素直な表情|撮影日誌
もうすぐ今年の七五三の撮影が始まります。
ありがたいことに今年も数件お話をいただきました。
いつもと少し違う、
背に定規が入ったような気になる七五三撮影。
去年のことを思い返していると、
特に思い出すのは、ある男の子のこと。
素直な可愛いお兄ちゃんでした。
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連絡をいただいたのは昨年9月ごろ。
2人兄弟の七五三記念を
撮って欲しいとのご依頼がありました。
年長さんになったお兄ちゃんと、
満2歳の弟くん。
2人揃って撮影をしたいとのご希望。
打ち合わせをして、
ご連絡を重ねるなかで、
ご家族さんからお聞きしたのは
お兄ちゃんは写真が苦手だということ。
家族が撮ってもなかなか撮らせてくれなくなり、
撮れてもおちゃらけた表情や真顔ばかり。
幼稚園の行事で先生たちが撮ってくれる写真も
苦手なためかカメラを避けているということを
お聞きしました。
打ち合わせの際に少し顔見せはできましたが
少しでも仲良くなれたらと、
話題作りにその時好きなものなどを聞いて
挑んだ当日でしたが、
着慣れない着物や草履も含め、
やや不機嫌だったようで
お兄ちゃんとの会話は今ひとつ盛り上げれず
そんな不安残る状態から撮影はスタートしました。
途中、家族さんが持参してくれた遊び道具や、
落ち葉などで遊んでる場面もありましたが、
わたしも去年が初めての七五三撮影。
お詣りをしながらの撮影が
自然でいいのではないかと思い、
それで進めてしまったので、
後半になるにつれて集中力もきれ、
あからさまにちょっと不貞腐れた様子も。
予定していた撮影時間も終了に差し掛かり、
最後に光と緑の綺麗な
橋の上で家族写真が撮れたらと提案し、
そこでその日最後の記念写真を目指しました。
最後の最後に
「これで本当に最後ね」とお兄ちゃんに伝え
シャッターを切ると、
最後の一枚には
お母さんに抱かれていることが嬉しいか、
もう最後で嬉しいのか、
満足げに笑うとても可愛い表情が。
その一枚でも十分、
わたしの胸を躍らせてくれたのですが、
まだまだ時間差の喜びが待っていました。
その日の撮影を終え帰路につき、
データをチェックすると、
記念として撮ろうとしたカット、
どれもちゃんとお兄ちゃんは
わたしのカメラを見てるんです。
ご家族の誰よりも
こちらを確実に。
途中途中確認もしていましたが、
神社はハイシーズンのこともあって
人が多く、一つ一つの場所で時間もたくさんはとれず、
連写した場面もあったので、
まるまるきちんと確認できたのは帰ってからのこと。
これには本当にびっくりしました。
疲れたろうし、不自由もあったろうに、
わたしが「はい、撮るよー」と
言葉を発していたカット
全てちゃんとこちらを見ているお兄ちゃん。
嬉しそうな様子では確かになかったけれど、
カメラを避けることもなかったし、
すごく嫌がった表情も残っていませんでした。
疲れたら疲れたと反応して、
見てと言われた方向にはきちんと見てくれていて
嬉しい気持ちも、嫌な気持ちも表情に出ていて
全部全部素直な反応だったんだろうなと
愛おしく感じました。
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七五三のハイシーズン、
神社にはたくさんの参拝客もいて
ひと気が無くなることはほとんどなく、
スムーズに撮影できなかったことも
きっと疲れさせちゃった原因の一つ。
段取りであったり、写真技術であったり、
改めて自分自身が反省しなきゃいけないことも
たくさん思い出させてくれる大事な思い出でもあり、
「あ、あの時すっごいい顔が見れたなー」
って 心がほわっとなる思い出でもあります。