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自戒として/水蜜桃

 こんにちは。青木9歳です。今回の記事は、内容的に友達がいなくなったり職場で嫌われたらいやなので、ツイートしないで書きます。「書きたい」より「モテたい」が強いのでね私は。

 記事を通してかなりエイジズム的な表現があるが、「自分は違うよ」と思ったら、ぜひ読み飛ばしてやってほしい。人格を年齢で差別する意図はなく、あくまで私の周囲の話をしたらこういう表現になってしまった。私自身が未熟なのですと言うほかない。以下、全部自戒です。

↓本題

エモい写真 エモい写真ねえ

 紙袋をかぶって「エモい写真」を撮るのが流行っているらしい。かつてイラストコミュニケーションサービスpixivで旋風を巻き起こした純愛BL漫画『辻くんと紙袋男』のことを鮮やかに思い出したが、今は関係のない話だ。

 近年、形容詞としての「エモい」という言葉をよく見かける。近年というか、一周して古くなってきているのだが。インスタグラムで流れてくるtipsなどを眺めていると、まだまだ熱がある様子だ。

流行語としての「エモい」もの一覧↓

・セックス
・喫煙
・別れた恋人
・ベランダ
・アンティーク系の色でまとめたドライフラワー
・水道水
・干されたTシャツ
・レモンサワー
・アパート
・インスタグラムの設定で「明るさ」をめちゃくちゃに下げ「シャープ」をめちゃくちゃに上げた感じの写真
・幼馴染同士のアイドルが苗字で呼び合うこと
・幼馴染同士のアイドルが「あれ」や「これ」だけでお互いの言わんとしていることを汲み取ること

 すみません、後半2つだけアイドルマスターシャイニーカラーズのオタクの使う「エモいんだよなぁ(ニチャ…)」になってしまいました。これは明らかに土壌が違うので無視してください。

 退廃的で、どちらかというと健全ではなく、一般にだらしなく生活感のある様子を愛しんで使う表現のようだ。

 個人的に、この流行の背景には若年層の貧困がある気がする。ラグジュアリーなものよりも、ちょっと庶民的なものに東京の若者のリアルを感じて、クールだと思うのかもしれない。
 反面、豪華にいこうとすると、逆に「バチェラー」「港区女子」ぐらい突き抜けてしまい、もはやファンタジーと化す。"裕福さ"が明らかにデフォルメされている。
 (余談だが、大学時代に私が内輪ノリで使っていた「エモい」とは、少し意味が違う。私がいたサークルでは、昔の話や過去に聴いていた音楽を懐かしむときなどに使っていた気がする。なんならガッシュのOPもエモかった。人には人のエモーショナル)(これ神奈川のノリなのか単に私のサークルだけのノリなのかずっと謎だ)

「誤用されている」と感じる人たち

 表現は変容するのではなく増えていくこともある。そして、その語源に敬意を払っていないと感じた人たちが、不快に思うこともある。
 ここ数年、「エモ好き」の大人たちが、「若い子らの言うエモ、どこがエモいの?」と訝しげにしているツイートを目にする。
 私はそんなツイートを見ていないで仕事をするべきだが、バンドの雑務をサボって眺めるインターネットが一番"深く沁みる"。

 大人たちの言う「エモ」は音楽のジャンルだ。エモの始まりなどは私よりも遥かに詳しい人たちがnoteにしているので、知らなくて興味のあるひとは読んでみて、聴いてみてほしい。クソカッケーから。
 ちなみに私が結構まじで好きなのはその後の「エモリバイバル」で、その中でもなんか声がでかくてギターがジャキジャキの感じのやつだ。日本のシーンも西東京とか京都とか名古屋とかでずーっと盛り上がっている印象がある。もしエモリバイバル直系のナイスなバンドを知っていたら教えてほしい。
(ファッションとしてのエモガールとかエモボーイなどの表現もあるが、音楽としてのエモに終始するので省く)

