ストラトの配線材を変えた(文字だけ改造日記)

 タイトルの通り、今度はストラトの配線材を変えた。しかし弦を外したところで換装前の音を録り忘れた事に気付き、もう写真撮るのも面倒になったので文字のみで書くことにする(余計面倒)。

本題の前に(このギターの思い出)

 文字だけってことで改造内容より日記に重きを置きたいから今回はギターについても紹介する。このストラトは中学生のとき叔父から貰った。叔父からはそれ以前にもアコギを譲り受けていたのでこのストラトが自分にとって初めてのギターではないが、エレキとしては初。ビルローレンスの弟がやってるブランドBill's Brothersのものだ。製造年は分からないけどヘッドの先がフック状になっているのが特徴。このデザインはとても気に入っている。元々はボディが白〜クリーム色だったと思われるが、その上から赤ペンキ、更に上から黒ペンキで無理やり塗装した跡があり、所々ひび割れたり打痕があるところから下地が見えている。黒い皮膚の恐竜が傷を負っているような、邪悪な見た目だ。そして貰った時はピックガード一杯に薔薇のシールが貼ってあったが、中学生の自分にはそのセンスが理解出来ず、ピックガードごと替えてしまった。今となってはちょっと後悔してる。最強に格好良かったよなぁあれ。そんなわけでしばらくはこのストラトでギターの基本を覚えることになる。程なくして受験勉強期間に入りあまり触れなくなるが、受験が終わってみるといつの間にかFが押さえられるようになっていた。結果待ちの時期にレッチリの「Fortune Faded」をコピーしていたら母から「そんな物騒な曲弾かないで頂戴!」と言われた。思い出のあるギターだ。
 高校に入ってからもっとパワフルなギターが欲しくなり、アリアプロ2のリアハムのディンキー(MAシリーズ、マグナというのかな)を買ってもらうと、このストラトを触る機会が少なくなった。ちょうど当時ギターに興味をもちはじめた友人に長期間貸し出す。後年大学のバンドサークルでConvergeのコピバンをやった際にアリアをブチ割ってしまい、それで必要になったからかどうかその辺記憶が曖昧だけど、返してもらった。チューニングがめちゃくちゃになったまま長い間放置されていたようで、おそらくチューニングができなかったために練習してもよくわからず、そのままだったのだろう。
 美狂乱のコピバンをする際に、ヴァイオリンソロの部分をギターのボウイングで再現(もちろん同じフレーズは弾けないので運指はデタラメ)しようとしたが、練習の段階でボリュームノブが邪魔な事に気づき、取ってしまった。ジャックから直でスイッチ→ピックアップというシンプルな配線に。おまけにセンターピックアップもダミーにして、5wayセレクターはフロント、フロント+リア、リア×3という仕様にした。センターピックアップを他より高くして弦を押し付ける奏法を編み出したが、あまり面白くないのでやめた。ボリュームを経由しなくなったためかものすごくダイレクトな音になり、元々のサステインのなさ(叔父による無茶な塗装の所為?)も手伝って物凄い切れ味だ。カッティングすると「チャカチャカ」じゃなくて「ザキッ!ガッ!ボコッ!」て音がする。アベフトシも真っ二つだと言わんばかりの。そっからまぁ高いギターとかも買って色々使った上で、しっくりくるのは一番付き合いの長いこいつだよねってとこ。乱雑に扱えるのも気を許せるからということで。

