賛否が起きたチャップマン獲得。ジャイアンツの選択は正しかったのか
マットチャップマンの獲得。現地ファンも含めSFファンの中では賛否が起きている獲得である。今回のnoteでは獲得に賛否がある理由や争点について見ていく。
※スネル獲得について今回のnoteでは触れていません。
チャップマン契約の争点
QO物件のチャップマン
昨季wRC+110/fWAR3.5/rWAR4.4の成績を引っさげてFAとなったマットチャップマン。FAとなる際にTORからQualifying Offerを提示され拒否していた。そのため獲得チームからはドラフト指名権、海外FA選手と契約するためのボーナスプールの一部が没収となる。それが理由でチャップマンの契約がまとまるまで時間がかかったという理由があったとも考えられる。
結果的にジャイアンツと3年契約(全ての年でオプトアウト権)という内容で同意。またこれに伴いジャイアンツは24年ドラフト2巡目指名権、ボーナスプールから50万ドルが没収された。
JDデービスという存在
ジャイアンツがチャップマンを獲得する際に賛否が起きた理由は大きく分けて2つあり、1つが先ほど述べたQO補償を支払ってしまうこと。2つ目がJDデービスの存在である。
昨季は105試合でスタメン3Bを守ったデービスはwRC+104/fWAR2.2/rWAR0.9の成績を記録しており、また昨年チーム毎の3BのfWARを見るとジャイアンツはリーグ8位タイの3.8を記録している。結果的にデービスはチャップマン獲得に伴いウェイバーにかけられリリースされ、OAKに移籍することとなった。デービスを追いやってまで獲得したチャップマン。デービスと比較し、サードのアップデートとなっているのだろうか。
チャップマンとデービスの比較
1.アプローチ面
まずはアプローチ面から比べていく。Chase率の比較からボールゾーンを降らないことなどを考えるとチャップマンの方がよく映るが、Whiff%やゾーン内のコンタクト率は2人とも平均を下回っている。アプローチ面ではお互いに良くないと言えるかもしれない。
2.打球
次に比べるのは打球の質。昨季をみるとチャップマンの優秀さが際立つところ。デービスも22年の打球の質を出せればいいものの、22年は23年に比べると出場試合数が少なく、フルで出た昨季の成績の方が信用できるだろう。その点を考慮すると、打球の質に関しては年度別の安定感も含めチャップマンの勝ちと言えそうだ。
打球角度の面を切り取ると更にチャップマンの良さ(デービスの酷さ)が際立つ。昨季のデービスは53.3%と平均をも大きく上回るゴロ率であり、平均打球角度にも前年から大きな低下がみられた。この傾向が続くのであればデービスの打撃に少し疑念が湧いてくる要素となりそうだ。
また打球関連でいうとチャップマンのHR/FBの悪化が気になったので少し調べてみた。22年は14.9%だったのが9.9%と悪化。フライの割合は変わらずともそのうちの本塁打数が減少していたのだ。MLB平均が19.6%と考えると良いとは言い難いが、昨季打ったフライのwOBAが.381。xwOBAが.532と大きく乖離しており、フライの際の打球の質が悪化してる等もないことから不運もあったと考えられそう。
3.三塁守備
守備面ではイメージの通りチャップマンの優勢だろう。しかし昨年のデービスは守備を改善しDH専となることもあったメッツ時代と比べれば見違えるものとなった。ただOAAは優秀なもののDRSでは-11と評価に困るという印象。ファンとして観戦している分には三塁守備に不満はなくDH起用が必要でないことは確実に言えそうだが、良いとは言い切れない。そのため各種スタッツで優秀なチャップマンの圧勝だろう。
また、昨季のデービスがfWARとrWARに大きな差があることに触れるが、DRSをWARの計算に利用していらrWARでは0.9。UZRを計算に利用しているfWARでは2.2と差が生まれる形となった。
DRSとUZRに大きな乖離が生まれることについて説明できるほど知識がないためその部分は割愛。(詳しい人がいればこっそり教えてください)
結局チャップマン獲得は成功なのか?
マットチャップマン獲得は妥当なアップデート
様々なスタッツから比較をしてきたが、成績の安定性を含めほとんどの部分でチャップマンはデービスより優秀であると言えるだろう。特に守備面では相当に差があるように感じ、ホットコーナーをトップレベルで守ってくれるのはかなりチームにとってプラスであると感じる。
ただデービスより優れているからチャップマンとの契約が良かったとなるわけではない。というのも序盤で述べたようにこの契約に伴いQO補償が発生している。ドラフト権はもちろん、ジャイアンツは来季の国際FAでトップレベルのJosuar de Jesus Gonzalezとの契約が噂されている。その中でボーナスプールの没収が痛い出費に思う。またそれに伴い獲得したのは最短1年契約のチャップマンである。チャップマンによるアップデートとQO補償によるマイナスを天秤にかけると人によって意見が分かれるところであろう。
コーナーデプスの厚さ
またデプスの厚いジャイアンツにおいて3Bはデービス以外にもオプションが他にもあった。
まずはウィルマーフローレス。wRC+ 136/fWAR2.5/rWAR2.6と昨季キャリアハイの成績を残し、チーム全体が打撃不振に陥る中一人で打ちまくっていた。1B/DHでの出場が予想されていたフローレスだが、ホルヘソレアの獲得に伴いDHが封印。1BではWade Jrとの共存となるため3Bでの起用も考えられていた。
そしてケイシーシュミット。大学時から強肩を活かしたサード守備に定評がありマットチャップマン2世との呼び声もあったほど。昨年デビューするとデビュー戦でレフトにホームラン。はじめの6試合で11安打と幸先のいいデビューを飾るもそこからメジャーの壁にぶつかり大不振。また3B/SS/2Bを守った強みの守備でもプラスを出せずとルーキーシーズンはかなり苦しんだ。しかし最終戦となったLAD戦で2HRを放ち今後に希望を見せていたため、3Bのオプションとしては可能性はあったと考えられる。
このようにデービス以外にも3Bを守る可能性がある選手はおり、比較的重要性の低いポジションだったのもチャップマン獲得に疑念が生まれる理由であった。
最後に自分の意見を述べますが、私はチャップマン獲得には反対派です。しかし結果を残してチームをPO、さらにはWSに導いてくれれば失敗なんて無くなるので、来た以上は応援します。
データ:Baseball Savant,Fangraphs
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