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G0DBREATHのみちびき

6月下旬、突如にメガネの新調を決意した私は、
運命的な出会いを果たす。

「それ,あちらのお客様モデルとおなじなんですよ。舐達麻のdelta9kidって言うんですけどご存じないです?」
あ,いいかもと思ってメガネを試着していると
小声で店員が寄ってきた。店員の示すほうに目をやると、いかにもな風貌な男性が立っていた。

(…うわぁ、すごい刺青。インテリ系の顔立ち,メガネなのに、すごい怖い,何やってる人だろ…)

ぱちっ

目が合ってしまった。綺麗な刺青が気になって見つめていたことがバレてしまっただろうか。何してる人かもわからないし,怖い。

カツカツカツカツ…

え,何でこっち寄ってきてるの?なんかしちゃったかな、、

「お姉さん,このメガネ買うの?」
デルタなんちゃらと言う青年は見た目とは裏腹、笑顔でこちらに聞いてきた。

「…あ,あ、素敵な形だと思って、、」
予想外の出来事に驚いて私は挙動不審になってしまった。

「同じモデルだよ、このメガネ。お姉さんセンスあるね」
彼はそう笑顔で私に伝えた後、颯爽とお店を後にした。

よくわからない出来事に狼狽つつも、
彼と同じメガネを私は購入することした。
「お会計カードで一括でおね…」
「お客さま、delta9kids様がお客様のお会計まで済ませております。」

????え?なんて紳士なんだ???
何が起きたのか,よくわからない,狐につままれたような気分で帰路に着く。

(なんだって舐達麻?デルタナンチャラって言ってたな…)
めちゃめちゃイケメンな行動を目の当たりして,
彼への興味が出てきた。なんで私なんかに、なんて思いながら、舐達麻について調べる。

(あ、ラッパーなんだ。…っ!歌めちゃめちゃいいな。)
正直歌詞は私の生活とはかなりかけ離れていて、別世界って感じだったが、耳馴染みがすごく良い音楽の虜にすぐなった。それと,彼の描くリリックのまっすぐさと透き通った声になぜか惹かれた。

(また会えるといいなぁ…)
なんて物思いにふけてはいたものの、、まさかまた会うなんてこの時は思ってもいなかった。


8月頭、最寄駅でのことである。
仕事帰り,突然雨に降られ,びしょ濡れになり,
雨宿りをしていると隣に見覚えのある男性が立っていた。

(ああ、デルタさんだ!!!!!あの時全然見てなかったけどかっこいい、、でも私のこと覚えてないだろうし、流石に話しかけられないな、)

そんなことを思いながらチラチラと彼を見ていた。手の甲にいる蛙が雨にピッタリだなんてたわいのないことを考える。

「雨すごいですね。メガネ気に入ったの買えました?」
!!!まさかの彼から話しかけてくれた。
「あっ!!!!!この前はメガネ,ありがとうございます、代金まで…」
「結局同じやつにしたんだ。似合ってます笑」
やばい,はにかむ笑顔すごくかわいい。
「この前、ラップ聴きました。すごい素敵な声で歌われるんですね。」
彼はキョトンとした顔をした。

(うわー!!何言ってるんだ自分。突然言われたらびっくりするだろキモいって思われたかな。)

「聞いてくれてたんだ…。ありがとう。でもお姉さん聴きそうなタイプじゃないけど…」
「あ、あの、メガネ屋さんで拝見してから気になっちゃって聞いたらすごく、惹かれて…」

ティロンっ♪

私のスマホが鳴る。
反射的にスマホを見る。
「あ、ロック画面,猫…」
ぼそっと彼が呟く。
「ごめんなさい、話してる途中だったのに!」
「猫,好きなんですか?」
「猫、めちゃめちゃ好きです」

キューアルコードを差し出される。
「これ、うちの猫ばっかあげてるインスタです。もしよかったら」


偶然ばったり再会と連絡先をゲットしてしまった。ここから仲良くなるのに時間は掛からなかった。


10月 彼との4回目のデートのことである。
メガネと猫をキッカケに知り合い,仲を深めた数ヶ月であった。彼の名前は大輔くんというらしい。 

かなり親密になった私たちは下の名前で呼び合うようになっていた。
「大輔くん,運転うまいね。あと,私海初めてだ!」
「まぁ,色々あったからね。」
運転のこと、聞かれると若干顔色が曇る。何か嫌な思い出でもあったんだろうか。

たわいのない会話をしながら、
車を走らせる。

ギュッ

手を握られた。恥ずかしくて顔が見れない。

ドキドキドキドキ…

心臓の音が高まっていく。この音が大輔くんに聞こえてたらどうしようか、なんて心配になる。

かっこいい彼はモテるだろうから、私に対しても遊びなのか?なんて、手のぬくもりを感じながら考える。

「あ、、手どうしたの。こんな長いこと握ってると勘違いしちゃうよ笑大輔くんモテるからこれ以上増えると困るでしょ笑」
なんで笑って誤魔化す。今私にできる精一杯の発言だった。

「勘違いじゃなくて本気だから。」
タイミングよく、海沿いの堤防に着く。
車を止めて彼はゆっくり口を開いた。

「付き合ってほしい。」
?ん?もちろん嬉しいが、思考が追いつかない。
なんでこんな素敵な人が私に??
「、、なんで私なの?あっ、もちろん嬉しいから、答えはよろしくお願いします、なんだけどあっ、」
すぐ、あがって、すぐ焦ってしまう。

「まっすぐなところだよ。俺をマイナスから引き上げてくれるプラスを持ってる。それに、笑顔がかわいいところ」

どうしよう,ドキドキが止まらない。
こんな幸せなことがあっていいんだろうか。
あの,硬派そうなdelta9kidと付き合えるなんて!

10/4 私の運命の記念日。


おわり

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