作業に取り掛かる

 思い出話が長くなった。今回配線を変えようとしたのは単純な興味もあるけど、宅録でストラトを使いたくなったので折角なら録る前にという次第。まず弦を外す。ボディ裏のカバーを外すと木部に虫が…いかにも「木喰ってます」みたいな細かいやつが動いてた。調べたらカビを餌にする茶立て虫ぽいのでもうガンガン除湿してこ。弦を取り外しピックガードを開ける。これまで何度か不調の度対処してきた形跡が露わになる。この前一本どうにかなったくらいであまり偉そうなことは言えないが、なかなか酷い…よくこれで音出てたな。ところどころ撚り線が解れた状態だったり芋はんだだったり、長さが足りてないとこ下手に継ぎ足してたり。今回やる(のと前回やった)のも数年後に見たらそんな思われるかな。
 配線はごく単純。フロントとリアピックアップ、そしてアウトプットからホット線をセレクターに繋ぎ、コールド線とアースをまとめる。これに加え2つのノイズ対策を試してみる。1つはホット線とコールド線を捻る。これにより磁界が打ち消しあって云々で何だか良いらしい。もう一つはピックガードのコントロール裏にアルミを貼る。元々貼ってあるんだけどボリュームポット外したとこは穴あきのままでそっからノイズが入る気がするからそこを含めて一帯をカバーする。アルミシートないから食品用のアルミホイルで代用。効くかは知らん。
 ピックアップに元々ついてた配線を外す…根本のとこまで遡るとテープの際のとこに半田が固まってるので溶かして吸い取る。綺麗に外すとそれぞれリング状の端子が露になる。こうなってるの初めて知った。交換用の配線材は前回と同じやつなのでちょっと固く、少し不格好になるがねじ込めたらよしとする。で、これを捻じるんだけど同じ色でやるとどっちがどっちかわかんなくなるので片方(コールド)にビニールテープを巻く。さらに固く不格好になるし捻じると余計ゴツゴツするな…いや考えたら端っこにマークしとく程度で十分だった。そんなことも思いつかなかった。
 配線は単純、なんだがセレクターがYM-50というやつで端子が全部同じ方を向いているため、さすがに外す前に十分確認しないと面倒なことになりそう。結局半分しか使わないのでそれぞれ対応する場所を確認する。そして気になるのは明らかに違うとこから生えてる端子が一つ余ってて、ここアースに繋ぐべきだと思うんだけど、何も繋がってない。もともと繋がってたのが外れた様子でもない。ノイズの原因これか?わからないから繋げてみる。
 ジャックとも繋いで配線完了、なんだけど、ブリッジアース線が気になる。確かここも以前外れてしまった時の応急処置でちゃんと半田付けされておらず、スプリングハンガーとスプリングの隙間に挟まってるだけだった。スプリングハンガーって半田つかなくてよくわかんなくなっちゃうね。ひとまずくっつけたい場所を軽くヤスリ掛けして、十分に熱する。コテの熱を直接あてなくても半田溶かせるくらい、スプリングハンガー自体が熱くなるまで根気よく熱する。時間計ってないけど結構待った気がするな。このやり方で今回は上手くいった。
 あとは組み込み…やはり配線の不格好さから無理やりキャビティ内に押し込む形となる。そしてネジを締める。ピックガードがリプレイス品のため微妙にネジ位置があっておらず、外れた場所を避けて締めていかないと上手くはまらないことを思い出す。

弾いてみた感想

 いざアンプに繋いで弾いてみる…んん!これは!雑味が減って音の解像度がぐっと増し、なんだかひと回り高級になったよう錯覚しちゃうな。勿論ノイズも激減。でもこれはどの対策が効いてるのか効いてないのかよくわからない。解像度が高くなったことは翻ってギター本体のポンコツさがくっきりしちゃったようなきらいもある。具体的には弦ごと、フレットごとのムラが分かりやすくなったかな。ギター自体が楽器としてのバランスを保っているようで、よく見るとブレてるのが目立っちゃうみたいな。さすがにボリューム咬ました方がよかったかな?いやしかしこの際限なく暴れまわる粗野さも味か。そんでもしグレードアップをはかるならどこが問題なのか特定しやすくなったかな。まだわからないけど。概ねは満足!

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 この改造後のギターを使って弾いた曲をリリースした。キングクリムゾンのアルバムデビュー50周年を勝手に記念したKC風オリジナル楽曲コンピ『Court of the Disciples』2曲目の「Belphegor」という曲だ(主に左側をこのストラトで弾いてる)。秋M3で頒布しBOOTHで通販も行っているので、よかったらきいてね。


2020.11追記

上記アルバムのbandcamp販売を開始しました。試聴できますので是非。



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