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町へは出れないが、書を捨てよう<13巻>


"13"は魔の数字と言われている。

キリスト教圏では言わずもがな、死刑台に向かう階段の段数、ジェイソンでおなじみ『13日の金曜日』など、枚挙に暇がない。

S・キング氏の名作短編「一四〇八号室」も、数字を足し合わせると十三。

さらに、そこまでキリスト教文化が浸透していない日本ですら4(シ)と9(ク)が重なる縁起の悪い数として忌数とする場合もある。

しかし、13が不吉である根拠は調べてみるとハッキリとした根っこがある訳ではないようだ。
なんだか、
「不吉そうな数字だから不吉に扱っていたら実際不吉だったのでおぼろげながら不吉な数字とした。」
という印象が拭えない。
大臣も真っ青な不吉構文である。

13という数字自体には、特別な資質があるわけでもなく、他の数字と変わらないのに、少し調和から外れた(素数である事や12進数、60進数に換算しづらい)数字としての扱いづらさと、神話クラスの風評被害で身近な嫌われ数字となってしまった13。

気の持ちようだといいながら、意外とその心の問題が、周りに影響を与えたり与えられたりするんですよね。

というわけで!
アバンタイトルでAパート終わる勢いで書いたあとはこちらの本。

メンタリストDaiGo『なぜかまわりに助けられる人の心理術』(宝島社)

メンタリズムで成功を約束した男ことDaiGo氏。

いわゆるM・S・O(↑の略)なDaiGoさんの本から、心理学で他人を操って良い目を見よう(悪意が多い)奴でございます。

……DaiGoさんもよりにもよってこんなタイミングで扱われたくないだろうに。

で、どんな本?

本の話をする前に、最近断続的に本を読んで思ったのが、本を出す人には、"書き手(話し手)"と、"編み手"がいるなぁということです。

前者はもちろん、何か伝えたい事があって、それを一から組み立てて創る人、前回紹介した、深沢真太郎さんの『「伝わらない」〜』は、"数学の社会的地位を見直させる"という思いのもとから生まれ、"数学をコトバ"する独自の方法論について書かれています。

一方、今回の『なぜかまわりに〜』は、基本的に社会心理学の手法を、周りの人からサポートしてもらうためのテクニックとしてケーススタディを交えながら紹介するという、割とありふれた内容です。
それを自分の解釈やエピソードで組み立て直す"編み手"の側面が強く出ているのが、この本なのではないでしょうか。

内容は、他のビジネス書によくある手法名→事例・根拠→日常への取り入れ方、ではなく、
求めるゴール→そのためにやるべき事→つかう手法という構成が目につきます。

これって、要は「理論はともかく、こうするとこうなるよ、理屈は後で書くね」という、若者・ライト層向けへのアピールなのではないかなと思います。

僕も大学の講義で組織論・社会心理学について学んだ事があるのですが、授業の構成がよくある手法と同じなんですよね。

もちろん学問だからそれで良いのですが、ちょっと窮屈だし、日常でパッと出にくいのです。
普段使わないような言い回しを、頭から引っ張り出すみたいな苦しさというか。

そういった部分を導入で薄めているのは、昨今の読者には受け入れやすいように感じます。

メンタリズムとは本来「人と人との信頼関係を深める助けとなる技術」

著者の話で、操る云々言ってたら、それを見透かされたかのようにこんな一文が。

さすがメンタリスト。僕がここに書くのを読んで既に記載済とは(考えすぎ)

メンタリズム、こわやこわや。

次回は、田丸雅智『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』。

これは、本当に1本書く流れになるのか!?

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