2018年6月

 諸々が片付きあらゆるモチベ体力が尽き呆けているところ、繁忙期の濁流に飲まれるがままとなっている。こういう時に各種プラグインメーカーのセールが心の隙をついてあっという間に財布を破壊しつくしていくんだろう。気を引き締めねば…

 6月にあった最もメモリアルなことと言えばブックオフ富士見みずほ台店の閉店セールだ。この店舗は10数年前に初めて訪れたとき(考えてみれば北村氏逝去の少し後だ)、やたらとSSEものの在庫があり、ここで古舘徹夫『死の停止』、FUNHOUSE『ANGEL』に出会ったことがSSEひいてはトランスレコードにハマるきっかけとなった。自室のCD棚が今こんな風になってるのも、元をたどればこの店舗が起点にある。

 しかしなかなか謎も多い閉店だった。あまり閉店の情報が流れて来ず、たまたま5月半ばに現地に行った方からの情報で同月末での買取休止が判明した。もはや風前の灯と察して注意深くチェックしていたら、メールでの情報は流れてくるものの、閉店セール情報と題しているだけでいつまでの営業なのか、今後のセール予定は等の知りたい情報が一切ない。もしかするとせどり対策か、はたまた葬儀は近親者のみで的な意向か…
 6月に入ってからはTwitterで情報を漁っていた。中旬のある日、CDが90%OFFになっていたというツイートを発見し、翌日現地へ向かうことにした。やはりノー告知のためか、500円以下CDがすべて90%OFF、750円以上は40%OFFの凄まじい値引き率の割に客がそこまで多くない。一枚の値段が30円を切るセールは相当久しぶりだった。ひとまず目についたものは片っ端から抜き取って行く。
 しかし10枚くらい放り込んでふと、いくら安いとはいえ、全部聴くのか、これを…?と思い始め手が止まる。勿論興味があるし聴きたいから手に取っている訳だが、ただでさえApple Musicの供給に追いついていない状況で、これだけの新しい"契約"を発生させて大丈夫なのか。買ったからには一度は再生せねばならない(トレード用などダブり買いを除く)。果たしてそれには一体どれだけの時間がかかるのだろう。そしてすべて聴き終えるまでの間に夥しい程のリリースがある。自分に必要な情報とは?
 そんなことが去来しつつもこの日は45枚を購入。計1,235円で1枚換算27.444…円という爆安ぶり。仮にこれが釣り堀みたくキャッチ&リリースで持って帰れないとしても元が取れそうなくらいの脳汁体験だった。

 Qlairとか普通に欲しかったやつだもんね。500円でも買ってるのに280円さらにはその90%OFFで28円…

 情報の取捨選択という意味で言えば、ここで買ったものを選んだから、選ばなかったものは自分にとって30円でも買わない価値かというと、おそらくそうではないと思う。うまく言えないけど、時と場合によってそれは変わる。例えば全く同じ状況での買い物するとして別のタイミングなら別のラインナップになってる可能性は大いにある。ブックオフやレコ屋での買い物はいつだって縁によって成り立ってる。その時々でしかできない対峙をするべきだと思う。
 翻って考えれば、自分が今何をすべきかという問いにも呼応する。やっぱりこう、ストリーミングが主流になり音楽産業の過渡期と言われる今、CDというフォーマットとの付き合い方を考えざるを得ない。いや基本的にはフォーマットとして大好きだし何でも持ってたいんだけど、当然自分の両手で掬える(救える)範囲には限りがある(仮面ライダーOOO的な)。
 同じくフリマアプリの台頭で窮地に追いやられ、次々と潰えていくブックオフの閉店セールも今でしか体感できないことだ。ブックオフのような店ができたことでかつての個人経営の古本屋が云々ということはこれまでに散々語られたが、僕にとってはブックオフぐらいのある種フラット化した混沌のような光景がとても心地いい。ハードオフジャンク棚ほどサグくない280円CD棚が大好きだ。文化な役目の際にあるブックオフに感謝の意を込めて、各店舗の最期を看取りつつ、棚から目が合ったものを拾っていくことが今、自分のすべきことだろうと感じた6月だった。
 みずほ台店最終日の30日にはもう一度(750円以上も降りてこないかなーなどと淡い期待も持ちながら)訪問しダメ押しで9枚。750円以上のCDはほとんどがネット(ヤフオク)出品中となっていたためか、値下げはしていなかった。おそらく彼らはこのまま"箱舟"に乗るのだろう。でも40%OFFは今だけなのでせっかくだからとPFM『幻の映像』(国内盤帯付)を570円(元値950円)でゲット。その他8枚と合わせ計713円。

 よく見ているとプログレ含む70年代ロックの紙ジャケが多かったりHR/HM専用棚があったりと最後まで割と面白い店舗だった。漫画はほとんど買わなくなってしまったからあれだけど、ここで青林工藝舎ものを買ったこともあった。毎度来るたびにワクワクしながら駅からここまで歩く道のり、帰りの時間すら愛おしかった。楽しい時間をありがとう、ブックオフ富士見みずほ台店…


 話は変わって冒頭で話した諸々について。6月も終わりの29、30日と続けて自分が参加したアルバムがリリースされた。その内の一つがかつて在籍していたサークルのOB連中と現幹事長で作ったコンピレーションアルバムで、bandcampにてフリーDLとなっている。5曲目のぐにゃったノイズロックと8曲目リンキンパークみたいなトラックの上でひたすらプログレバンドの名前やらアルバム名を言う曲、そしてやたら長い12曲目に参加。聴いて。

 もう一つは去年までやってたバンドのアルバムなんだけど、こちらは流通など調整中につき販売のページなど準備整ってから貼ることにします。


 その他印象的だったのは15年くらい前から使ってたタブ譜作成ソフトが一昨年しれっとバージョンアップしてたのを知ったことかな。DTM用の新しいパソコンに入れたものの入力のインターフェイスが微妙でブラウジング用になりそう。
 そして6月にはひとつ決定的なリリースにも出会ったのだけど、それは次の記事に回しましょう。

 さて次は上半期ベスト。どのくらい挙げようかね…

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