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誰がアルジャーノンだっつーの。あ、チャーリィの方?


 音楽スタジオに勤めてそろそろ2年くらい経つが、いまだに全てがおぼつかない。大体ずっときららアニメの1話みたいな解像度の低い空気感で生きている。

 ちょうど半年前に「マーシャル(ギターのアンプだよ)のヘッド(つまみがたくさんついてる機械みたいなやつだよ)を元気にする」という研修を受けて、要するにバイアス調整を習ったのだが、デカい声で返事したわりにあんまり理解できなかった。回すところが2つついているので、マイナスドライバーで乳首みたいにくりくりして、流れてる電気を一定の数値にするとアンプが元気になるということだった。ご苦労なこった。
 で、この前、実践していたら集中している間にお客さんの来店時間になってしまった。まだアンプの乳首出てるのに! あと店の電話も鳴っていた。
 アンプをもとの状態に戻し、いそいで受付に戻る。来店時に名前を聞き、時間までロビーで待ってもらっていたお客さんの顔と名前がもう一致しないので、「○○さーん」とデカい声で呼び、反応した人間を片っ端から部屋に通す。いつか重大なミスを犯す気がするが、やめられない。電話はとうに切れていた。
 そういう毎日。

 そもそも昔働いていたスタジオでも順序づけて作業できないことをさんざん指摘されていて、結局馴染めず辞めたのだが、

①アンプのメンテをするぞ
②ギターを鳴らしてみよう
③ムム! このギター汚いな、掃除するか
④まず作業台を片付けよう
⑤お、ジュースがあるな。飲もう
⑥へ〜ドデカミンって78kcalなんだ…意外と低いな〜…(成分表を見ている)

 →30分経過、アンプ放置、ギター抱えたまま、作業台汚い、ファイトだけは超バクハツ


 みたいな状態で、しょっちゅう1人でパニックになっている。
 ただ、今のスタジオは少人数でのんびり作業できるので、いろんな作業を同時進行してしまっても誰にも怒られないからかなり楽だ。
 誰にも見られていないなら「失敗するかも」と緊張する必要がなく、なんでもチャレンジできる。あと時間で決まっている作業だけはちゃんとできる。

 そんなこんなでスタジオでウロウロしてたら、ドラムマットにボルトが落ちていた。

スタジオで落ちていて怖いもの
3位 中身がめちゃくちゃこぼれてるチューハイの缶
2位 誰のかわからんギターのボリュームつまみ
1位 退勤間際に見つかる、本来どこのか検討がつかんボルト

 君はどこからきたんだい?
 ドラムって、意外とボルトがいっぱいついている。みんな機会があったら近くで見てみてほしい、初期のイルミみたいになってるから。
 ワンチャンなくしてもしばらく気づかないみたいなボルトも刺さってるくせに、長さや太さがいろいろあり、欠かすと発注が面倒なので始末が悪い。
 一生懸命ゆくえを探していたら退勤時間を過ぎていた。まだギターもアンプもドデカミンも片付けてないのに。レジだけは時間通りにちゃんと締めてある。

 このままじゃいけないと思い、やることと忘れちゃだめなこと、色々な順序を書いたメモを用意し、作業ズボンのポッケに大事に入れたまま洗濯した。終わっている。いや始まってんのか?

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