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朝令“昼”改もいとわず オープンハウス 荒井正昭社長

 コロナ禍は好影響を与えている。テレワークの増加で部屋数を確保しやすく、家族に気兼ねなく仕事ができる戸建て住宅の需要が高まっている。狭いマンションで夫婦でテレワークする場合、仕方なくトイレで仕事をしている夫がいると聞く。長引く自粛生活で外出に伴う出費が減り、戸建てを買おうかなというマインドになっている。
 実は3月ぐらいから業績が厳しくなると思い、物件の仕入れを少し控えて販売促進に力を入れようと思っていた。その矢先、緊急事態宣言が出て営業活動ができなくなった。一時はどうなるかと思ったが、戸建ては普通に売れて驚いた。2020年9月期の業績予想は過去最高の売上高5700億円で、13年の上場以来連続の増収増益を見込んでいる。
 リーマン・ショック、東日本大震災といった難局を乗り越えてきたが、状況はまったく異なる。過去の事例は生きず、本当に大変だ。予測通りにいかなかったらどうするか。いかに早く軌道修正するかが大切で、自分の指示がおかしいと思ったら、すぐに変える。朝令暮改、いや朝令“昼”改もいとわない。恥ずかしいことでも何でもない。
 柔軟な方針転換とスピードを重視した経営で、コロナ禍でもチャンスを享受できている。売上高2240億円の不動産会社、プレサンスコーポレーション(大阪市)と資本業務提携したほか、446億円の増資で自己資本をかなり増強した。一挙に次のチャンスに備えている状況で、コロナ禍でも飛躍の転機になるかもしれない。プレサンスと合わせ、2、3年後に売上高1兆円体制の実現を目指している。
 テレワークで地方移住が進むという話もあるようだが、地方に住むということはテレワークだけではない。都会の生活に慣れた人たちの地方移住は、教育や医療などの面から実際には難しいのではないかと考えている。
 日本再生の鍵は、次世代を担う若い人が握っている。GIAは高校生や大学生らの応募が多く、ぜひ起業につなげてほしい。絵に描いた餅で終わらせず、考えたことを実践してほしい。群馬を良くするにはどうしたらいいか。もっと優良企業が増えて働く場所が多くあれば、県内に住む人は増えるだろう。県全体で起業風土ができることが、GIAのゴールだと思う。

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 あらい・まさあき 1965年、旧藪塚本町(現太田市)生まれ。都内の不動産会社勤務を経て、97年に不動産業のオープンハウスを設立。本社は東京都千代田区。新築戸建て分譲事業、不動産仲介事業、マンション開発事業などを手掛ける。2013年に東証1部上場