ほんの少しだけバズッた、という話

今回も、架空の話をしようと思う。

別アカウントでかわいい動物のイラストと描いている。特に、飼い主が撮影した写真を見て描くのが好きだ。特に犬はいい。飼い主が好きすぎて犬が近寄りすぎて、目と鼻しか映っていない写真など、尊いが過ぎてこちらの目がどうにかなりそうだ。

撮影するのが飼い主なので、犬の目に映るのは飼い主である。こういう時の犬の表情はいい。見返りを求めない愛であふれている。見ているだけでも癒されるが、絵にするともっと癒される。人間社会で心が擦り切れている私にとって、可愛い犬を描くことは貴重なひと時である。もちろん猫もいい。人間社会にはない自由に触れることができる。猫は神。犬は天使。

SNSで犬や猫の飼い主の方に「お宅のアイドルを描かせてくだせえハアハア」とお願いしている次第なのだが、最近はありがたいことに「うちの子かいてください」というご依頼もちらほらでてきた。

これは本当にありがたい。まれにであるが、「かかせてください」とお願いしたら警戒されてブロックされることもあるのだ。ブロックする気持ちもわからないこともないが、これはまあまあ傷つく。道で散歩している犬を「かわいいなあ」と思ってみてただけなのにめちゃ吠えられる時の次くらいに傷つく。

なので、かいてくださいと言っていただくのはとても嬉しい。そんな時、ある人から「うちの子を描いていただけないでしょうか」とご依頼といただいた。

いつもと同じように、心を込めてかきながら「○○くん(犬の名前)かわいいねえ、おめめキラキラやねえ」ときしょいことをつぶやきながら描いた。

飼い主の方はとても喜んでくださり、リツイート(現在のリポスト)をしてくださった。いつもくらべるとものすごい数のいいねが付き、コメントがついた。数か月前にバズったアカウントの方だったのだ。

バンドワゴン効果というのだろうか、あの○○さんの子を描いた人、ということでフォロワー数も突然増え、「うちの子かいてください」依頼も増えた。嬉しい悲鳴である。

巷でいうところのバズの1000分の1程度ではあるが、ものすごく驚いたし、とても良い経験となった。

もちろん、フォロワー数に関係なく、ご依頼には心を込めてイラストを描いている。「○○ちゃん、かわいいねえ、もふもふやねえ」ときしょめのつぶやきも忘れない。

なお、一段ギアがはいるのはすでに他界してしまった子を描く時だ。「20年前に亡くなったので、この写真しかないんです」とピンボケの写真をスマホで撮影したもの2枚、DMで送ってこられた時があった。めちゃめちゃやる気になった。

○○くん頼む、君の飼い主さんを喜ばせたいねん、力を貸してほしいねん。

そう呟きながら描いた。もちろん、同じ犬種の写真をたくさん見た。できたイラストをみた飼い主さんは、「あのこが戻ってきたみたい」と喜んでくださった。たぶん、戻って来てくれてるんだと思う。

そんなこんなでつらつらと文章を書いたが、私は猫派である。しかし、この2年で犬の良さを急速に理解しつつある今日この頃である。表情が豊かなのがいい。Dogs are amazing.

再度申し上げるが、これは架空の話である。

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