 まあとにかく、そういう「エモ」の音楽を大切にしてきた人たちが、よく思っていないようだ。
 実際に言葉狩りをしている人はまだ見たことがないが、私の周りのインターネットがなんかギスギスしている。
 これはどうか、と思う。

 そもそも「エモい」好きの子らは、そんなこと知ったことではないのだ。自分たちが「好きだな」と思う表現に、しっくりくる名前がつけられていただけ。どこまでも無邪気だし、無敵だ。

 その子らがキャッキャしているところに「語源知ってんの?」と暴力的に分け入ろうとするのは、2010年代の2ちゃんねるに見た「"萌え"とは本来こういう意味なのだが?w」「ワンピースしか読んでないのにオタクを名乗るリア充に一言物申したいのだが?w」という風潮に似ている。急に古代文明の話をしてしまいすみません。

 排他的とも反骨精神ともちょっと違う。"反抗期"という言葉が合ってる気がする。

 非常に一面的な言い方になるが、古典音楽しか聴かない親や教師やうざい先輩などの年長者に「最近の音楽はうすっぺらくてカスじゃのう」と言われて、「うるせえ〜、でもわかってほしくもね〜」と若いフラストレーションを燃やしていたはずの人たちが、その年長者側になりつつあるのかもしれない。

 「大切にしてきたものについて新参者に説明したいし、でも、わかった顔してほしくもない」

 一周した大人の、二回目の反抗期だ。オタクの感情とはなんて繊細で複雑なんだ。

 似て非なる事象で、着物を新しいスタイルで着こなす若年者に対してうるさく言う「着物警察」という人たちが話題になったことがある。

 そんな感じで「エモ警察」とかって面白おかしく取り上げられ、厄介な人たちだと揶揄されたら。私は、ちょっとかなしいかもしれない。だってそもそも、語感だけ似ている全く関係のない言葉なのだ。

 それを危惧しているから、「最近はエモが好きです」と話して、「(あんま好きじゃないJ-POP)とかですか?」と返されても、長文説教リプを返したりしない。

 偉そうに御託を並べた末に何が言いたいかと言うと、昨今の「エモい写真」や「エモい動画」とされているものを「2021年の"エモい"的な表現」として、時代に存在するムーブメントを見守ったら楽なんじゃないだろうか。

 そもそも大切にしていた言葉が変わりつつあるのではなく、「エモーショナル」を語源とした新しい表現が増えただけのことだ。
 誰もエモという言葉を奪おうとはしていない。おまいら、もちつけ。
 二十ウン年間にわたり流行の逆張りをしてきた、逆張りのプロとしてはそう思う。

 言葉を自由に使う権利もあれば、不快に思う権利もある。「黙れよ」と言いたいわけじゃない。
 ほんと、偉そうに長々と書いておいて、「エモかわいい写真ってなんやねん、アホか」「ドライフラワーだかドライオーガズムだか知らんが」とは、私も思うし。あとそういうツイート、実際おもろいし。

 ただ、流行の言葉にいちいち目くじらを立てて、「チョベリバのオジンオバンがうるさく言ってんな〜」と思われたとしたら。それは不要ないさかいに他ならない。

 私自身、新しい表現にすがりついたり媚びたりしたいわけじゃなくて。でもみずみずしさは心の中にだけ持っていたい。

 終わりです。モヤっとして感情のまま書いてしまったので、表現が良くなかったら謝ります。
 何回も書くけど、年齢で個々の人格をくくりたいわけじゃないです。「自分は若年層だけど/年長者だけど違いますよ」という人はいる。不快にさせた人がいたら申し訳ない。
 もしエモやってる人だったらライブハウスまで謝りに行くので、ナイスな音楽を聴きながら、ウーロンハイでも飲んでたばこ吸いましょう。

 本当に言いたいこと→『辻くんと紙袋男』はガチでドエロでめちゃくちゃに「エモい」のでBLに抵抗のない人は読んでみてください。

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