使う人のための想像力

「武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第16会 藤森泰司(藤森泰司アトリエ代表)」 

「講義日:10月23日」

今年最後の特論は家具をメインとして活動しているデザイナー藤森であった。モノ、特にその中で家具が好きでプロダクトデザインに興味を持ち始めた私にはすごく楽しい時間だった。

家具のデザインは大きく3つに分ける。商品としての家具、メーカーのデザイン、そして特殊な家具である。彼もモノが好きでデザインの勉強を始めた。彫刻にも興味があって彼が椅子を見ながら椅子も彫刻にもなると思った。

最初は椅子のデザインをどうすればいいのか全然わからない時期もあったが、自分のための椅子を作り始めた。そこで彼は椅子も道具になると思った。椅子で座り心地の良さ以外のものはなんだろう。彼は長く並べてベンーチみたいに使ったり、上に乗せるなど椅子の色んな使い方を加えることで道具としての可能性を感じた。


このような経験が彼のデザイン方向性を決めるきっかけになった。「ずらすこと」が他の人とは違う彼の個性であると感じた。


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RUCAという作品も彼の視点が感じられる作品ではないかと思った。椅子に座って朝ごはんを食べたいと思ったのがきっかけになって作った作品である。まず椅子を考え始めることではなく椅子が使える環境やシーンを想像しながらデザインしたと彼は語った。

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http://www.taiji-fujimori.com/ja/furniture/assemble-it-yourself-desks-made-of-local-wood/

この作品の場合はシステム、産業、生活を変わるデザインの力を感じた。魅力的に作って人を集める力がデザインにあって、それが実際にできることを証明する作品ではないかと思った。


デザイン専攻である私に、もう一度モノより使う人と環境を考えることが最も大事であることを再認識する講義だった。モノを作ることに集中しすぎると見逃すことが多い。自分のデザインが使えるシーンや環境を常に認識していて、プロダクトだけではなくグラフィックや映像、ウェブなどの色んな領域のデザインにも通用できるではないかと思った。デザインだけではなくマーケティングやコンサルティングなどにも適用できるのではないか。