすのがデザインの力ではないか。日本でその活動を行っているデザイナーが三澤直加ではないかと思う。

彼女は株式会社グラグリッドの代表取締役、ビジョンデザイナーとして活動している。さまざまな組織や団体へ向けて、サービスデザインプロセスのコンサルティングを行いながら、共創に必要不可欠であるファシリテーション技術を磨き、「共創型プロジェクト」の実験を行っている。


株式会社グラグリッド
https://glagrid.jp/ 


今回はビジュアル・シンキング、ファシリテーション、サービスデザインを軸として行った事例5つを中心に、ビジョンとデザインの関係性について考える時間だった。絵描きながら考える。分からなかったらとりあえず描きながらアイデアを発想をするスタンスとして仕事を進めている。特に、子供の教育はもちろん競争の場でも使われるなど社会全般に使われるする努力を注げている。


その5つのケースを5つのテーマで紹介した。

⒈未知のことを考える創造的思考法を教える。
⒉思いを伝え合い未来の地図をつくる。
⒊自分の心に問いかけるツールをつくる。
⒋理想的な未来の体験と関係者と共創する。
⒌地域の魅力を発見しブランディングする。


小学生と一緒に未来を描いたり、社内の新卒社員の研修に、社内のメンバーと会社の未来図を一緒に描いて自分の役割を把握したり、ひいては地域の魅力を地元の人たちや関係者と一緒に掘り下げたり…

「みんな」ち一緒につくる。描く。デザインだからこそできるのではないかと思った。ビジョン、未来って言うのはゴールがはっきりしていない状態がほとんどであるため、このようなプロセスが役に立つと感じた。これこそ、関係する人みんなが力を合わせて共創することができる。デザインは多くの人に体験させてもらいたいから、より多くの人の参加が必要だと思う。

そのためにも、デザイナーに余白がある程度あってもいいのではないか。もちろん、はっきりした自分の見方も大事だが、アイデアの段階で自由な発想ができない原因にもなる。でも、少し隙間があったら他の意見をもらったり、周りと自然に馴染んだり、より柔軟な発想ができる。それが、面白いデザインのタネになるから。

良いデザインは案件に関わる人々が一緒に作る結果物ではないか。もちろん、ロジカルな分析やその分析に基づいた素敵なデザインも大事だ。しかし、みんなが共感できなくなったら本当に良いデザインだと言えるか?クライアント・デザイナー・それを使う社会のみんなが一緒につくることで、私たちの社会がもっと楽しく、元気になる原動力になると思う。