幅広く使えるアート:災害とアート

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第9回 デイビッド・佐伯 潤 (国士舘大学 防災・救急救助総合研究所 嘱託研究員/教官)

「講義日:7月13日」


今回は今までの講義とは違う感じだった。防災・災害のプロとして活動している佐伯潤さんから、現在行っている訓練の内容が今回の主な内容だ。特に佐伯さんの訓練は防災・災害の状況をリアルに再現して行う。その理由としては、学校や会社でよく行う訓練の場合はマニュアルによって設定された内容で行うため、リアルな状態では頭が真っ白になって何もできなくなる。それを防ぐため、真っ暗な空間でライトを使ってみたり、出血のシーンを表現したりするなどの演出をする。このような演出こそ、アートの力ではないかと思った。

内容は大きく、「災害対応における失敗」、「絶対的なルール」、「訓練の重要性」になる。

本題に入る前に、防災よりも「72時間のサバイバル」という言葉で呼ばれる。災害の発生後、自衛隊が現場まで着く時間かかかるため自力で頑張らないといけない。そのため、72時間のサバイバルと呼ばれるようになった。

まず、「災害対応における失敗」は判断をしないことだ。素早く判断することが最も大事だ。 訓練は失敗に価値がある。練馴の目的、意味合いを考えると慣れるまで、練習させることだ。技術・機能も教えてくれるが、基礎があるからそれを受け入れて適切に行動することができる。訓練の継続することで、失敗もきっとある。しかし、その失敗の経験も基礎になって災害になった時うまく行動する目標を達成することができる。

「絶対的なルール」で最も大事なことは、「自分自身の安全が最優先」であることだ。そこで3つのポイントがある。

⒈自分自身の安全が最優先。 

⒉復旧・復興後の役割も意識する。 

⒊個人の無謀が被害を広げる。

自分を守れない人に、他人を助けることはできない。また、防災を未然に防止するか、災害は発生した場合における被害の拡大を防ぎ、災害の復旧を図ることが大事だ。結局、防災の究極の目的は復旧し、平時と取り戻すことだ。また、自分の無謀な行動によって必要な人が治療を受けなくなったり、救急車がいけなくなったりするなどその被害の余波が大きくなる可能性が高い。そのため、知識と日頃の訓練が必須だ。

「訓練の重要性」は以下のポイントから感じられる。(参考にしてください。)

―防災グッズも備える。
備えるだけでなく、使ってみる。流用が、借用にならないように。資機材を活かすのは、訓練のみ。
―どこに居るべきなのか
まずは現在地で安全を確保。自分自身の安全が最優先。
―見えない暗闇の脅威には、反射材は必須。自動車用のロール反射シールをカットして携帯に便利。
―見えない微粒子の脅威には、正しい保護具の装着が必須。特に訓練の場合、警戒心と想像力の上正しい情報を頭に入れるのが重要だ。

―仲間のためにできること。
自分自身の安全が最優先。訓練を受けたこと以外は、やらない。情報は、災害と戦う武器になる。
(助ける意思があるなら、訓練を積んでください。)

―心のケア
災害時は誰もが心に傷を負う。心の傷にも自分自身の安全を。訓練を受けたこと以外は、心のケアはやらない。

―日頃からの防災
訓練参加。安全確認。よにかけ。

佐伯潤さんの災害訓練はリアルすぎで何もできない人もいる。モデルを頭の中で想定するだけではなく、状況のリアリティを再現することがアートに力ではないかと思った。アート的なリアリティの出し方。防災関連のアプリや書籍など、デザインが情報をビジュアル化する役割をしている。アートは全然関係ないだと思われる。しかし、モデルのリアル化こそアートができる役割ではないか。空間を演出することで人が五感で体験できる訓練。特に災害が多い日本にとってアートはすごく大事なだからではないかと思った。