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大相撲 七月場所 序盤戦 注目の五番

日々熱戦が繰り広げられている大相撲七月場所、序盤戦の五日間で私が個人的に注目した取組を振り返ります。それでは早速いきましょう!
※ネットで「大相撲 動画」と調べるとNHKの特設ページで取組動画が見られるので、是非それを見ながら読んで頂けると幸いです。
※記事内にもリンク貼っときます。

①照ノ富士-遠藤(初日)

綱取りが懸かる照ノ富士、今場所も盤石の相撲内容で5連勝としました。
初日の遠藤との一番を見てみましょう。
注目したのは、立ち合いからの低さです。遠藤のいなす動きにも落ちる事なく付いていっていました。
左からの抱え込みも強烈で、遠藤の右腕をがっちり掴み体勢を崩すと、そのまま寄り切って勝負あり。
この抱え込みは初日以降も効果的で、若隆景や北勝富士など押しの強い相手を組み止め、相手の相撲を取らせませんでした。
強さが光った序盤戦5日間、照ノ富士を止めるのはどの力士でしょうか。

②白鵬-逸ノ城(五日目)

「進退を懸ける」として臨んだ白鵬も照ノ富士と共に5連勝で序盤を乗り切りました。各専門家や親方衆も序盤戦が勝負と言っていた中で、流石としか言えない結果です。
5日目の逸ノ城戦も相撲の巧さが目立ちました。立ち合いで右の上手を許し逸ノ城に寄られる展開に、動じることなく上手を切って両差しで寄り切りました。この上手を切る動きを説明すると、一度自分の下手を離し、腰を使いながら肘を張って相手の上手を切り、一瞬で下手を深くし相手に上手を取られない状況を作り出します。口で言うのは簡単ですが、体の柔軟性や瞬発力が求められる至難の業です。完璧にこなす技術には感服させられます。
しかし、体が万全でないのも事実。本人は決して明かしませんが、立ち合いの右足での踏み込みが全てを物語っているでしょう。また、5日目の取組でも右膝に負担をかけないようにしていると感じました。
実際に、この5日間チャンスがなかった訳ではありません。他の力士たちは白鵬を意識しすぎているように感じます。自分の相撲をぶつけるという気持ちで臨んで欲しいです。

③豊昇龍-霧馬山(二日目)

先場所2大関を倒して話題となった豊昇龍からは更なる進化を感じました。
具体的には立ち合いでの鋭さです。今までは、立ち合いで押し込まれながらも足腰の強さで残して反撃する形が多かったですが、今場所は立ち合い勝ちする場面が多く見られます。
同郷対決となった二日目の霧馬山戦も立ち合いで負けず、がっぷり四つからの下手投げで勝利を収めました。この下手投げは、ただ力ずくで投げるのではなく、霧馬山が前に出ようとした瞬間に相手の力を利用して投げを打っています。
こうしたタイミングや思い切りの良さも彼の魅力の一つと言えるでしょう。

④宝富士-碧山(三日目)

立ち合いから碧山が押し込む展開、宝富士は防戦一方でしたが、勝ったのは後者でした。この取組は相撲の魅力を再発見させてくれました。
それは、各力士の型に合った戦い方の重要性です。
例えば今回の場合、碧山は相手を突っ張り距離を取って押し出すのを得意としています。一方、宝富士は自分の左を差して相手と密着する事で力を発揮します。
それを踏まえて、取組を振り返ると最初は碧山が自分の得意な型で宝富士を突っ張っていましたが、宝富士の左が入った瞬間に力が抜けたように転んでしまいました。
このように幕内のトップレベルでも、自分の型に持っていけるかいけないかで、勝敗に大きく関わってくるのです。そしてこの型を決めるのが立ち合いの為「相撲の9割は立ち合いで決まる」とも言われているのです。

⑤千代ノ皇-宇良(二日目)

最後は返り入幕を果たした千代ノ皇と宇良の一番です。怪我の影響もあり、一時期は幕下の下位まで番付を落とした両者でしたが、4年振りの幕内復帰となった場所で取組が組まれました。怪我からの復活というと、照ノ富士が最近良く報道されますが、彼らのように地道にコツコツと番付を上がってきた力士が数多くいることを忘れてはいけません。相撲内容は千代ノ皇が回り込む宇良に対してなんとかついていき押し倒しで勝利しました。個人的にはインタビュー時の千代ノ皇の笑顔が印象的でした。取組前は鬼の形相を見せる力士たちですが、インタビュー時は彼らの素の表情が見れて、それも大相撲中継の醍醐味の一つだなと思っています。

P.S.貴景勝が心配、高安ガンバレ

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