HyenaがNDA(秘密保持契約)を破ったら1年間BANされた件について

まずは事実確認から。
これからSiegeGGの記事(リンクは最下部にあります)を主に、HyenaがBANされるにいたるまでの経緯を日本語でまとめます。

HyenaがNA PLに出場できないことが決まり、それについてTwitter上で言及したのち、元Luminosity Gaming(以下「LG」)の Kian "Hyena" Mozayaniがゲーム内アカウントを1年間BANされました。

このBANは、LGがロースターをNA PLに登録しないまま競技シーンから撤退した後に、HyenaとUbisoftとの間で結ばれた秘密保持契約(NDA)を結んだ後に起きた出来事です。

この出来事はHyenaが「NDA(秘密保持契約)なんかクソくらえだ!俺は親にこんな風に育てられた覚えはない!」とツイート。同ツイートにTwitlonger(140字の字数制限がなく長文が書けるサービス)のリンクを添付し、同Twitlongerには「Ubisoftは、UbisoftとLGとの間で行われたNA PLのLAN開催についての話し合いの結果、ロースターを放出することに決まった旨を、その決定から3週間後にHyenaを含むロースターに通達した。」という旨を投稿。

その後、元LGロースターは新NA PLでプレイできるという保証のないまま練習することを余儀なくされ、また、Ubisoftはロースターとの話し合いを複数回にわたって遅らせたと主張。Hyenaは「UbisoftはNCSAのesportsディレクターに責任を負わせ、プレイヤーに対して新たな組織を見つければNA PLに出場できるのかどうかをプレイヤーに説明しなかった」と主張。

Hyenaはこれらの一連の問題を公にしたことで、NDA(秘密保持契約)を破った可能性があります。これにより、HyenaはUbisoftから1年間のゲーム内BANを受けました。しかし、Ubisoftがこの処罰を行った理由はHyena本人にも明示されておらず、今回のNDA(秘密保持契約)違反以外に原因がある可能性もあるとのこと。

Hyenaのツイートの翌日、Ubisoftは公式に声明を発表し、LGと同じくNAのPLチームであったEvil Geniusesの2チームが撤退し、同2チームのロースターはNA PLに登録されていないと発表。また、新型コロナウイルスによる経営難により既にロースターの放出を発表していたTeam Reciprocityも同様に撤退するものの、Reciprocityはすでに他の組織と契約を結んでいる。(後にOxygen Esportsと契約したことが発表された)

2週間後、Hyenaはゲームから"長期休養"を取ることを発表。同時に「もしどこかのチームからクレイジーなオファーが来れば戻ってくるかもしれない」と発言。しかしながら、そのようなオファーが来なければ実家に帰るとのこと。

そんな中、日本時間の6月4日8:21AMに自身のTwitterでおそらくNDA(秘密保持契約)違反を理由とする1年間のゲーム内BANの処置を受けたことをUbisoftからのメールのスクリーンショット付きで公表。

プロゲーマーがBANされたのは今回が初ではないものの、NDA(秘密保持契約)違反を理由にBANされたプロゲーマーはHyenaが初めてです。余談ながら、SiegeGGの "Year 4 Player of the YearであるStéphane "Shaiiko" Lebleuは、ゲーム内でマクロを使用していたことが発覚し、6シーズンもの間BANされていたが、BAN解除の後にキャリアを復活させ、先日行われたSixInvitational 2020ではTeam BDSのプレイヤーとして4位にまで上り詰めました。

Shaiikoのほかにも、Natus VincereのプレイヤーであるJack "Doki" Robertsonも、害悪な行為(Toxic Behavor)を理由にゲーム内でBAN処罰を食らい、プロリーグシーズン10の終わりからシーズン11の途中までプロリーグからBANされていました。

Hyenaが将来的にRainbow Six: Siegeに復帰するかどうかは不明ですが、彼の経験とスキルがあれば、Shaiikoのようにいつか復帰することも十分可能でしょう。

参考にしたSiegeGG様の記事:https://siege.gg/news/1770-hyena-banned-in-game-for-one-year

※今回のHyenaに対するBANはRainbow Six: Siegeのゲーム内のみではなく、Ubisoftストアでの買い物や、UPlayを通して購入したゲームのプレイも禁止されるとのことです。

ひとまず事実確認はここまで。
ここからは個人的な意見です。

今回の僕が思う主な疑問点は次の通り。
①Hyenaに対する処罰は適切なものかどうか
②新たになったNA PLのシステムの欠陥
一つずつ僕の意見を書いていきます。

①Hyenaに対する処罰は適切なものかどうか
この疑問点に対するアプローチは
・そもそも処罰は何を理由に?
・その理由と処罰の内容の重さは本当に適切?
今回の処罰の理由は、Hyena本人に送られたUbisoftからのメールには明記されていないため、明確にはわかりませんが、今回は問題になっているNDA違反であると仮定しましょう。この前提がとっても大事。
僕の意見としては、処罰されること自体は適切だと思っています。だって自分の意志で結んだ契約に則って処罰されているんだもん。
問題はもう一つのほう。処罰の重さについてだと思っています。
今回はUbisoftがLGとの協議から3週間も後にロースター放出について通達している点。
プロたちはPLに残留して組織と契約しなければ無職になってしまう。3週間あれば新たに組織を見つけることも十分できたと思います。
今回の処罰は、Ubisoftにも非があることを考慮すれば重すぎるのではないかと思いますね。

②新たになったNA PLのシステムの欠陥
新たなNA PLでは、PLに参加するすべてのチームがシカゴで開催されるオフラインでのPLに参加できるようにゲーミングハウスなどを整えることが条件です。もちろん視聴者からすれば毎回オフラインでBO3で開催されることは勿論嬉しいが、経営する組織からすればそうではないだろう。特にLGのように、シージ部門に対して消極的な組織からすれば。
そういったことを考慮せず、ましてや選手たちへの通達を怠ったUbisoftの責任はとても大きいものだと思う。
また、昨今では「プロたちが嫌がるアップデートがゲームにとってはいいアップデートさ」といった趣旨のツイートが開発陣からツイートされ、多くのプロゲーマー達から批判されるなど、Ubisoftのプロゲーマーに対する行いについては疑問点が多く残り、プロたちからの信頼が下がっていることはほぼ間違いないだろう。

なんだかんだ批判してきたものの、新しくなったPLは多くの視聴者の期待感を高め、何よりマンネリ化していたPLに対して新鮮味を与えてくれた。そして、文句を言いつつもシージをプレイしている。
Ubisoftに対しては批判する点も多々あるが、同様に、よりよい環境のために努力し、感謝するべきところは感謝しなければならないのではないだろうか。

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